君とボク 特別な日に

Michita

第1話 クリスマスイブに

色々な偶然が重なり、君と出会う事になった。そんなボク達。

しかしながら、様々な事情がある事から、何とも言えない関係が続いている。

さすがのボクもこれではいけないと思っているのだが、その一歩を踏み出す事が出来ない事情がある。


そこで、ボクは踏み出す事が出来ない、事情を無くす事に努めるために、行動を起こした。そうしたら、その反応が返ってきた。それには予想外であった。

そういう事で年末が近づいてはいるが、何とか出来そうな感じである。


しかし、その一方で君との関係のこれからを考える。。。それは君と再会してからずっと考えている事だ。正直言って、これだという答えが今の段階では出ていない。本当に情けない感じがする……。


クリスマスイブに君と会う事になった。そして、おそらく今までにない時間、君と過ごす事になる。ボクにとって、嬉しいと思う反面、これが最後になってしまうのではないかという不安もある事は隠しきれない……。それだけ、君の存在はボクの中で大きいのだと思う。


君は何気ない会話の中から鋭い質問を投げかけてくる。君が求めている答えとはほど遠い答えを出して君を失望させてしまうのではないかと思い、ハラハラしてしまう。


しかし、そのような時間も大切に思えて仕方がないのだ。ボクは今まで君の事を憧れの対象としてみていた。だけど、君と関わっていく時間が長くになるにつれて、君という人間としての魅力を感じるようになった。


シンプルに言うと、君と会いたい。そして話がしたい。それは無性にだ。。。こんな想いをボクはかつてしたことがあるだろうか……。ないと思う。

君はボクにとって高嶺の花だと思っている。


君はそんな大した事はないと言って笑っている。しかし、あの日感じたのは、貴女はすごい。カッコイイだった。そんな幼い想いが、この月日が経った今でも感じてしまうのではないだろうか。


今日、君と会うという事で、ボクは感情が高ぶっているんだと思う。自宅でじっとしてられないのだ。

だから、待ち合わせにはかなり早いのだが、出かけてしまった。いつものスタバの席でiPadでこの記事を書いている。


今日、ボクは君の問いに対する答えを伝える。君と時間を過ごす中で、君への想いを込めた答えが出ると思っている。。。と考えながら、いつものようにブログの記事をいつものスタバの席で記事を書き上げて、時計を見ると待ち合わせの時間の30分前だった。ボクは期待と不安が入り混じる、何とも言えない感じを覚えた。まだ、この時は君の問いに対する自信を持った答えをまだ準備出来ていなかった。


ボクは君とクリスマスイブの日にまさか、君と一緒に過ごすことになろうとは夢にも思っていなかった。だって、ボク達はその特殊な関係さを保つために、お互いに距離をおいていたのだから……。


距離をおいていた間に、ボクは自分がしなければならないことを自分なりに考え、行動に移していた。そういうことをしなければ、自分自身を正常に保つことが出来なかったのだと思う。

そして、距離をおくという日が経つにつれ、君へ会いたいという気持ちは強くなっていった。


しかし、その思いを君に伝えてはいけないというのも分かっていた。本当にもどかしい思いだった。そのような中で、ボクは自分が得意なフィールドで勝負をしようと考えた。

それが、このクリスマスイブの日に、君と食事をするということだ。

それも自然な感じで行うというなかなか、難しいことをボクはこなさないといけない。そんな思いをしながら、ボクは席を立った。


待ち合わせに指定した場所に立ちながら、ボクの視界に入った景色を物理的に残しておきたく、思わず、iPhoneのカメラで撮っていた。

君から「少し遅れる」とのLINEが入った。ボクは少し口が寂しい感じがしたので、近くのコンビニでミンティアを買った。君が来るまでの間、何回もタブレットを口に含むという行為を意味もなく行っていた。


しばらくすると、君が目の前に現れた。自分の頬が熱くなるのを感じた。

12時15分からランチをするカフェに向かう。およそ10分ぐらいの所にある。君と少し話をしたと思う。本当に些細なことかもしれないけど、こういう時間がボクにとっては大切に思えて仕方がない。


目的地であるカフェに到着。予約していた時間よりは早かったものの、席に案内される。君と食事をするのは初めてではないが、クリスマスイブというある意味では非日常と感じてしまう。。。それに、君をどうみてもキレイだし、素敵だと思ってしまう自分がいた。

