第97話 第二回イベントはエロ・ヲタグッズ作成会
「ねぇマロン、一体何を献上したらあんなポイントになるの?」
初日の結果が発表された後、マロンハウスで答え合わせをしようとマロンを始め、アクアとクマモトを交えて会議を始めた。
「話すと長くはならないんだけど……先日現れたピンクスライムってのがいてね。」
マロンはピンクスライムを素材にある薬を作った。
それはとても単純な想像に易いもので、男女ともに発情させるフェロモンたっぷりなポーションである。
最近マンネリ気味だった王族夫妻達。まだまだ行為をするには問題のない年齢ではあるが、20代の頃に比べれば精力は落ちる。
そこで、献上されたマロンの発情ポーション。(別名ピンクポーション)
「これで夜の生活が楽しみですわっ。来年にはあの子達に年の離れた弟か妹が出来るかも知れないわっ。」
あの時の王妃のセリフである。それはこれで夫人達全員もう一人ずつはイケるわ、ということで全ての夫人が燃えたと言うのだ。
もう一人とは、子供をあと一人産む事が出来るわ、という意味である。
マロンは他にも献上品を差し出している。
それもまた夜の生活に一喝するに足るアイテムだった。
この世界にはまだ存在していないモノ。
散々電動こけしを作って来たマロンだからこそ、献上出来たモノである。
それはモロ男性器を形どっており、バントと一体化していた。
夫人同士……女性同士でも楽しめるように、たまに男性を攻められるようにそれは開発されていた。
現実世界ではSM等でお馴染みの『ペニスバンド』である。ニューワールド内では『こけしバンド』という命名で献上していた。
なお、献上した後に商業ギルドに商品登録は済ませている。
献上したモノには振動するモノと、疑似体液が出るモノとがあった。
ちなみにこの疑似体液であるが、それっぽく見えるように白濁スライムという魔物から作製していた。
これもまた献上した後に商業ギルドに登録している。
「そりゃ大人のおもちゃ屋という称号が貰えるわけだわ。」
トリスが呆れていた。
「このイベントの趣旨とかもう無視してますよね。」
「18禁要素が高すぎですもんね。」
アクアの指摘は尤もであるし、クマモトは仲間になってからのその言動が、見た目に反して丁寧である事に一同は慣れていた。
マロンも当然大人のおもちゃ系だけでポイントを稼いだわけではない。
いつかモノづくりイベントがあっても直ぐに出せるようにと、色々研鑽していたのである。
「こういうのも作ったよ。」
マロンが見せた鍬や鋤等の農具、詳細を確認すると耐久性が4桁は可笑しいと思うトリス達だった。
なお、他のプレイヤーが作製した農具などは、耐久値が二桁あれば良いほうだ。
品質で言う所の劣悪や粗悪といったところだ。
しかしマロンが献上したのは普通を通り越し、良品や優良品、果ては優秀品だったのである。
これは農業神の影響だったりが加味していた。
農業神のおかげで、1ランクも2ランクも上の品質に仕上がる。もちろん本人のスキルレベルや熟練度にも影響はされているのだが。
ネタで作製した煌びやかな短刀もポイントが高かった。
付与した聖なる水、つまりはマロンの聖水が振りかけられて出来ていたので、意図しない効果が付いていたのである。
「聖水の真の意味を知ったら他のプレイヤー怒るだろうね。」
トリスの指摘は当然である。NPCや運営だって恐らくは知りたくはないはずだ。
「神事で使うとか言ってたよ。」
聞かなければ良かったと思う一同である。
神事で使うとなれば必然的にポイントは高くもなるというものである。
こうして夫人達の望むもの、国として役に立つものを献上したマロンに、良くわからない高ポイントが与えられるのも必然と言えた。
そして「世にも珍しい品を第一王妃に献上せよ。」という第二回イベントは……
あっという間に7日間という日程を終了する。
初日の結果で大方の順位予想はどのプレイヤー達も分かっていたが。
献上品部門一位はマロンである。ポイントは12045ポイントである。
そして二位は二日目以降の怒涛の追い上げでアクアが6565ポイントであった。
三位には「おかかおむすび」、四位には「シズえもん」、五位には「未亜もーれ」が続いていた。
第一回の闘技場イベントでは予選敗退の生産職の面々だった。
尚、素材貢献部門の一位は、トリスである。
ダンジョンや惑わしの森で色々狩った魔物の素材を、マロンやアクアに献上していたのである。
また、一部素材に関してはオークション形式の一般流通に卸していたのである。
このオークションはこのイベント限定の措置であるため、面と向かって他のユーザーと直接やり取りする事はない。
システムを利用したゲームならではの措置が、どんな素材であってもポイントに変換されていたのである。
素材貢献部門の二位は同じようにマロンやアクアに献上していたクマモトらぷたであった。
イベント中に進化し、移動が可能になった事で怒涛の追い上げを可能としたのである。
マロンは三位、アクアは五位と身内でTOP5の内4つを奪う鬼畜っぷりである。
空いた中間の四位には第一回イベントでも名前を残した「
ロリコンという、不名誉なユーザー称号を打破するために奮闘したと言う。
なお、初日から活躍していたピンクスライム等からは、当然ピンク的な事を受けているという事は語るまでもない。
このイベントでの称号は素材貢献と献上貢献とにそれぞれ与えられる。
体力と器用+10上がる【貢ぐ君(さん)】の称号を素材貢献部門5位までに与えられていた。
貢がれまくったマロンとアクアには、魅力が+30される【バブリー時代】という称号が与えられていた。
バブル時代にみつぐくんやアッシーくん、メッシーくん等から恩恵を得ていた人種がいた事から起因する。
マロンが献上したモノの中には、スキルとは別で職業錬金術師になった事で更に上のレベルが可能となった事で作製した、マジックミラー。
部屋の雰囲気を上げるためのカラーボール、全面鏡部屋のミラールーム、前後にピストンする魔導ドリル式こけし。
各種ものつくり系見習いを概ねマスターした事の集大成、
イベント終了後、フィギュアの注文が殺到するのはまた別の話。
なお、マロン程ではないが、錬成系のスペシャリストであるアクアもフィギュア製作は可能となっていた。
マロンが最高級であれば、アクアは高級という位置関係であった。
そしてこのフィギュア作製が、次回第三回イベントである戦争イベントで思いのよらぬ活躍をするのもまた別の話。
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