大学生にあった怖い話

碧木ケンジ

1話~プロローグ~

夏の暑さが一番実感できる8月上旬…


学生たちには夏休みの青春を味わうシーズン。


夏の注目を浴びるtrend Word(トレンドワード)…




全国の球児たちの熱い甲子園…


全国のカップルの甘い時間を過ごす海と夜の浜辺越しの花火…




そして…夏を凍えさせる…怪談話…




これから語られる話は、ある大学サークルの怪談話と


そのイベント後に起きた現象…




生存者の1人が怪談話の録音されたUSBと


その後に起きた現象について書かれた怪談話である。




深夜零時に始めた9人と7つの怪談話…


あの現象から生き残れたのは何人か…







ここは北海道のH大学…




H大学の3号棟に小さな光が照りつける…


夜の無人の廊下に2人の男女が歩いていた。




守衛の人と教授に各自の自己責任という事で


特別に許可を貰い一つの教室が解放された…




2人の男女は大学の広報部のサークルに所属している。




夜中に大学にいるreason(理由)…




それは彼らの所属する広報部の部長のある企画が原因だった。




その企画とは…映画研究会と広報部の怪談話のムービー制作…




今夜の怪談話で録音したノートパソコンの音声ファイルと


その話に合った画像を編集し、


ムービーを完成させて、映画研究会と協力する企画だった。




広報部が集めて、怪談話の教室を借りて録音し、


映画研究会が許可を貰った画像を集めてムービーを制作する。




そうして完成されたムービーは、


来年の文化祭の客に上映する予定らしく、


彼らはそのために夜の教室に向かっている。




2人は本来参加するはずだった部長の体調不良と


会計の家の親戚の葬儀で代理で参加することになった。




1人はH大学経営学部2年生の女学生・大暮おおぐれ 美都みと…


ショーボブの茶髪で小柄な体格で身長は158cm…




話の聞き手に回ることが多い大人しい女子で今年で20歳を迎える。


酒は飲めず、タバコは苦手…


実家暮らしで大学に近いと言う理由で参加した。




女子4人グループがあれば右端か左端にいるposition(立ち位置)…


自分の意見をあまり言わない幼さが残る顔をしていた。




甘いものが好きな独身…


良い意味でも悪い意味でも大人しい女性だった。




もう1人は同大学の歯学部1年の甲斐かい 篤志あつし…


高校時代はバレー部で身長は171cmのワイルドショートの黒髪…




大学から歩いて10分程の一人暮らしのマンションで暮らしている。


悩みは大学行きのバス停まで歩けば20分かかるので、


いつも通学は歩きという事だ。




今年で19歳、来年は免許を取り、


バイクを買って中学からの友人たちとツーリングを楽しむ予定。




黙っていれば街中で見かけるイケメンだが、


彼は口を開けば女性の熱も冷める。


世間で言う残念なイケメンのcategoryカテゴリー…




そして篤志はこの物語の主人公…




高校時代の彼女と性交渉中にトラブルがあり、別れた非童貞。


男同士で酒を飲んだ時に出る言葉が…




篤志「女は打算的で利己的だから、もうコリゴリだ。


バイクで風になる方が俺にはよっぽど気持ちいいね!


早く免許とって走りてーなー!」




という偏見強めのphraseフレーズ…




美都と同じ北海道の札幌生まれで、


アクセサリー作りとアクアリウムが趣味のやる気がいまいち無い学生だ…




そんな2人が歩いている方向は


電気の点灯している大きな2201の教室…


夜の11時40分に着いた時には既に7人は集まっていた…




篤志「お疲れ様です。一応点呼取りますね。


山崎さん、太田さん、立蔵さん、


高橋さん、鈴木さん、小林さん…


最後に竹田さん…全員いますね?」




7人の男女が名前をそれぞれ呼ばれて静かに笑っていた。


篤志の軽いTensionテンションに安心感が生まれたのだろう…




美都さんが鞄から小型のノートパソコンを起動して録音ソフトの準備をする。




美都「えっと…準備が出来ました。


雑音が入らない無予算の静かな場所と時間という事で…


こんな遅くにすみません…」




男子の高橋が、まるであらかじめ用意していたような答えを話した。




高橋「ああ、それなら別にいいんですよ。


広報部の部長にはこっちも部費から金額貰ってますから」




篤志「えっ?そうなんですか?初耳っす…高橋さん」




高橋「さんは付けなくて良いよ。同じ学年だし…


みんな1人2000円貰ってるよ。


無償でこんな夜中に大学で集まって、


怪談話なんてしないよ」




篤志「ええっ!部長予算の使い方おかしくね?」




美都「わ、私に言われても…私も初耳だし…


あっ、みなさん缶コーヒー配りますね。


エメラルドマウンテンしかなくて…


はい、篤志君…」




美都は鞄から缶コーヒーの入ったケースを配った。


篤志がちょっと恥ずかしそうに頭をかいて、


コーヒーを受け取る。




篤志「サンクス!美都ちゃん、これってもしかして自腹っすか?」




美都「ちゃんは止めてよ。


背が低くても年上なんだし…


あっ、2時間ほどで終わりますけど、


深夜バスも大学のバス停にはありますから…


途中で寝ない為に買ってきました」




篤志「俺らは小学生か中学生ですか…


飲んだ後にトイレに行きたくなって


怖い目に遭っても俺は知らないっすよ」




美都はビクッと体が震えた。




篤志(そういう状況考えてないんかい…)




みんながコーヒーを飲みながら談笑している内に、


美都は戸惑いながらも手を休めずに、


録音ソフトの準備を完了させ、篤志に伝えた。




美都「あ、準備出来ました。


それでは起動しますので、


右の山崎さんからお願いします」




山崎と呼ばれたキツい感じの眼をした


胸の大きめの女性が、それを聞いて頷いた。




篤志は万が一のためにスマホの録音アプリを起動して、


これから始まる怪談話を静かに聞くことにした。




静寂の中で山崎が口を開いた…




これから始まる7つの怪談…それは実際に起きた出来事…




篤志は真剣な表情でその話を聞いた。

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