その38、チョコを贈ろう(1)
「ちょこっと行ってくるわ」
全身茶色の父が言った。
ブラウンスーツにブラウンのネクタイ。革靴は当然ブラウン。控えめに言って、ダサい。
「行ってきますカカオ」
そして意味不明な活用形。バレンタインが近づいているのだ。
私へのチョコアピールだというのは分かるけど、やりすぎである。チョコ欲にまみれた哀れなひとだと職場で噂されてないか心配になる。
「ちゃんとチョコあげるから」
そう言えばいいのだろうが、私は口をつぐむ。何だか負けた気になるから。
まあ、今年は可愛い黒猫をもらったし鬼退治にも付き合ってもらったし。お返しはせねばなるまい。
「お返しか……」
ふと、クラスメイトの顔が思い浮かんだ。そっちにもお礼しておこうかな。
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