ボクは君の顔、表情を直視する事が出来ない。ボクは照れてしまったりすると、ニヤついてしまうという変なクセがあるからだ。


カフェの店内は静かだった。ボク達だけだった。時間帯のせいだろうか? ボクは少し不安になってしまった……。

ドリンクバーになっているとスタッフさんから案内を受け、それぞれ取りに行く。

君はアイスコーヒー、ボクはレモン水というセレクトだった。なぜ、ボクがレモン水にしたかと言えば、その場の雰囲気に自分なりに合わせてみたかったのかもしれない。


先ずは一品目が席に運ばれてきた。ランチなのだが、なかなかの感じだった。昔の記憶を思い出しながら、お店を選んだのだがちょっと心配していたのだが、そこは問題ないだろうと感じていた。


そして、君が笑顔になってくれたのが、何より嬉しかった。最近のボク達の少しギクシャクとした感じだったから尚更な思いだったと思う。


君のことを意識し過ぎて、ボクは意味もなくレモン水を早々と飲み切ってしまった。いつもなら、しゃべることは得意なはずなのに、君を目の前にすると本当に話せなくなってしまう。本当に過去の自分みたいに。。。


スムーズに料理が運ばれてくる。ここでボクは気づいてしまった。

店内にいるお客さん達は、女性の方々ばかりで、男性はボクしかいないことに。。。それで、ボクは余計に照れてしまい、頬を赤くしてしまった。


いつもなら、料理の写真を撮らないボクがこの日ばかりは撮っていた。

この日、君と過ごしたことを物理的に残して置きたかったから。

そして、君の笑顔はボクの記憶に残して置きたかった。そんな思いをしつつボクはあるものを待っていた。


何か火薬の匂いがした。ふと振り返ってみると、プレートに小ぶりなホールケーキが載っていた。ボクがリクエストしていた「メッセージ」が書かれていた。この日のためのメインディッシュはケーキだったのだ。

一般的に「サプライズ」というものをこのボクもやってみたのだ。そうクリスマスイブ、君と仲良くなりたいという特別な想いを抱きながら。。。


君は本当に驚いた顔をしていた。隣のテーブルにいた高校生から「おめでとうございます」というコメントをもらってしまった。そこについては計算外である(笑)そして君から「もうサプライズはしないで!」と言われたことが自分の中では心地よいものだった。。。


最近、君とギクシャクしていた関係が解けていくような感じだった。

君とのクリスマスイブはまだ始まったばかりだ。


サプライズのケーキを食べ終わり、ボク達は席を立った。

まだ、夕方ぐらいまでは時間がある。そこでカラオケに行くことになった。


カラオケ。。。ボクは過去のある日のことを思っていた……。

「確か君と初めて会った日もカラオケに行ったよな」とボクは心の中で呟いていた。

自分の中で、過去と現実が交錯する感じがしてならなかった。


そんな思いを感じつつ、カラオケ店に着いた。2時間ぐらい歌う感じになった。君とは、音楽では全く共通点がない。ボクが聴くのは、アイドル系かアニソン、ボカロだ。まぁいわゆる、「オタク」だ。

対する君は、何と言えばいいのだろう。とても音楽性の高いジャンルを歌う感じとでも言えばいいのだろうか……?ボクとは世界が違う感じだ。


こんなにも、楽しいカラオケをしたことがあるのかって思うぐらい楽しかった。君の歌っている姿を見て、本当にカッコイイし素敵だと改めて思った。

最初は長いのかなぁと思っていた2時間はあっという間に過ぎていった。

この時、ボクは君と会っている時の時間はいつもより早いことが何だか不安を感じていた。


そして、時間は夕方ぐらいになっていた。そしてボク達はあの場所へ向かった。そう、君と初めて出会ったあの日の思い出の場所へと……。

ボクは電車の中で、本当に行っていいのかという思いを持つとともに、君と一緒に行きたいというある意味では矛盾した思いを抱いていた。


この街のシンボルになっていると思われる観覧車に君と乗った。

あの日と同じように。。。

ボクは冗談のように、「時空が変わるのかなぁ」とおどけた感じで言った。君は「さて、どうなるだろうか?」と言ってくれた。

そして、あの日見た景色とはおそらくは違うかもしれない。

だって、月日は16年経っている。だけど、こうして君と一緒に乗っているには変わりはない。


ボクもある意味では大人になっている。ある程度の経験はしてきたつもりだ。しかし、君を前にするとその経験は役に立たないことは何回も言ってきている。しかし、この観覧車のゴンドラではそれが証明されてしまった。

