学校一の美少女に〇〇したい~主人公最強でした~

@kamuuuuuui

学校一の美少女にアプローチしたい

第1話

「なあなあ、こんな暗いのに一人で歩いてたら危ないだろ?」


「そうだよ、お嬢ちゃん。ちなみに…今から時間ある?」


「…す、すみません。今はそういうのはちょっと…」





♢♢♢♢♢♢♢






──高い学力に数々の部活動でも好成績を保持する『国立栄明学院高校』、1学年7クラスある内の2年4組では、生徒一人一人の自己紹介が行われていた。


あおい 彩奈さなです!運動が得意です!みんな1年間よろしくー!」


ヒューヒューッッ!!


さなちゃーん!


よろしくー! 


数々のあつい声援と視線を一線に受けながらも元気ハツラツと自己紹介をしているのは、この学校一美少女と言われている葵 彩奈である。


彼女は栗色の髪を肩甲骨辺りまで伸ばし、赤のリボンを基調としたブレザーを見事なまでに着こなしている。


少し天然で明るい性格と、たまに体育などで見せるクールな姿のギャップにやられた人は数知れない。


──そして、1年次から同じクラスだった俺も、そのバカ共のなかに入っているのは言うまでもないだろう。


北条ほうじょう 樹海たつみです。趣味は…ないですが、バイトをやってます。1年間よろしくお願いします」


それに対して、平凡な自己紹介をする俺は、身長は176cmと高めだが、大きめの黒縁くろぶちめがねをかけて、髪はボサボサで清潔感の一欠片もない、いわゆるネクラ野郎だ。


友達は…いないわけではないが学校以外では遊んだり連絡を取り合うような人はない。


幼い頃からに勉強できたし、別にどこの学校に行きたいというのはなく、一般推薦でこの学校に入ったのだ。


何気なく入った学校で、まさか人生初の恋(一目惚れ)をするとは思ってもいなかった。


初恋は実らないとよく言うが、かといって、何か行動を起こすわけでもなく、心にしまっておこうと思っている。


──自己紹介が終わると担任からの諸連絡から始まった。


「…明日からは通常通り授業なので、さっき渡した時間割をしっかり確認してくださいね───挨拶」


…起立…礼…ありがとうございました!





♢♢♢♢♢♢♢






……今日は災難だった。


クラスの席替えでみんながこぞって狙っていた日菜森さんの隣の席。


それを俺がくじ引きで当ててしまったのだ。普通なら嬉しくて舞い上がるところなのだろうが、周りの目線とちょっとした陰口の対象となり散々な日を過ごした。


その日の帰り道、そんなはまだ続くのだ。



「…す、すみません。今はそういうのはちょっと…」


そんな、少し震えたような声が聞こえてきた。


「ちなみにさあ、俺昔ボクシングやってたんだよね~…なあ?俺らとちょっと遊ぼうよ」


……はあ、だから都会は治安が悪いから嫌だったんだ。


「ち、ちょっと、やめてください!」


……まあ、めんどいけど見て見ぬふりをするのもなー…


「あのー…その子離してもらっていいですか?」


「あ?」「ん?坊主、なんか見ちゃった?」


「いや、こんなところでそんなことしちゃまずいんじゃないですか……って言ってるんですけど」


「はっ!連れないなぁ、ぼう…ず!」


ゆらゆらと俺に歩み寄り、掴みかかろうとした…が難なく手首を握り返して相手の動きが止まった。


「…う、動かねぇ!?」


「確か、ボクシングやってたんだっけ?俺、そうやって自分の力をひけらかしてる奴みると、どうもイライラしちゃうんだよね」


「くそっ…おい、行くぞ!」 「お、おい!」


男は俺の腕を振り払って逃げていった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る