第20話 これでまだゲーム開始24時間経っていない

 ログアウトした浪漫はネットを徘徊して即配達系のあるとある道具のサイトを覗いていた。


「うわぁグロテスク~」


 尤も浪漫は現物を見たことがないので、薄い本からの知識である。

 浪漫は実は触手系のゲームや本は良く読んでいる。

 浪漫にとっての神はいりたそである。


 

「ぽちっとな。やっぱりインスピレーションを掻き立てるモノを即配達で入手しないとね。」


 注文した翌日昼には到着する最速便というのも、現代の錬金術ではないだろうか。

 

 浪漫は先程のトレントとの一連を思い出す。

 細かく思い出すと羞恥で悶えてしまうのである程度に留めていたが、それでも顔を赤くする程度には恥ずかしかった。



「私は魔物を倒すより、そっちの方がレベルアップし易い?だとすると、このゲーム一般発売はマズイんじゃ……」


 年齢制限によりカットされたりモザイクが掛かったりと、18歳未満15歳未満に対してのフィルターは存在する。

 しかし、それでもどこで抜け道が存在するのかわからない。

 本当に大丈夫だろうかと浪漫は不安を抱いていた。



「小串も言ってたけど、私スキル取れすぎな気がするんだよなぁ。多くても良いけどあまり多いとキャラの付け大変だよ。」


「前線でばりばりやる系以外ならなんでもいいけどさ。」


「ラフレシアの魔物は解体出来そうだけど、タイガーの方は町に行ってちゃんとした道具がないと難しいだろうな。って私のじゃないからそっちは今考える事でもないけど。」


 

 その日はそのままもう一度インすると夜中の3時までシンシアをもふもふし、調合を繰り返し、零したり爆発したりして掃除をする。

 服が汚れれば洗濯し、腹が減ったら料理をする。


 そんなこんなでたかだか8時間程度の時間でマロンのスキルはこうなった。




 スキル:中級錬金術(3/20)、中級家事(0/10)、中級木工加工(0/20)、初級鍛冶(5/10)


 未収得スキル:中級踊り  



 初級が10/10になった時に中級に変化した。

 そして中級の分母は10から20に変化し、分子の上がりは初級の時ほど簡単には上がらなかった。

 それでも錬金だけ少し上がっているのはポーションを作りまくったおかげてある。


 ポーションの作成にはと昼間外に出た時にも採取した薬草が必要となる。

 コトコトと煮込んだり手動とはいえ攪拌させて濾して抽出するだけのお仕事である。


 専門の道具があれば精度は当然あがる。そんな道具をナビ子さんのおかげで浪漫は入手出来た。

 ゲーマーであれば棚からぼた餅で得たものは利用しない手はない。

 ましてや前面で戦うよりは治癒士を選び後方支援タイプを目指す浪漫であれば。



 さて、このポーション作りのための材料であるが……

 薬草は家の前に腐る程生えている。

 狩り尽くしさえしなければ問題ないが、将来的に減ったとしても庭を作って栽培すれば問題ないと考えていた。


 HP回復ポーションにしてもMP回復ポーションにしても、20~最大100程度まで回復する小が作成する事が出来るようになっている。

 尤も付与効果として媚薬効果も(小)となっているのだが、それが合計数百本。

 流石に飲むわけにも飲ませるわけにもいかないのでストレージの肥やしとなっている。


 そしてこれだけは秘匿しなければならないのだが……

 トイレを我慢していたせいでとても人にはいえない状況に陥っていたのだが、突然部屋に入って来たシンシアに驚いて混入してしまった事がある。


 その時に出来たモノだけ回復(大)が出来てしまっていた。


「聖水ってそっちのかよっ」と叩き付けそうになったのは別の話だ。

 

 真っ当な薬師等が作るポーションではないのだ。真っ当な材料でなくても良い……というわけでもないのだが、ボディコニアンだけの特権のようなものであった。



 初級鍛冶であるが、研石が倉庫から見つかり、包丁を研いでるうちに勝手に生えていた。

 本当にこんな簡単にスキル取得出来てしまうと他のプレイヤーや他のゲーマー等に恨まれてしまいそうである。

 

「さて、裁縫にも手をつけますかね。」


 いきなり布をどうこうするのも勿体ないので、マロンは薬草の葉を縫い付ける事で練習をしてみる事にした。。

 家庭科の成績は悪くはないので、直接戦闘をする事よりは飲み込みが早いと自認していたのである。

 

 縫い付けた薬草は勿体ないので、後にポーション作成に使えば良いと思っていた。

 

 

 適当な大きさに切ったり塗ったりを続けている内に初級裁縫を取得していた。

 完全にクラフト系何でも屋を開けるようなスキル取得となっていた。

 これでまだ、ゲーム開始から24時間を経過していないのである。

 

 


「あ……」


 束になった薬草がこんまりと出来ている事に気付いたマロン。これが札束だったらどれだけ良い事だろうと思いながら。


 寝る前にこれで一度ポーションを作っておこうと決めた。


 ちなみにトリスは周辺を探索して危険なものが他にないか確認しておくと、あまり遠くには行かない程度に動き回っていた。


「へ……」


 縫い付けた糸が解れなかった。それはもう薬草束で一つのアイテムとなってしまっていた。


「ま、いいか。」


 どうせ味の濃いポーションが出来るだけだろうと、構わず作業を続ける事にしたマロンである。

 その結果出来上がったのが……


 HP回復ポーション(中)媚薬効果(中)だった。


※効果(中)は回復量100~200回復するものを指す。100までは曖昧である。

  

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