ちょうど、ゴンドラが頂上に達した頃、君からマスク越しにキスをしてくれた。その時のボクは何も出来なかった。まるであの日の時みたいに……。

君にとっては単純な「いたずら」だったのかも知れない。だけど、ボクにとっては衝撃的だった。また君がボクの中で存在感が増していく感じだった。


そしてこの時、君からの「私とこれからどうなりたい?」という問いに対しての答えが自分の言葉として次第に出来上がっていく感じがした。

だけど、まだ何かが足りないのも思っていた。

君とクリスマスマーケットを見たりして時間を過ごした。君と何気ない会話が出来るという、本当に何でもないことではあるが、ボクにとってはそれが何よりも大切に思えた。


そして、時間が夜に近づいてきた。ボク達はイルミネーションを見に向かった。ボクは今まで、イルミネーションとかは無縁の生活を送っていた。

住む世界が違うとか、勝手に思っていたし、興味がないとか言っていた。ただの強がりだったのかもしれない。

そんな初めてみるイルミネーションを君と見れることになるなんて。。。


イルミネーションが点灯される公園に着いた。途中、君と話をしたことがボクにとっては幸せな時間に思えた。

イルミネーションが点灯するまでは時間がまだ少しある。やはり人気のスポットのためか、家族連れやカップルなど、結構な人がいた。

ボク達みたいな特殊な関係性を持つ人はいるのかなぁと思ったりした。


そんなボク達だからこその何かがあるのではないかと、夜の公園で君と話をしながら考えていた。

そうしたら、雨が降ってきた……。こんな大切な時にと、ボクは自分が雨男なのかと思わず思ってしまった。だけど、少し降って雨は止んだ。

そして、イルミネーションは点灯した。


暗闇が一瞬で光に包まれた。ボクは思わず、自分の心と重ねてしまった。ボクは君と再会するまで、ずっと暗闇、モノクロの世界にいた……。何もかも絶望していた。それが、君と再会してから確かに色々あった。だけど、ボクの世界に色を取り戻してくれた。ボクの世界が変わっていくのを感じるようになっていった。

だからこそ、このイルミネーションを見て感じたことだと思う。。。


そうしたら、「今日ぐらい、いいでしょ?」と君が突然、手を繋いでくれた。この時、嬉しいと単純に思ったことと、ボクからなぜ出来なかったかと悔やんでしまった……。あれこれ考えて、行動に移せない、何とも言えないボクが情けない……。


異性と手を繋ぐこと自体は問題がないものだと思う。しかし、今日ぐらいというのが、その時のボクには限定された行為として感じ、何とも言えないものとなった。

君と手を繋ぎながら、クリスマスイブの夜にイルミネーションが点灯している公園で過ごしている現実をボクはどのように記憶すればいいのかと考えていた。。。君が隣にいてくれる幸せを感じているボクがそこにいた。


イルミネーションを見終わって、君と繋いでいた手は離れた。

何だか、意識はあるのだが、夢を見ていたかのような感じだった。

ボクは夜ということもあり、君の表情をいつもよりも多く見た。

本当に君はたくさんの表情を見せてくれる。その一方で、君が今日という日を楽しく思えてくれているのかと少し不安に思えた……。


そして、君は今日、ボクのアパートに泊まる。ボクの部屋で宅飲みをする。

ボクのアパートの最寄り駅まで電車で向かう。

この時、ボクは君の問いに対する明確な答えを出していた。自分なりの言葉で。。。もう、午前中に書いた下書き通りではなかった。


ボクのアパートの最寄り駅に着いた。ふと空を見上げると本当に夜だった。

ボクは夢を見ているのではないと思った。

駅からアパートまでは約10分ぐらい。君が疲れているのではないかと気掛かりだった。

途中、コンビニで氷やおつまみを買って、アパートに到着。

まだ、引っ越しをしたばかりで、ほとんど何もない殺風景のような部屋に君が来てくれることが嬉しい反面、緊張していた。


部屋に暖房を入れ、宅飲みの準備をした。ボク達は意外なことに、ウイスキーが好きという共通点がある。そして、ボクが選んだウイスキーを飲むというのが今回の趣旨だ。今回ボクが選んだのは、村上春樹さんの『1Q84』や『ダンス・ダンス・ダンス』『ねじまき鳥クロニクル』に登場する

