第13話 治癒の踊りの効果
小串がレベル1時のものとはいえ、ステータスを晒すのには浪漫に対する詫びの気持ちが強かった。
しかしどのみち浪漫も一緒にプレイをしようと思っていたので、マロンのステータスを晒すのは時間の問題……というよりはこの後あっさりバラす。
「やっぱり魅力に特化してるんだー。それでポーションに魅力が乗り移ったのかね。あのポーションは。」
魅力が高いから付与されたわけではない、ボディコニアンという種族の特性により付与されていた。
多かれ少なかれ全てが魅了されていく。それがボディコニアンの魅力であり魔力。
「それで……出会いは悪かったかもしれないけど、せっかく直ぐに会えたわけだし、一緒にプレイ……」
「しても良いけど、もう無理矢理は嫌だからね。」
それは無理矢理でないなら良いのかとも取れる言い方だった。
さらにプレイがゲームではなく、やらしい方に受け取られても仕方のない言い方でもあった。
気が付けば父が用意してくれた追加のカフェオレは飲み終わっていた。
夕方4時に待ち合わせする事を約束をして喫茶店を後にする。
浪漫は目の前に家があるし、小串も数件先に家があるために然程の時間は掛からない。
マロンのログアウト時、そして二人の装備により追加されたステータスは以下となる。
プレイヤー名:マロン
種族:ボディコニアン(幼体)
139cm 29kg
レベル:1
HP:105
MP:105
筋力: 5
体力: 5
知性: 15
敏捷: 5
器用: 5
魔力: 5
魅力:255(+45)※称号処女喪失分加算で+50
固定スキル:魅惑の踊り、治癒の踊り、再生
種族固有ステータス:経験1 再生0
称号:はじめてのオプション、はじめての珍種、世界で初めての処女喪失
装備含めればマロンの魅力は300と言う事になる。
プレイヤー名:トリス
種族:射手見習い
134cm 32kg
レベル:1
HP:100
MP:100
筋力: 10(+5)
体力: 20
知性: 20(+10)
敏捷: 0(+10)
器用: 10(+5)
魔力:100(+20)
魅力:100
スキル:初級火魔法、初級水魔法、初級風魔法、初級土魔法、魔法矢生成(小)
固定スキル:ふたなり化(及び解除)、絶倫、命中精度超上昇
種族固有ステータス:
称号:世界で初めての童貞喪失(魅力+50)、世界で初めての処女喰い(魅力+50)
トリスは既に魔力100の達成と射手見習いの効果で小ではあるが魔法矢を生成するに至ってる。
装備による上昇値が高いのはエルフの村長から旅立ちのセットを貰ったからである。
これは村長の娘という設定が付与されている事から、少し高めの装備を貰えているいわばおまけみたいなものだ。
浪漫は水分補給とトイレを済まし、再びVR機器へと横になる。
スイッチを入れると電子音が響き、やがて意識は仮想空間の世界へと旅に出る。
「知ってる天井だ。」
意識をはっきりと持つと、シンシアが心配そうに覗いていた。
「ごめんねぇ。心配かけたねぇ。とりあえず……お風呂に入ろう。」
「わふぅ♪」と鳴いてシンシアがついて来る。
「なんか痛い……」
現実ではなんともなかったマロンであるが、ゲーム内では喪失したばかり。
何も影響がないはずもなかった。
「苦し紛れに治癒の踊りでも踊ってみようか。」
スキル治癒の踊りを選択すると、痛いというのに勝手に身体が動く。
すると段々痛みが軽減されていき、やがて痛みはゼロとなった。
HPの回復という意味では自分の作ったポーションを飲めば良いだけだが、せっかくの自分のスキルなので試してみたいという思いが強かった。
痛みが減ったのでステータスを確認しようとすると……
『世界で初めて処女〇の再生に成功しました。称号:世界ではじめての処女〇再生を付与します。』
ワールドアナウンスが流れた。
マロンは気付いていないが、これで既に4つ目の称号を入手していた。
魅力が255からさらに50上昇し、305となった。装備と合わせれば350となる。
これはもう中級サキュバスを超える数値である。
「は……?ログアウトしてから称号が2個増えてる。しかもあまり嬉しくない称号……ステは上がるみたいだから良いのかもしれないけどさ。」
ログを確認しマロンは自分のステータスの高さを実感する。
これだけ魅力が高くなったら今更他のステータスはあげられないなと思うマロンだった。
「というか……再生するの?は?え?」
流石に確かめたくはなかったが、ステータスを見ると【経験:1回】【再生:1回】となっていた。
どうやらマロンの治癒の踊りは再生するようだった。
この再生する効果は例えば指や腕の欠損にまで有効なのかはわからない。
そこまで検証する気にはなれなかった。
また、その再生効果は自分だけに有効なのか、他の人にも有効なのか……
マロンは策士の顔をしてニヤリとしていた。
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