性的虐待の真相

静岡に入った。

三保の松原に立ち寄って、駿河湾と富士を背景にエマの写真を撮る。エマは体型も良いし笑顔が可愛い。私の求めに応じてカッコつけたり、ひょうきんなポーズをとる。

私は、エマへの好き!が止まらなくなる。私は47歳になる。エマとは30才の年の差なのだ、、私はエマのそばに行ってハグをした。ハグが強過ぎたのか「どうしたの?」とエマが聞く。

「お前、可愛い過ぎるんだよ!」と私し。

「私を好きになってしまったの!」と冗談ぽくエマが言う。

「もうメロメロで御座います、女王様。」と私。

「可愛そうに、私を抱きたいのですね。」とエマ。

「抱かせて頂けるのなら何でも致します。」と私。

「それでは抱かせて上げましょう。その代わり生涯私の奴隷に成りなさい。」

「ありがとうございます、私は女王様の奴隷になります。」

その時エマの瞳が色味をました。

「ねえ、今すぐ抱いて、、」


北海道にいた時 私は喪失感で打ちひしがれていたのに、今はエマに夢中になっている。私は亡き妻に後ろめたさを感じながら、エマに呑み込まれていく。


静岡からはノンストップで明石海峡大橋まで走った。世界最長のこの吊り橋は私は何度か通行しているのだが、エマは初めてなのでやたら感動している。これから淡路島を通って鳴門海峡大橋から四国に渡り、さぬきから高松へ向う。高松から今治まで約300キロを一気に走り、今治のホテルで泊まる予定だ。そして次の日の早朝しらなみ海道を走る。しらなみ海道は島から島へと橋で繋いだ美しい橋の有る道だ。エマも楽しみにしているのだ。


私1人での車中泊とエマと2人での車中泊では、かなり状況が違ってくる。1人の時なら、お風呂は3日か4日に1度で良かったのだが、エマと一緒だとそうはいかない。

毎日愛し合うとなると、2日に1度はお風呂に入りたい。そうなると、どうしてもモーテル泊が増えてしまう。それにバネットは2人では少し狭いのだ。天井も低いし長く居ると息苦しくなってくる。そんな分けで、モーテルかラブホに泊まることが多くなる。


旅館やホテルに比べるとモーテルやラブホは部屋貸なので、1人でも2人でも料金は同じだ。2人だと とてもコスパが良い。今治での宿泊はモーテルではなくラブホにした。モーテルよりラブホの方がベッドが広く、浴槽も大きい。自動販売機もあって超快適なのだ。


お風呂から上りベッドに入ったが疲れているはずなのに、気持ちが高揚してなかなか眠れなかった。エマも同じらしく、これまでの話とか、これからの話など、取り留めもなくいつまでも話しをした。


無理に話さなくても良いけどさ、と前置きしてエマに聞いてみた。

「あのさあ、父親の性的虐待ってどういう事だったの?」

「性的虐待じゃあ無いかも、、嫌だって口では言ったけと、抵抗はしなかったんです。」

「いや、そういう事ではなくて、父親が子供とセックスすれば虐待なんだよ。」

「それは分かっているけど、きっかけは私が誘ったのかも、、」

「そうだとしても、虐待になるんだけどね。」

「うん、、、」

「お父さんとするのは嫌じゃあなかったんだね。」

「お母さんがお父さんと暮らし始めたのは中一の時だったから、私はお父さんだと思えなかったんよね。多分お父さんも私を子供だと思えなかったんだと思う。」

「中一じゃあ無理も無いなあ。」

「私ってお母さんとよく似ているんだよね。好きな食べ物とか、男の好みとか。 私の部屋は別だったけど、お母さんと父さんの息づかいが聞こえるんです、毎晩するんてすよ。お母さんを取られたみたいで寂しかったんだよね。私も抱いて欲しかったんだと思います。」

「お父さんのことが好きだったんだね。」

「お母さんには悪いって思っていたんです。お父さんも、もう止めようって言ってたんです。でも私は無理だった、、学校で虐められて、家に帰ると私だけ1人なんて、、」


なるほどと思った、母子で支え合って生きてきて、学校での虐めにも耐えられた。エマは母親の結婚で部屋も別になり、家でも1人になったのだ。中一となれば性的な興味も出てくる頃だ。

「だからエマがお父さんを誘ったんだね。」と聞くと

「誘ったと言ってもね、お父さんは私に手を出さないと思ってたから、、だから安心して誘ったというか、、そこが微妙なんです。」

それは確かに微妙だ、エマは危ない綱渡りを楽しんでいたのかも知れない。


「父さんのことが好きなの?」

「ううん!  今はパパが好き!パパだけだよ!」と無邪気に言う。

そして、、

「私の話ばかり聞いて、、私はパパの事を何にも知らないんだよ。スマホの待ち受けの綺麗な人は誰なの?気になるんだよね、、」と言った。


「ああ、スマホの写真の人は、亡くなった俺の奥さんなんだ。」

「亡くなったの?じゃあパパはいま独身なの?、、指輪してるから結婚してるのかと思った。」

「結婚はしてたんだけど、今年の2月に妻がコロナで亡くなってね、、そろそろ指輪を外さないとな。」

「コロナだったんですか。奥さんの事、愛してたんですね。」

「うん、妻が亡くなって思い知らされたんだよ。どんなに妻を愛していたのかってね、、死んでから気がつくなんて皮肉なもんだよ。それで葬儀が終わってからさあ、俺、メンタルが壊れちゃってさあ、、鬱病みたいになってしまって、、」

「それで旅をしてたんですね、、」

「ああ、若いころ行った事のある北海道に行って山歩きをしてたんだけど、冬に追われて本州に逃れてね、流れ流れて埼玉のスーパーでエマと出会ったんだ。」


そこまで話すとエマが寄ってきて私の頭を胸に抱える様に抱いた。

「パパ可哀想、、私 パパのこと愛しているからね、いっぱい愛してあげる。指輪は外さなくてもいいよ。気にしてないから、、」エマはそう言うと私の頭に頬ずりをした。エマの優しさに包まれた私は、彼女の胸の中でなぜか急に目頭が熱くなり涙がこぼれた。エマを助けていたつもりだったのだが、違ったのかも知れないと思った。置き去りに怯えているのは私の方なのだと、そのとき私は悟ったのだった。

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