閑話~ゆか~
私は天口ゆか。
みんなから「きつい性格だな」とか「言い方が上から目線」などと陰で言われている。
私はそれに耐えることができず、やめようとしていた。
だが、それはかなわなかった。
理由は、私に「あるデビューしたての作家の担当を頼む」と上の人から言われたから。
それが久司久司先生。
私は「その久司久司って名前は何?」と聞くと「思いつかなかったから自分の名前を2回続けただけですよ」と答える。
私はその後、小説に目を通していく。
そして私は「デートのシーンなにこれ。子供のお遊戯?」と言う。
すると周りから「またか…」だの「その言い方直らないのかな」と聞こえてくる。
すると久司久司先生は「いやあ、すみません。デートしたことないんです」と答える。
私は何を言っているのかわからなかったので「は?」と素で言ってしまう。
「実体験あった方がイメージしやすくなって書きやすくなるんですよ」
久司久司先生が答える。
私は久司久司先生の言っていることは理にかなっていると思ったので
「今週の土曜日、ここにきて。デートみたいなことするから」
と言ってその日は解散した。
そして土曜日。
私と久司久司先生はデートもどきをする。
デートもどきの最中に私はうっかり財布を落としてしまう。
すると私の異変に気が付いた久司久司先生は「どうしました?」と声をかけてくれたが私は強がって「なんでもない。デートもどきの続きをするぞ」と言うが久司久司先
生は「嫌です」と答える。
そして続けて「そんな強がりながらするデートはデートじゃない!」と久司久司先生は言う。
「は?強がってないけど?」
「強がってますよ!」
私はイラついた。
そのまっすぐさに。
そして「うるさい!これは私の問題!あなたには関係ない!」と言う。
「じゃあ、なんで関係ないならそんな表情をするんですか?!なんで捨てられたような子犬の顔をするんですか?!」
私はそれを聞いたときに自覚する。
心のどこかで「誰かが私のことを助けてくれる」と思っているということを。
「じゃあ、あなたは私のことを助けてくれるの?」
私は無意識に久司久司先生に聞いていた。
「任せてください。で、どうしたんですか?」
私は財布を落としたこと、財布の特徴を言う。
そして久司久司先生と一緒に探す。
数時間後、久司久司先生が財布を持ってきた。
久司久司先生曰く、ゴミ捨て場にあったそう。
私は中身を見てみるとお金が無くなっていた。
私は愕然とする。
すると久司久司先生が「財布を買いに行きましょうか」と言う。
「私お金ない…」
「デートでは男がお金を払うんですよ?」
久司久司先生が私に言う。
そして1万円の財布を買ってくれた。
しかも私の欲しかったやつ。
そして帰り際。
久司久司先生がお金を渡してくる。
「このお金は?」
「お金、無くなってたんですよね?これは切符代と当面の生活費です。少ないですけど」
と言って私に渡してきた。
渡された金額は切符代、生活費とも余裕で足りる。
私は受け取ることを拒否したが「いいんです。受け取ってください」と久司久司先生が言って私にお金を握らせる。
私はその日から久司久司先生のことを考えるようになった。
私もよくわからなかった。
そして直した原稿を見せる日。
私は久司久司先生と話し合う場所に向かっていると、久司久司先生が私以外の女と楽しく話をしている場面を目撃した。
その時、話している女を殺したくなった。
それと同時に私は久司久司先生のことを1人の異性として好きだと自覚した。
そして久司久司先生が来ると私は「久司久司先生、私はあなたの担当を降りるつもりはないからな。あなたが何と言おうとも」と無意識に言ってしまう。
「何言ってるのかわかりませんが、まあ、よろしくお願いします」
久司久司先生はそう答える。
そして原稿を見る。
読んでいて面白かった。
なのでこのまま私は受け取った。
そして販売日。私は久司久司先生と本屋に来た。
すると断トツで久司久司先生の小説が手に取られていく。
そして数日後。
上の人から「久司久司先生もとい、久司先生と今後のこと、ここの専属になるかならないか話し合え」と言われた。
そして久司久司先生の都合のいい日に呼び出して話し合う。
私は「このまま専属にならないか?」と提案するが反応はいまいちだったので理由を聞くと「他の出版社からも話が来ている」と言われた。
この時、私の心の真ん中にぽっかりと穴が開いたような感覚がした。
そしてその日は結論が出なかったのでお開きとなった。
その夜。
私は眠れなかった。
目を閉じると久司久司先生が私から離れていく情景が何度も浮かんでくるから。
そうしていると私は急に久司久司先生の声が聞きたくなったので部屋の明かりをつけて電話をかける。
すると久司久司先生は3コール目で出る。
「どうしたんですか?こんな夜中に」
私の心が満たされていく。
『さっきの話の続きをしようと思ってな』
「あ〜、まだ決めかねてます」
久司久司先生が申し訳なさそうに答える。
『なあ、ここの専属になれば私は取材に毎回協力するぞ?』
「何言ってるんですか?」
『私の嫌なところを言ってくれれば頑張って直す』
「どうしたんですか?!」
『私の髪型が嫌なら久司久司先生の好みにする!だから…だからここの専属になってくれ!』
私は気がつくと泣きながら久司久司先生にお願いしていた。
すると久司久司先生は少し考えた後、「はぁ〜、わかりました。天口さん、明日断りの電話入れるの手伝ってくださいね?」と私に言う。
『じゃあ、ここの専属になってくれるのか?』
「そうですね。天口さんに泣きながら必死にお願いされたので」
私はそれを聞いた時、嬉しさのあまり声をあげて泣いた。
久司久司先生は電話の向こうで焦っていた。
それから私と久司久司先生もとい久司君は二人三脚で小説を書き上げた。
そして脅威の売り上げをたたき出した。
そんなある時、私は違和感を覚え始めた。
だって、ヒロインの描写が上手くなっているから。
まあ、書きなれたという可能性は否定できないが、何か嫌な予感がした。
いわゆる女の勘ってやつ。
なので私の知り合いの探偵を雇って調査してもらった。
その結果、女2人と暮らしていることがわかった。
名前はまゆとゆな。
ゆなは久司君の妹だと知っているが、まゆは知らない。
そして久司君にある仕事が舞い込んでくる。
そう、エロゲのシナリオ作成だ。
私は久司君に「私を使って!」とアピールしたが遠慮したため、「どうしても書けなかったら必ずやるからな?」という内容を言って通話を終える。
まあ、予想通りえっちなシーンは没だった。
私が何か方法が思いついたかと聞くと『エロいものを片っ端から見ていく』と言う。
私は「DVDのレンタルショップに置いてあるR18のやつも含むのか?」と聞くと『はい、そうですけど』と久司君が答える。
私は反対する。
私は「言葉通り一肌脱ごうか?」という内容のことを久司君に言うと『<自主規制>なプレイをさせますよ?』と言われた。
私はそれを想像して声にならないような声をあげる。
私は「ほ、本番もそ、それに含むのか?」と動揺しながら聞くと久司君が肯定する。
私はまた声にならないような声をあげる。
私は「い、いい案が思いついたらやる前に電話しろ?いいな!」と言って通話を終える。
私はその後、久司君にあんなことやこんなことをされる妄想をする。
私は自然と顔が赤くなっていくのがわかる。
すると久司君から呼び出されたので行くと、そこにはまゆとゆながいた。
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