婚約破棄ですか。ええご自由に。私は貴方様にとって悪役令嬢のようですからね

さち姫

第1話婚約破棄

「スティングレイ!私はお前と婚約破棄をする!!お前のような人を貶めるような女に王妃は務まらない!!」

この国の第1王子であり、私の婚約者セルボ様は私を指さし、大声でそう仰いました。

それも、高等部卒業パーティーが始まって直ぐに。

ご自分の息子であり、来賓としてでもある、国王、そして王妃も出席されています。

その上、近隣の来賓の方も参加されており、皆様王族に連なる方ばかりの中で、セルボ様は仰ったのです。

これからまだまだ、来賓の方の挨拶、祝辞などを有難く頂戴する順番ですのに、どうせならダンスの前とかにすれば宜しいのに、と冷静に思いました。

それも、私から向かって右にプラド・モジュール様。侯爵家の御息女です。

左には、ルミナス・クラジャ様。伯爵家の御息女です。

そのお2人がピッタリとセルボ様に寄り添い、ざまあみろ、と言わんばかりの顔で私を笑っていました。

「婚約破棄、でございますか?」

「ああそうだ!そのすました顔も今だけだ!!お前の悪事を説明し、どれだけ最低の女か皆の前で暴露してやる!!」

得意顔で笑いだした。

はあ、そうですか。

ですが、そこにはべらかしているお2人とも、婚約者候補からあまりの酷さにさっさと外れてしまった方々ですよね?

私こと、スティングレイ・ブリュシは伯爵家でございます。そうして、そこにいるお2人より、正直格下の貴族ですが、誰よりあなた様に相応しい、と数多の婚約者候補の中から選ばれ、5年が経ちます。

その間、自分で言うのもなんですが、文句のつけようのない日々を送ってきました。

それなのに、私に婚約破棄と吐き捨て、これまた、数多の噂のあるその方々と一緒にいると言うのは、如何なものでしょう?

まあ。いいでしょう。

説明して下さるとの事なので、聞きましょう。

とうよりも、私も婚約破棄は万々歳です。

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