恋は淡雪の降る日から
たこすけ
プロローグ 出会い
淡雪の降る頃、二人は出会った。
いつものように、家から少しした所にあるお店で買い物をしようとした
一人の少女だった。
自分と同じ学園の制服を着ている生徒。先程からなぜか視線をあちらこちらにとばしており、どこか焦っている様に見える。
それを見て、話しかけようとしたが、蓮は躊躇った。
多分困っているのだろうが、同じ学園のその上知らないやつから話しかけられる方がよほど困る出来事な気がするからだ。
蓮は特別関わろうとも思ってなかったので、目線を前の方に向けて歩き出そうとした瞬間、雪がちらちらと降っていることに気がついた。
今日は、今年一寒くなると天気予報でも言っていたがまさか雪まで降るとは予想がつかなかった。
別にいつもなら、雪が降ろうとそこまで気にせず降ってきたな、くらいの感覚でしかなかったがなぜか今日はその雪を蓮は気にしてしまっていた。
理由はわかっていた。
さっきまで自分が見ていた彼女のことだ。
困っているような姿を見せる彼女、さすがに雪が降ってきた今見過ごすことはできなかった。
「はぁ……」
小さくため息をつくと、蓮は女の子の方へと近づいて行った。
「あの、何か困ってる? 」
蓮が話しかけると、女の子は体をビクッとさせこちらを振り向いた。
雪のある場所がよく似合いそうなサラサラとした白髪を持っており、その髪を短くまとめている。
顔立ちも非常に整っており、振り向いた直後、蓮は不覚にもドキッとしてしまった。
さっきは遠目だったため気づきにくかったが、今更になって蓮は後悔する。
だって、どう考えても不釣り合いにしか見えないから。近くで話すだけでもそれがわかってしまう。
だがそれでも話しかけてしまった以上、もう後戻りはできなくなってしまっていた。
「はい……お恥ずかしながら道に迷ってしまって」
どうやら道に迷っていたらしい。
歳が近く見えるからか、あまり警戒はされてないみたいだった。
警戒されたらどうしようかと思ったがこれなら大丈夫そうかと、蓮は会話を続けようとする。
「目的地とかってわかる? それかその付近の場所とか」
「あ、それならわかります。『白雪』ってお店なんですけど」
女の子が目的地の名前を出すと、思わず蓮はおぉ、と声を出してしまった。
彼女の言った『白雪』という名前のお店は、蓮の家の家からさほど距離が離れていないので蓮もよく行くお店だったのだ。
ちなみに、『白雪』はカフェでありそこによくコーヒーを飲みに行ったりもする。居心地がいいのでよく居座ってしまっていた。
「そこなら場所分かるけど、よかったら連れてくよ」
「え、連れて行ってくれるんですか? 」
「まぁ困ってるみたいだし。そこまで負担かかるわけじゃないしね」
元々、買い物帰りに寄ることもしばしばあったので、蓮にとってそこまでの負担になるものでもなかった。
それよりも彼女の方が心配だった。
彼女はそれを聞き、どこか安心したような顔をすると、よろしくお願いします、と小さな声で言った。
「じゃ、いこっか」
「はい」
雪がまだそこまで強く降ってないうちに二人は歩き出した。
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