日本国内の異文化

関西のネ友の日記より。

このネ友は、奈良出身者。

奈良をアピールするのに、

高名な学者が、「大仏をデコレートする」

とか、「法隆寺を移転する」

という、とんでもな発言をしたという話をしてから、

こんな話題を振ってきました。


たとえば街頭インタビューで、

「関西と言えば、なんでしょう?」

と問いかけるとする。

答えはいろいろあって、

「漫才」「粉もん」「USJ」。

ネ友も、粉もんは大好きです。


うどん定食で、うどんといっしょにごはんを食べる。

お好み焼き定食で、お好み焼きといっしょにごはんを食べる。

若い頃は、そればかり食べていて、

ぎゃくに太ってしまってさあたいへん。


とは言いつつも、減量など考えないのがそのネ友。

調子に乗って、外食続き。

ある日、東京から来た友だちといっしょに

とある居酒屋へ繰り出していきました。


「カンパーイ」

お好み焼きといっしょに食べるごはん。

しかし……

どうも、箸が進まない。

胃がもたれる。

若い頃とは違って、

許容量が小さくなっている!


そんなことを、ネ友が言っていると、

となりの席で飲んでいた

おばちゃんが、大声で注文しました。


「おじさん! イカの たいたん!」

東京の人はギョッとして、

オバチャンを眺めます。


「いかのタイタン……イカの巨大ロボット?」

東京人は、おずおずとたずねます。

ネ友は、腹に押し込むように

ごはんとお好み焼きを食べながら、


「炊いたイカや。甘辛く煮たヤツ」

「そうか……」

東京人は、ホッとして言いました。

「関西の文化って、面白いねえ」


コロナ禍で、異文化交流も少なくなったかもしれませんし

外国から来る人も少なくなった。

しかし、日本には、

まだまだ異文化が存在するのです。


「だけど、そんなに食べてだいじょうぶか」

東京人は、お好み焼きとごはんを必死で食べる

ネ友に言いました。

ネ友はにっこり、笑いました。


その後、東京人は東京に帰り、

地元の人と居酒屋に行って

「イカのたいたん!」

と注文していると言うことです。

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