弱小野球部の名誉挽回

第453話

　ウグイス嬢のアナウンスが流れる。

「白石高校―――二番―――」

　二番打者が打席に立つ。

　陸雄が闘志を燃やして、構える。

(相手の打者はこの場面でやはり力が入っているな―――ここはリクオに―――)

　ハインがサインを送る。

　陸雄が頷く。

　打者が構える。

　セットポジションで投げ込む。

　指先からボールが離れる。

　真ん中高めにボールが飛んでいく。

　打者がスイングする。

　バットの軸上にボールが当たる。

「しまっ―――」

　打者が声を漏らす。

　ボールが浮き上がる。

　ハインがフライ体制に入る。

　ベンチの中野監督が二ッと笑って、古川達に話す。

「変化球を警戒しての初球の高めのストレートがここで効いたな―――単純な手だが、実戦は効く」

　そう言い終えた後にハインのミットにボールが収まる。

「―――アウト！　ゲームセット！」

　審判が宣言する。

「よっしゃあ！　勝った！」

　マウンドの陸雄がガッツポーズをする。

　一塁側スタンドが歓声を大きく上げる。

　スタンドの柊がホッとする。

「これであとは４回勝てば甲子園！　私達の勝ちなんだ！」

　整列するためにメンバー達がグラウンドに集まる。

　両校が整列して、一礼する。

「「ありがとうございました！」」

　九回表―――試合は１０対９で×ゲームで終わる。

　大森高校は四回戦を勝利した。

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