「カティサーク」を選んだ。

そして、ジャパニーズウイスキーとして、ボクのお気に入りの「オールド」を2本目に選んだ。

最後に、ボクが好きな「スーパーニッカ」を選んだ。


2人で飲むには多すぎるかもしれないが、とにかくも君とグラスを交わしたかった。そして、君が口を開いた。

「手紙の交換をしようよ!」君からの提案で今日に合わせて、手紙を交換することになっていた。今回ボクはレターセットからこだわった。夜に交換するということだったから、月夜のデザインのものを選んだ。

このクリスマスイブに至るまでの自分の思いを込めて書き上げた。

またもや、枚数が多くなり、君は笑っていた。今度から短く書くようにしないといけないとまた、勝手に思ってしまった。。。


ボクは君から手紙を渡してもらい、そっと開封した。君らしいシンプルな便箋だった。そして丁寧な字で書いてある。

ボクは一字一句、丁寧に読んだ。自分の読解に誤りがないように。。。

ここでは手紙の内容は伏せたい。

しかしながら、ボクの予想を超えてくるものだった。

そして、君がボクに答えを問おてきた。


ボクは意を決して伝えた。この時はお酒が少し入っていたので、幾分かの高揚感があった。それでもなお、お酒の力は借りたくないと心から思いながら、一言、一言大切に伝えた。

もうオブラートに隠さず、自分の気持ちを伝えた。


「あなたが好きというのに以前から変わりはない。ただ、この関係性を進めるためには、ボクがまずはクリアしないといけないことがある。そのために、今、行動をしていて、反応も少しずつ出てきている。クリアした時には、正式にあなたとお付き合いがしたいです。友達として隣にいてくれる事もボクにとっては幸せに感じる。だけど、ワガママを言わしてもらったら、今度は彼女さんとして隣にいて欲しい。だから、ボクは頑張る。」

こんなことを言えるのも、クリスマスイブという非日常の力なのだろうか?


ボク達はウイスキーを飲みながら、色んな話をしたと思う。君がそろそろ寝ようかと言ってくれた。


ボク達はシングルベッドで2人で横になった。この時、君の髪のシャンプーの匂いだろうか。。。ボクにとって、どうしようもない感情を思わせることになった。

この時のボクは正直言って、子供のような感じだったに違いない。

常夜灯の薄暗い明かりの中で見た君は、どうしようもないぐらい綺麗で、本当にボクは君しか見たくはなかった。。。

そして、ボク達は。。。


おそらく、ボク達はほとんど、眠っていないと思う。ボクは普段、お酒を飲んでも記憶がないことはなかった。しかし、この日ばかりは記憶に曖昧さが残ってしまった。

本当であれば、君と過ごした時間を全て記憶して置きたかったのに。


あっという間に朝が来て、夜のうつつか現実かの境界が曖昧な世界は終わり、君が帰る時間が刻一刻と近づいていることが、嫌だと思った。しかし、それはボクのワガママだ。君を困らすことはしてはいけない。


君がそろそろ帰るねと言った。ボクは駅まで送るねと伝えた。

昼前の駅まで歩きながら、こんなにも君が愛しいと思ったか。

これから、どんなことが起きようとも……。と思う自分がいた。


そして、君を送り、部屋に戻り昨日寝ていないことからベッドで休もうとしたところ、君の匂いが残っていたことに気づいた。

本当に君がここにいたんだと思えた。


平資盛の「心にも袖にもとまる移り香を枕にのみや契りおくべき」和歌があったことを思い出し、和歌集から探してしまいました。

一応訳を出しておきます。

現在語訳:「私の心にも袖にもあなたの匂いが残っている。それを枕にだけ忘れるなというなんて」

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君とボク 特別な日に Michita @Cocoro_1214

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