純愛か、メンヘラか
@kou819
第1話
「じゃあさ、こうは私のどこがそんなに好きなの?」
二人で歩いているときに彼女が言ったこの問いに僕は咄嗟に言葉が出なかった。
「なんか全部好き。一緒にいて落ち着くとことかかわいいとことか。」
絞り出した自分の言葉に一瞬の戸惑いが現れてるのが見え見えで焦った。でもそこで自分が彼女のどこが好きなのかがはっきりしてないことに気づいた。二人は黙りながら雨の中の名古屋の街を相合傘しながら歩いた。
〜1年とちょっと前〜
高校3年の10月、大学受験を控える自称進学校のうちの学年は学校の廊下にある『センター試験まで○○日』と書いてある看板の前を通ってそれぞれの教室に入る。朝のチャイムがなるギリギリに入った僕はざわついてる人混みを通りながら自分の席に荷物を置いて座る。
「おい!こう!今日の昼にバレーするぞ!」
受験生なのにいつもバレーボールを誘ってくるのはいつもいるグループの中で一番活動力がある青山だ。
「えー、まあいいよ」
しぶしぶいいよといつも言うがほんとはバレーがしたい。授業が始まるといつもどおり自分が勉強したい参考書を開いて内職している。あっという間に4時限目まで終わり、すぐに弁当を半分くらい食べて教室のすぐ外の駐車場で数人集まりバレーをしていた。バレーしているとうちの教室をでた廊下で高校3年ではじめて一緒のクラスになった花岡優子さんと学年でいつもいじられている別のクラスの吉田がしゃべっていた。花岡さんはクラスの中で一番かわいいかったけど特に興味はなく話したこともない。吉田とはたまにいじるくらいの仲だった。二人の関係はなにも知らないし、特に気にしていなかったが花岡さんがバレーをしている青山の元カノだったので少し篤郎をいじってそのままバレーを続けた。昼休みが終わるチャイムがなり、教室に大人数で帰っていくとバレーには参加していない友達の鬼井がいつもでは考えられないほど落ち込んでいた。『あ、あいつ花岡さん好きだった』ときには鬼井が落ち込んでいる理由ってもしかして花岡さんと吉田が仲良くしてたことなのかと疑ったが、それはないかと自己完結して残りの弁当を食べた。
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