第22話 天才
僕は天才じゃない。
天才だ。天才だってかれらは言うけど、僕は天才なんかじゃない。
ちょっと、普通の人より、国語ができるだけで、天才なんかじゃない。
とある全国的な作文の最優秀賞を連続でとったからって、天才じゃない。
書いてみたネットの小説がありとあらゆるところから称賛の声を浴びても、僕は天才じゃない。
数学も、理科も、社会も、平凡で、英語だって国語を除けば一番点はいいけれども、それでも、優秀ではない。
僕は小説家に何てなりたくない。
本当は水族館で働く人になりたい。
でも、まわりの人たちは、「君は天才なんだから。小説家になりなさい」って言う。
僕は別にこんなの欲しくないのに、天才だって崇められたくないのに。
「おまえはいいな、天才で」って、友達は離れていく。
「必ず成って、応援しているよ」って、近所の人は言う。
「必ず小説家になってください」って、ネットの人たちは僕を嗤う。
味方なんてどこにもいない。
運命から逃れられない。
希望と言う砂浜は遥か遠くにある。
僕はどうあがいても、掴めない。
誰か、助けて。
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