カバのシナリオ自習室ー「わ、私のノート……よかったら見せてあげる」

カバかもん

第1話 『柱・ト書き・セリフ』

 シナリオ、もとい脚本には媒体ごとに様々な形態がありますが、

 基本は『柱・ト書き・セリフ』で構成されています。


例:

〇カバかもんの書斎(夜)

   カバかもんが机に向かいノートパソコンでダラダラ駄文を綴っている。

カバかもん「なんか耳の裏側がムズムズすんな~」


 ↑が基本的な脚本の書き方です。

  解説すると、以下のようになります↓


〇カバかもんの書斎(夜) ←これが『柱』

   カバかもんが机に向かい~ ←これが『ト書き』

カバかもん「なんか耳の裏側がムズムズすんな~」 ←これが『セリフ』



・『柱』とは?

 場所や時間を指定する要素。

 先頭に『〇』をつける。時々、〇の中に番号を入れるときもある。

 柱を立てない限り、セリフやト書きを置くことはできない。

 『いつ、どこ』なのかが分からないと、何をしているかだけ書かれても映像として表現できないからです。

 柱を立てた後、すぐにセリフを置くこともNG。

 場所・時刻が分かっても、誰が何をしているのかが分からないと、映像として成立しないからです。

 もし映像に誰も移さず、柱の直後にセリフを置きたければ、


〇カバかもんの書斎(夜)

カバかもんの声「あうッ……! また腰が痛みだした……っ!」


 などとする。


 (夜)←この部分は言うまでもなく時刻の指定。

 俗に『照明』と呼ばれている。

 色んな人のために指定しておいてあげてください。



・『ト書き』とは?

 ト書きは映像として映る部分の全てを描きます。

 書くというよりも描くという表現が近いかもしれません。

 頭に思い浮かんだ光景をそのまま描いてください。

 俗にいう、『丸裸で書く』というものです。

 どういう意味かと言うと、余計なものは一切書くなという意味です。

 ト書きは、小説の地の文とは違います。

 地の文は人物の心情を表現することが許されています。


 例:

 カバかもんは年頭から独り身の寂しさに人知れず打ち震えていた……


 しかしながらシナリオもとい脚本は目に映るもののみ書きます。

 人物の心情を表す手段は色々とありますが、ここではシャレード(隠喩)という技法を用いてみます。


 例:

   カバかもんはポリポリと耳の裏を掻く。

   お気に入りのVチューバ―の配信が流れる画面の再生を止め、席を発つ。

   自ら湯呑に茶を淹れる。一言ポツリと呟く。

カバかもん「さっむ……」


 誰もいない部屋や家の中で何となく物寂しい感じが伝わってくれたら嬉しい。

 なににせよ、『映像にならないものは書いてはいけない』という鉄則を忘れてはならない。

 補足すると、ト書きは原稿用紙から3マス空けて記入し、行が変わってもその3マスを空けることをキープし続けなくてはいけないという暗黙のルールがあります。



・『セリフ』とは

 いうまでもなくセリフ(台詞)です。

 喋る役名「」

 という風に、まずは誰が喋るかを指定しましょう。

 セリフの最後に句読点(、。)がきたら省いてください。

 行を変えるときは先頭から1マス分空けます。

 留意しておきたいこととして、長台詞の多用は控えるえべきということです。

 ほとんどのセリフは『20文字1行』の原稿用紙であれば、一つのセリフにつき3行以上になりそうなら要注意です。セリフをもっと簡潔にするか、分けるかしましょう。分けたセリフの間には、ト書き……もといキャラの動きや絵的な動きを入れて、作品を観てくれる人を退屈させないようにしてください。

 長台詞を多用してもよい例外として、キャラクター性をよく発揮して、更に見せ場のシーンであること。つまり、たまになら良いということです。

 または戯曲……演劇であれば長台詞が一つの様式美となっています。それには理由があり、映像作品のように表情をクローズアップできないから感情をセリフにしないと伝わらないという特性があるからです。

 長台詞が悪手だと言われるのは、どうしても『説明セリフ』になるからです。

 ここぞという時だけ使うようにしてください。



 『柱、ト書き、セリフ』の解説は一旦ここで終わりにします。

 私の復習におつき合いいただきありがとうございました。

 この記事が皆さんにも何らかしらの形でお役立てできれば幸いです。

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