第67話 閉会式 浪漫と小串
閉会式は滞りなく進められていく。
なお、なんだかんだでノーダメージで大会優勝しているため、【称号:完全勝利】をも取得していた。
トリスが医務室へ運ばれ女医に診断された後に回復、それから30分の休憩を挟んで閉会式が始まった。
その30分の休憩時間でトリスは甘えん坊となり、マロンとちょめちょめしていた事は内緒の話ではない。
トリスに【称号:甘えん坊】と【称号:ヤンデレ予備軍】が追加されていた。
そして経験が30回に達した事で、マロンには【称号:経験豊富】が追加されていた。
第一回闘技大会結果
優勝:マロン
準優勝:トリス
3位:アクア
4位:パンサーぴんく
5位:もくもくくもこ
6位:みこぬこなーす
7位:キョウカ
8位:もるぼるの甘いイキ
9位:伊集院光陰
10位:リニア
11位:飲酒王子
12位:備長たん
13位:エルトシャン
14位:8931
15位:スーベニール
16位:引っ越しおぢさん
幼女3連単を当てたプレイヤーはそこそこいたが、配当は196万5400モエとなった。
数字に書くと19654000000モエ……196億5400万モエとなる。
そして単勝5.4倍の分もあるのでプラス54000モエが加算される。
マロンは合計196億5405万4000モエを賭けだけで獲得した。
アクアも3連単の分で196億5400万モエを入手している。
マロンとアクア、超大金持ちである。
トリスは自分を中心に購入していたため大金持ちには至っていないかとおもいきや。
500モエだけ⑭ー②ー⑪の人券を購入していた。ちゃっかりしていたのである。
トリスも9億8270万モエを入手していた。
他の当てたプレイヤーはそこまで資金がなかったので最大で2000モエを賭けた者がいたくらいであとは100~500モエ程度であった。
それでも配当は大きいので大金持ちとなり、序盤においてかなりのアドバンテージとなるのは明らかである。
「やっべ、当たっちゃったよ。」と隠れて呟いているプレイヤーがちょこちょこいたとか。
換金は、人券をぽちりと選択すると、換金しますか?というアイコンが現れ、YESを押すと自動的に自分の資金欄に反映されるので盗まれる心配はない。
誰がどれだけ当たったかなどわからないけれど、換金システムが受付に行くなどであると、他者にバレてしまう。
現状プレイヤーキルは解禁されてはいないが、粘着されるなどを危惧しての処置である。
賞金は優勝から1000万モエ、500万モエ、300万モエ、100万モエ、5位以下は一律20万モエが贈呈された。
景品についてはカタログが配布されるので、後程選んで交換してくださいとの事。
尚、銅色カタログの中から9位から18位までは1つ、5位から8位までは2つ。
4位は銀色カタログの中から1つ、銅色カタログから1つ。
3位は銀色カタログから2つ、銅色カタログから2つ。
2位は金色カタログから1つ、銀色カタログから2つ、銅色カタログから3つ。
1位は金色カタログから3つ、銀色カタログから3つ、銅色カタログから3つと差が大分出てくる。
尚、億を達成した時に【お金の女神様のお気に入り】を獲得。この称号はトリス以外にも十人程度が獲得している。
さらに100億を超えたところで【お金の女神さまの寵愛】を獲得していた。この称号はマロンとアクアの二人のみ獲得していた。
「なんかここまでくると詰んでね?」
トリスが思わず呟いた。いきなり闘技大会で好成績の残し、賭けのせいもあって資金も潤沢。
称号なんかも他のプレイヤーではありえない程獲得している。
トリスが思わず詰んだと称してしまうのも無理はない話である。
「いやいや、まだまだやる事一杯あるでしょうよ。まだ一週間だよ?この先何があるかわからないし、棚からぼた餅程度に思ってお金については考えないようにするよ。」
「それに、せっかく商会とも仲良くなったんだし、当初の予定通りスローライフを楽しむため作って売ってを繰り返すんたいよ。目指せトル●コ!」
はじゃのけんが売られるまで何度も頑張ったあの頃を思い出して?とマロンは言うが、リアルタイム世代ではないだろうとトリスは返した。
そして閉会式も進んで行き、国王陛下の挨拶に始まり来賓の王族が2分程度ずつ話していく。
最後に7女であるテレトの番へと回って来る。
「マロン様ぁ、また私を虐めてくださいねぇ。」
最後のあいさつでブチかまして王族の挨拶を締めくくった。
もちろんテレトは両腕を掴まれて王族親衛隊に引きずられていった。
「また?」
トリスの笑顔が怖いマロンである。
「あ、昨晩ちょっと襲われまして。そのあと仕返ししましてですね……あ、ほら。昨晩の事説明するって言ってたじゃん?その事だよ。」
ポーションのせいでおかしくなってしまった事と、土下座謝罪していたので逆に攻めたら実はテレトがドエムの変態だった事をトリスに伝えた。
「あ~決勝前にハーレムみたいって言ったのはそういう事かぁ。」
トリスは仕方なく納得する事にした。
アクアが少しいたたまれない表情を浮かべたが、マロンは気にしなくて良いよと宥めた。
