「私の秘密告白します。」~妹のブラコンが異常な件についてちょっときいてくれないか。スピンオフ~
我琉 澪
告白者:【隠れブラコンちゃん】さん
隠れブラコン誕生秘話
はじめまして。告白者の【隠れブラコンちゃん】と申します。
告白します。「私、実は”ブラコン”です。」ただちょっと特殊な”隠れブラコン”です。
今回は、私の自己紹介も兼ねて、”ブラコン”から”隠れブラコン”への変貌についてお話しをさせていただきます。よろしくお願いします。
まず、私が“ブラコン”になった原因は2つあります。1つは、両親が他界してから、私は兄に対する執着が狂ってしまったからです。もうひとつは、私の兄です。兄は、いわゆる“シスコン”です。私と兄は年が離れていて喧嘩もしない、公私共に認める仲の良い兄妹関係です。
―――【ブラコンちゃん中学生~高校生】―――
中学生初期の私と社会人の兄は、いつも一緒に遊んで、ご飯を食べて、楽しいを日々を過ごしていました。両親が他界してから、兄が親代わりになってくれていました。これが、兄を異常な”シスコン・モンスター”に変貌させてしまうきっかけだったのだと推測しています。
私にも思春期がありました。学校でも家でも常に何かと葛藤をしながら生きていた私にとって、何よりも兄の存在が嫌で、兄のすべてが嫌でした。どうして、私にとって唯一の家族である兄のことが嫌なのかもわらないまま日々悶々としながら、兄と生活を送っていました。
些細なことが気に障り、兄に当たってしまうことも多々ありました。
「一緒に洗わないでって言ったのに・・・最悪、」
「ごめん、気を付ける、」
「・・・もういい、」
思春期の私は、洗濯物を一緒に洗われることも嫌でイライラが収まらず部屋に戻ろうとしました。
「ご飯は?」
兄は、私を引き留めますが、私のイライラは更に増して、
「・・・いらない!」
私は兄に怒鳴り、逃げるように自分の部屋へ向かい、ドアを荒々しく開閉し布団の中で蹲りながらひたすら泣きます。泣き疲れそのまま眠ってしまった次の日は、起きて鏡を見ると目が腫れていて、そのことがバレない様に兄と顔を合わせない生活をしばらく送りました。
”シスコン兄”は、そんな私に対しても一切態度を変えず、毎日ご飯を作り、洗濯も掃除もこなし、さらには学校行事にも参加していました。私より楽しんでいる兄の姿をみて、イライラすることもありましたが、少しずつ感謝の気持ちを思い出していました。
思春期が落ち着くと前のような兄妹の関係に戻ることができました。洗濯物が一緒でも気になりません。一緒に出掛けることも楽しいのです。ドライブもショッピングも食べ歩きも付き合ってくれます。遊園地、水族館、博物館、イベントなど行きたいと言えば行ける範囲で連れて行ってくれました。
私達が兄妹だと知らない人からは恋人に見えるのか、時々間違われることもありました。こういう時”シスコン兄”は決まって照れてます。否定も肯定もせずニヤニヤしていて気持ち悪いですが、“隠れブラコン”としては最高に嬉しく、内心ではガッツポーズをしてます。もちろん、兄には内緒です。
私が家事を手伝ったりプレゼントを贈ると、その度に、兄は過剰に褒めてくれるし、とても喜んでくれました。家族が私だけなので、とても大切にしてくれているのだと思います。もしかしたら、他界した両親から生前、何か言われたのかもしれませんが、兄が“異常なシスコン”になったのは、元々シスコンの素質があったからなのかもしれません。
高校生になった私は、兄が“シスコン”になった原因が、私自身なのだと気が付きました。わかった時、嬉しい反面少し複雑な気持ちになりました。
私が”隠れブラコン”になったのは、兄が”シスコン・モンスター”になったからです。万が一にも、妹が”ブラコン”であることを”シスコン・モンスター”に知られてしまったら、想像を絶する恐ろしいことが起きてしまうと高校生ながらに思ったからです。
”シスコン・モンスター”になった兄ですが、”隠れブラコン”の私にとっては最高の兄に変わりありません。
―――――――――――
”隠れブラコン”である私も社会人になってからは、”隠れブラコン”であり続けるため苦渋の決断をし、今は兄と別々に暮らしているので、以前と比べ一人の時間が増えました。その結果、学生の頃は、常に一緒だったので感じなかったのですが、自分の”ブラコン”が覚醒された気がします。
”ブラコン”である私にとって、これは最大の試練なのかもしれません。
「明日、兄貴に会いに行こっ♪」
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