1月5日 心に留めてほしいのは、…(デール・カーネギー)

 心に留めてほしいのは、この祈りが「今日の」食物のみを求めている点だ。この祈りは、昨日口にせざるをえなかった古いパンのことで不平を言っているのではない。まして「おお神よ、穀倉地帯はカラカラに乾ききっており、旱魃に見舞われるかもしれません…そうなると、来年の秋にはどのようにしてパンをつくればよいのでしょう?」とか「私が失業したら、神よ、私はどのようにしてパンを得たらよいのでしょう?」などとは言っていない。


 そうだ、この祈りは私たちに今日のパンだけを求めるように教えている。今日のパンこそ、人間が口にしうる唯一のパンなのだ。



 ずっと昔、人々が苦しい暮らしをしている石ころだらけの土地をひとりの哲人が放浪していた。ある日、丘の上で群衆に囲まれた彼は、古今東西を通じてもっともよく引用されることになる言葉を群衆に伝えた。幾世紀にもわたって語りつがれているその言葉とは–−


「それゆえ、あすのことを考えるな。明日のことはあす自身が考えるだろう。一日の苦労はその一日だけで十分だ」


『道は開ける』デール・カーネギー、香山晶訳


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