第37話.ゴブリンの個性と統率
ベルには姉が2人いる。ベルの話ではナイスバディらしいが、ベルを見ていると少し信用出来ない。この小鳥が成長すると、本当にナイスバディになるのか?
「完全変態か?」
と聞いたら、思いっきり嘴で突かれた。たぶん、ゴブリンくらいは倒せる破壊力はある。
ベルの捕らわれている姉の話になって、やっと攻撃がとまった。
ヒケンの森のゴブリンは想像以上に多い。ゴブリンジェネラルが率いる100体群れが3つ。ゴブリンキャプテンとメイジが率いる30体の群れが10以上。
これだけでも600体のゴブリンがいる。そして、オオザの崖の洞窟の中は未知。1000体以上のゴブリンがいるかもしれない。
だがベルが、ゴブリンの拠点の位置を記憶しているのは良かった。帰巣本能がある鳥もいるから、何かしら位置を特定する事が出来るのかもしれない。
ゴブリンジェネラルは、オオザの洞窟の前、オニ族の村から北東の湖、北西の湖の3ヶ所。それを囲むように、ゴブリンキャプテンの群れが点在している。その中でも、ベルの姉達は北東と北西の湖にそれぞれ捕らわれている。
「ジェネラルの数は3体か?」
『そうね、1体倒してるから、全部で4体って事ね』
「ジェネラルも、下位の上くらいなら大したことないのかもな?ブロッサの毒で倒してるんだろ?」
『それは分からないわよ、ジェネラルにもイロイロよ。力のあるタイプ、魔法の使えるタイプもいるかもしれないわ』
「そうだな、ルーク、メーン、カンテでも個性があるから、ゴブリンも一緒か。魔法使いのジェネラルが居ないと勝手に思い込んでたよ。流石ムーアだな」
珍しく褒めてみたせいか、ムーアの動きがおかしい。
『そ、そうね。ゴブリンキャプテンでも、こんなに大量に発生した事がないから、慎重に動いた方がいいと思うわ』
「そうだな、途中にあるゴブリンキャプテンの群れは、なるべく倒しながら進もう。2・3回戦っただけで強さを過信してたな」
『どうしたの、今日は?』
「いつもと変わらないけどな。ベルも、それでイイな!」
「お姉ちゃんを助けてくれるなら、何でも大丈夫っ」
「東と西の湖で、ゴブリンキャプテンの群れが多いのはどっちか分かるか?」
「うん、西側の湖っ。ゴブリンキャプテンの群れは3つあるわっ」
ベルが進む方向を示して、クオンが探知しながら適切な道を誘導してくれる。クオンの探知でもチートな性能だと思ったけど、ベルの位置情報が加わると、更にチート性能が増す。
慣れればゲーム画面を見ているようで、ゲームのような感覚が、実際ではあり得ないチートってことだと実感する。これで俺達が発見されるようなら、ゴブリンは下位種で収まる脅威度とはなり得ない。
そしてあっさりと、ゴブリン達に気付かれずに近付く。前のゴブリン達と同じで、キャプテンとメイジが一人ずつの30体の群れ。
今回は一列には並んではおらず、多少バラけてはいるがひと塊になっている。
メーンが狙撃出来る、なるべく近い位置に移動する。
「メーンがメイジを狙う。ルークとカンテはキャプテンに突撃」
了解とルーク達が瞬く。
「ソースイは右から、俺とブロッサは左から回り込む。他のゴブリンの群れにバレないように、一体も逃がさない!」
『私はどうするの?』
「土オニの短剣を渡しておくから、ルークとカンテの援護。それとキャプテンを倒した後のゴブリン達の様子を見て欲しい」
下位のゴブリンは、映画に出てくるゾンビのように、人を見つけると襲ってくる。しかし、ゴブリンキャプテンやメイジに統率されると、命令があるまで襲ってこない。
だけど、ゴブリンキャプテンやメイジが倒された場合はどうなるのか?ジェネラルが倒された時のように混乱してしまうのか?それとも襲ってくるのか?
「これでゴブリンの倒し方が変わると思う。混乱して動けないなら、まずキャプテンやメイジを狙えばイイ」
『分かったわ。意外と重要な役割があるのね』
「その方が、やりがいがあるだろ」
『嫌いではないわね、あなたの前では絶対に好きとは言いたくないけど!』
「ベルも会話出来るように頼んだぞ。それじゃあ、メーンの狙撃と同時に突撃!」
前回と同様にメイジがメーンの狙撃で倒され、キャプテンもルーク・カンテに倒される。
「ルーク・カンテは待避。一旦様子を見る」
ゴブリン達は、電池が切れたかのように立ち止まる。そして、一人が逃げ出すと堰を切ったかのように逃げ出す。皆方向もバラバラでぶつかって倒れる者や、お互いを押し退けようとして、争いが始まる。
「ソースイ、ブロッサ、逃がすな!」
「グラビティ」
「ポイズンミスト」
全力の1人と一匹。前回出番が無かっただけに、両方とも気合いが入っている。
オーバーキルだな・・・。
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