その122、迎えに行こう(1)
長ぐつの下で水が跳ねる。小気味いい音が傘を揺らす。
雨の午後。傘を持たずに出た父を迎えに行くところだ。まったく天気予報は当てにならない。
町はくすんだ水色。雨が降っただけで景色は様変わりする。
マンホールをひょいと避ける。気を抜くと滑ってしまう、雨の日の最警戒障害物だ。
傘をくるくる回し、今度は水たまりを避ける。もう、ばしゃんと飛び込む歳ではない。どうしてあんなに水たまりへダイブしていたのか。謎である。
と、後ろから大きく水の跳ねる音。とっさにぐるりと傘をサイドへ回す。次の瞬間、傘の取っ手にぐっと重みが加わった。
盛大に水しぶきを上げ、通り過ぎてゆく白の乗用車。被害はゼロ!
ちょっとだけ、楽しくなってきた。
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