エンドロフィン
@ktakeda515151
第2話 入らない
私は小柄な銀髪エルフ?、正確には
「色素失調症」という、髪や目や皮膚の色が抜ける❲「遺伝子異常」の先天性疾患である。幸いにも知的障害や爪の異常は無いが、幼少期から存在感が無い薄羽蜉蝣みたいと弄られ、自己肯定感が少ない怖がりだった。学生時代は異性から言い寄られた事もあったが、全て信じられなくて、研修医時代に初めて好意を持ったのが、ここの医局長ゴリラ先生。命を守る医療では無く、静かに看取る終末期医療を選んだのも自分の容姿、ちょっぴりコミ障の性格が影響していると思う。
新しい綺麗な病院で、外装内装も凝っていて、病室の天井にも絵画があり、床も衝撃吸収で、中庭花壇が自慢な日当たり最高の穏やかな環境が気に入っている。
最近入院してきたトモさんは年齢も近く、小柄で、超ポジティブ思考で、とにかく気があった。
31才スキルス悪性胃癌の全身転移、疼痛管理が主で、余命短い痩せた女性患者様。16才で絵本作家デビューして、3年後に20才年上の編集長と結婚し、26才時に夫が心筋梗塞で死去、28歳時に左乳癌、夫の元に早く逝きたいと手術を拒むも「イケメン主治医」に説得されて手術成功するも「片乳」になっちゃった!と舌を出し笑う。夫が小ぶりと頌さくれたのに、とまた笑う。「実はね先生、私処女なの」
「正確には小さすぎて夫とは一度も」「私もよ」
「先生美人さんだから焦らなくても」
「本心は?」
「かげろうみたい」
「影が薄い ?」
「今にも消えそう、私みたい(笑)」
「えっ」
「これ私の絵本、消えたら読んで」
指示された引き出しの絵本取り出してパラパラめくると
「コラだめじゃない、後でね」
「でも後だと感想伝えられないかも 」「そっか頭いい!」
内容は思いも伝えられず儚く 消えていく、幼きかげろうの恋話
涙が止まらなくなり、心揺れ、ここで
彼女の強烈な思念が流れ込み、「トランス」する。
ここは彼女「夢幻」の世界、明るい光の中、なぜか私は彼女の夫になり、自然に合体、お互い感涙、暖かな風
「ありがとう先生、お先に経験失礼」
そう聞こえた瞬間、心電図フラットの警告音に呼び戻される。泣きながら心肺蘇生中にバリトン助けに来る。
じゅん、何でこんな時に!?
「もう充分、彼女頑張ったね」
「見ろ、良い顔してるじゃないか」
「違うの違うの違うの」
「何が違う?」
「とにかく違うの!」
「わかった落ち着け」
「お前もプロだろ、落ち着け!」
「彼女の夢が叶ったの」そう言いかけて、止め、泣き顔で口角をあげ、
「わかりました」と呟く。
いつもの様に遣るべき事を遣り
「絵本の続き、私が書くね」
と呟くと、主任が不思議そうな顔をする。
「ワン」と鳴いた犬がいた。
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