かつて、白かった私達へ

@sayo_tukune

第1話 終わりの始まり

6月15日、雨がよく降る日​──。


古典の授業中。

この授業の時必ず眠くなるためクラスメイトから

古典の先生は催眠術師と呼ばれていた。


眠気を感じた俺はなんとなく空を見ていた。

空が曇り雷が鳴り低気圧のせいか頭も痛い。

俺は雨の日が嫌いだ。

気分も下がるし、外で遊べない。

おまけに今日は傘を持ってきておらず

この大雨の中ずぶ濡れになりながら帰る

ことになりそうだ。


いつやむのかなぁとふと空を見上げると

屋上に人影があった。

この雨の中傘もささず。

うちの学校の屋上は珍しく開放してあり

最終下校時刻までならいつでも出入りできる。

また日光がよく当たるため

いわゆる一軍グループに特に人気だ。

自他共に認める陰キャの俺は

縁もゆかりも無い場所だった。

なぜそんな所に人がいるのだろうか。

少し気になった。


この授業が終わったら確認すればいい。


そう思ったその時だった。


何かが屋上からゆっくり落ちてきた。

曇り空のせいでよく見えない。

目を凝らして見てみると、


それはさっき屋上に立っていた人だった。


「え…?」


俺は思わず間抜けな声をあげた。

今起きている状況が何も理解できない。


きっと気のせいだ。

そう思い乗り出して見てみても

やはり、さっきの人だった。


落ちる先は​コンクリート。

このままじゃ​──。


俺は後先考えずに教室を飛び出した。





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