第24話 消去

WUJ。ワールドユナイテッドジャパン社が2222年に発表したVRの新たなるゲーム「MAKINGWORLD~光の建国記」は、世界中で6000万本も売れたゲームであった。

そのゲームのとあるワールドの一つ、「ハットトリック」では、今日も、町人たちが平和に暮らしていた。

この街を守るガーネットガーディアンは、今日も青い花を手に持っている。

色とりどりの装飾がされた家々。

沢山の絵画が貼られている謎の家。

アンデッドの首が何故か壁に貼り付けられている家。

チカチカしているサファイアの特別回路。

そして、プールと美しい庭のあるこの街の英雄の和風の家。

自動で野菜を取ってくれる装置。

敵を倒すトラップタワー。

一見、奇妙にも見えるこの街には、今日も笑顔があふれていた。


プレイヤーの大木大樹は、自分の作り上げた世界、「ハットトリック」が、最近重くなっていることに気づいていた。次のバージョン1.91が更新されても、このままでは新要素を探そうと出かけて、また、ワールドが重くなってしまう。そうなれば、下手したらサーバー落ちるに違いない。

「しょうがないよなぁ、、、」

大樹は、惜しみつつもワルードを消去するを押した。


「ん?アレは何だ、、、」

一人の書店員が、そう言った。

よく見ると、上の方に真っ黒な虚空が広がってきていた。

そして、ゆっくりと、だが、着実にワールドをその虚空が覆いつくしていった。

「うわあああ!」

「な、何なんだよあれ!」

「おい!英雄タイキが作った地下に逃げろ!バクハツマンも、ボーンも、あの場所なら明るいからいないはずだ!」

「早くしろぉぉぉぉ!」

だが、その叫びも、祈りですら、無力だ。

ただ、ワールドは多くの家々とともに飲み込まれていくだけだ。

同じ頃には、ヘルワールドも、エンドロールワールドも消えつつあった。

死にたくない、死にたくないと叫ぶ町人たち。

だが、消えていく。

黒い虚空に意識を飲まれて、、、、


「おしっ!100%になったな!新しいワールド名は、、、」


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