「え~大会運営委員長を務めさせていただきました
「閉会の挨拶と共に皆様に告知しなければならない事がございます。」
ざわざわと騒ぎ始めるプレイヤー達。NPCも混ざっているのだが、そこは気にしない流れである。
「本日24時、つまり明日0時にアップデートを行います。以前からHP上ではイベント後にアップデートを行う旨は告知しておりましたが……」
だからと言って、イベント後すぐとは思っていなかったプレイヤー達は色々と声を上げていた。
「大会中ではありましたが、既にアップデート内容は告知済です。大会に参加、または観戦されていた方達のためにこうして声に出して告知したく存じます。」
そうしてソン・シナイから発せられたアップデート内容。
①第二職種の解及び職種レベルの解放。
②第二職種解放に伴う1ランク上位職種の解放。(ただし条件あり。)
③クラン設立の解放。
④新エリアの解放。(闘技都市の外へ出る事も解禁。本イベントに不参加者も転移可能者と手を繋いで転移する事で可能となる。)
⑤自店舗の解放。
⑥本拠地の解放。(これまでは町の宿屋等自分が設定ポイントとしていた場所だけだった。マロンは小屋だったため気にしていなかった。)
「また、今後のアップデートでは第三職種の解放、クランバトル等の解放を予定しております。」
アップデートが話題にあがった事により、テレトの問題発言はマロンの身内以外からは微妙に忘れられる事となった。
23時になると強制ログアウトを含め、全ユーザーがゲーム内から弾き出された。
すると、入浴と夕飯を済ませ、日付更新までの間どうしようかと浪漫が悩んでいると電話が掛かって来る。
着信を見ると、案の定トリスこと小串であった。小串も恐らくは入浴と食事とトイレを済ませた後なのだろう、絶妙なタイミングだった。
「おはこんばんちは~。」
全時間帯挨拶をする小串に浪漫も答えた。
「ねぇねぇ、決勝戦で言ってた告白って?」
挨拶もそこそこに、いきなり本題をぶち込んでくる小串。
浪漫からすればわかっている事だろうに、中々に意地悪だなと感じていた。
「もう……分かってるでしょ。」
「ん~わかってるけど、もしかしたら違うかも知れないしぃ。」
「……はぁ、もう。小串……愛してるよ。」
「ん……私も。」
浪漫は過去の、中学の時の経験から男性が苦手になっている。
寧ろ一部では嫌悪している部分もある。それ以来女性にしか気を許さなくなった。
女子高に通ったのもそのためだった。
立ち直ってもらいたいと懸命に接してくれていた親友の小串は、浪漫としては特に気を許していた。
その結果愛情が芽生えてしまうのは、ままある事である。
そして、そうやって元気付けている内に自分も浪漫の事が好きなんだなと気付いた小串もそれに応えていた。
気付けば親友兼恋人という関係になっていた。
ただし、ゲーム中のように身体の関係はまだない。キスより先には進んでいない。
周囲に隠しているというのも関係しているが、抑が過去に男性に襲われた事に起因しているからだった。
ゲーム中は平気にしているのは、仮想空間と割り切っている事と、相手が女性だったり魔物だったりしているからに他ならない。
もし普通の男性に迫られたら殺してでも跳ね除けるだろうし、場合によっては即引退もありえる話である。
「知ってて言わせたでしょ。」
「まぁそうなんだけど、反省はしていない。」
それから雑談を少し躱し、0時まで5分を切った事で電話を終える。後は再びゲームの中でという事で。
電話を終えるとトップ画面の写真に切り替わる。
浪漫と小串、二人が寄り添い頬をくっつけて、仲良さそうに自撮りしている写真に。
そして日付が変わり0時を迎えると、予定通りログインが可能となる。
「ねぇトリス、アクア。職種が色々解放されたのは良いんだけど、種類が多くて激困る。」
「奇遇だねー。私もだよ。」
「わ、わたしもいくつかあります。」
アップデートが終わり、ステータスを確認すると、3人とも初期職種レベルはカンストしていた。
直ぐにでも次の職種に変えようか、上位職種のために他の初期職種のどれにしようかと考えてはいたものの……
あまりの多さにどうしたものかと悩んでしまう面々だった。
そして、金銀銅のカタログも届いていた。
パラパラと捲ったマロンはトリスとアクアに相談した。
「ねぇ、私この拠点の地域の個人所有権を取ろうと思うんだけど……」
説明文を読むと、自分が拠点にしている地域……つまりは惑わしの森全体が拠点に出来ると解釈が出来た。
町を自分のものに出来た場合、領主と事が可能となる。
つまり、色々税金などが取れるようになる。その代わり面倒な仕事が増えるとある。
ただし、この惑わしの森にはそのようなものはない。
「良いんじゃない?それ、金色のカタログでしょ?同じカタログのはずだけど私のにはないし。」
色は同じだけど、中身が一緒とは誰も言っていなかった。そういう事である。
マロンバケモノ化計画はまだまだ続いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます