第11話 両片思い

玄関を開けて、1LDKの部屋に置かれたソファに腰掛ける。

彼女はベッドに横たわり、「はぁ..」と大きくため息をつく。

疲れているのか悩んでいるのかどう接したらいいか分からなかった僕は

「何か僕に出来ることがあれば言ってね」と言った。

すると彼女は「...ベッドに来て添い寝して欲しい」と甘い口調で誘った。

これは誘われているのか?そんな思考がよぎったが、好きな人がいるという噂に

すぐ上書きされ、そんな期待も消え去った。僕はベッドに入って横に寝そべった。

「違うよ佐藤君。ハグの姿勢で添い寝するの。やったことないの?」と挑発的に

言われたので「やったことぐらいあるし。馬鹿にしないでよね」といって

思い切り抱きしめた。やはり女性の肌は柔らかい。癒されていく。

やっぱり好きだ。そう思ってしまった。好きじゃない。推しだ。俺はファンの1人だ

ファンは恋してはいけない。そう思いながら煩悩を消した。

彼女はずっとにやけている。

私は思った。ずっとこの時が続けば良いのに..

やっぱり君が好き。そう思ってしまった。好きになって良いのかな。まだ、悩んでいた。

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