『おまけつき』
やましん(テンパー)
『おまけつき』 上 (全三回)
これは、フィクションです。
SFと呼べるほど、科学的ではありません。
あえて言えば、『妄想小説』(D.F.)であります。
・・・・・・・・・
大銀河スーパーせり会場。
地球と月の間に出張してきた、移動式人工惑星である。
本拠地は、アンドロメダ星系、タブロイド連星である。
せり人
『はいー。では、今日の目玉です。環境破壊、食糧問題、エネルギー問題、伝染性疾患など、トラブル山積で、自分達では、もう、どにもならなくなり、売りに出されました、自称銀河系内太陽系地球です。はい、あれです。まさに、いま、目の前にあります。今回、おまけに、地球の月も付いてくる。最近月では、最新エネルギー物質、乙姫鉱が発見されました。1グラムで、太陽系から、アンドロメダまで、往復できるという、夢の資源です。もちろん、その利権も付いてきます。ただし、落札しても、地球生物を故意に殺さないこと。が、条件。なお、性質上、地球人と、政府関係者さまは、入札できません。はい、これは、まずは、五億超アンドロメダドリミから。』
入札者Aの代理人
『五億一千万』
せりにん
『はい、五億超一千万でました。はい、感染症の新治療薬も付けましょう。いかが。』
入札者Bの代理人
『はい、五億三千万』
せりにん
『はいはい。五億超三千万、出ました。』
入札者C
『六億超ドリミ』
せりにん
『いきました。六億超ドリミ。さあ、まだ、始まったばかり。さあ、行きましょう。』
・・・・・・□□□□・・・・
裏の事務所……………
事務員弌
『あんな、やっかいなの、おとして、どうするのかな。』
事務員弐
『まあ、超お金持ちというのは、理解不能なものなんだからね。実際のところの、落札後の費用は計り知れないから、たぶん、必要なもの以外は、きっと、地球人に返却されると、見られている。それなりの利益と交換に。』
事務員参
『いやあ、噂では、いわゆる、暗黒集団が買い取りを狙ってるとか。地球人ではないし、国家や政府でもない。実態は不明だが・・・闇の力でなんでもできるとか。銀河連盟も、その、進出を恐れているとか。』
事務員弐
『おそろしやあ。だいたい、地球を売り出したのは誰?』
事務員四
『そりゃ、あんたさん、表向きは、地球再生財団とかばい、けんど、実態は、地球政府を成しておった、『地球自由独裁党』の総裁、とか。そやつは、小学生から、自分の名前を徹底的に覚えさせ、もし、庶民が名前を、ちょっと言い間違えただけで、バラバラの刑にしただとか。しかし、その名が、あまりに長くて、重鎮でも間違わない方がおかしいとか。だから、だれも、あえて名を呼ばなくなり、認知度が下がったらしい。またあまりに、ばらばらにする人が多すぎて困ったらしくて、やっと、省略名を認めたとかぞな。それは、伝説だとも言われるがな。』
事務員五
『じゆげも、じゆげも、ごこうがさすれど、もちつきの、かけたるものも、がばめんと、ばいざ、ぴーぽー、………えと・・・・とか。』
事務員弐
『すごいな。そこまでは、あってるな。』
事務員参
『でも、ネット見ると、なんか、その、さらに20倍以上はある。』
事務員弌
『まあ、やなやつ、だな。覚えられるほうが奇跡だ。』
事務長
『こら、無駄話、禁止だ、』
・・・・・・・・・・・・・・・
せりにん
『はい。いま、7億超ドリミです。他には?』
『…………………』
『もう、締め切りますよ。そんなもんですか? まあ、地球は、辺境惑星だが、秘めたるものは、多いとされます。』
すると、ある、巨大な帽子を被った女のひとが、決められた、サインを入れた。
『はいー。きました、なんと、一気に、10億超ドリミです。はい。はい。どうしますか、もうないか。ないか? さすがに、ないか?』
そんな、とてつもない額の入札をした人は、じつは、宇宙海賊、マ・オ・ドクの子孫と名乗る人物の代理人だった。
どういう関係かは、わからない。
しかし、それは、わかる人には、すぐ、分かるものである。
『海賊』と言っても、今は、合法的な貿易業をしているのだが、その資産は計り知れないという。
元々、流れ者だった祖先だが、火星の女王さまの、追っかけをしていたほどの、大ファンだったという。
やがて、その女王さまの贔屓があり、その私掠免許を持つ、大海賊になった。
今の、お『頭』は、その子孫だというが、実は、不死化した本人だとも言われる。
火星の女王様と深い関係があるとされる、地球の小さな王国の王女さまを、いまだに、追っかけているらしい。
つまり、地球との縁があるのだ。
これは、重要なことだ。
一方、こう、呟いた人物がいた。
『くそ。ばかめ、仕方がないか。』
会場の反対側にいた、色違いの巨大な帽子を被った女性が、入札の合図を入れた。
『でたあ。15億超ドリミだあ。さあ、どうする。』
こちらは、ド・カイヤ集団と呼ばれる、銀河宇宙最大の、投資集団の代理人である。
これも、見る人によっては、すぐわかる。
その人は、総統、ド・カイヤの奥さん、ポプリスさんそのひとである。
実態は、ポプリスさんが実権を持っているらしい。
この女性も、謎の多い人だ。
人類ではないだろうと、言われるが、その正体は、いまだに誰も知らないらしい。
銀河系外から来たとも言われる。
まあ、つまり、その筋では、超有名人であった。
しかし、実は、火星の女王様とは、まだ、地球に文明がない、古い時代にあっては、親戚筋だったのである。
つまり、こちらも、地球との縁があるのだ。
まさに、入札会場は、一騎討ちの様相に成ってきたが、もうひとり、いまだに、様子眺めをしている人物がいた。
それは、火星に総本社があり、地球とも縁の深い、ババヌッキ社の若社長である。
彼は、地球を救うべきかどうか、純粋に迷っていたのだ。
地球の、あの、愚かな支配者は、ババヌッキ社のお得意先でもある。
はっきり言って、尊敬には値しない人物だ。
しかし、地球を手放しても、巨大な財産があり、なにかと、口を出してくるに決まっているし、会社にとっては、大口の顧客ではあるし、この先も、そうであってほしい気もする。
重役たちは、だいたい、そう、思っている。
しかし、地球の民を、あれほど苦しめた、罪深き君主だ。
良いのか、いまのままで。
自分の場合は、幸い火星に籍がある。
入札者になりうるのだ。
現場には、娘を遣っている。
どうする。
それから、ついに、社長は、連絡を入れた。
また、もうひとり、というか、ひとつ、というか、ようやく、動き出した存在がある。
銀河系でも、アンドロメダ系でもない、未知の宇宙に本拠地がある、それこそ、なぞの、暗黒集団である。
地球の『人類系生物』が、その姿を見ると、体がばらばらになるという、恐るべき、存在なのである。
彼らは、ロボットを使って(合法だ。)入札しようとしていた。
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