第6話 呪文

僕の近所には勉強を教えてくれるおじいさんがいる。

お寺の住職で僕たちのような小学生向けに歴史などの勉強会を開いているいた。僕もそこの生徒の一人だ。また、おじいさんは仏教の教えなどを教える教室を開いていた。皆からおじいさんはすごく慕われていた。僕もその一人だった。

ある日、そのおじいさんに僕を含めた生徒全員が一斉に集められた。

「・・・突然、集めて皆すまないね、、、実は私はもう長くはない。お医者さんにあと良くて半年程度と言われてしまったんだ。明日、入院することになっている。本当にごめん。」

僕は当然驚いた。そして、皆も口々になんでとか噓でしょと言って泣いたり、びっくりしたりしていた。

「皆、泣き止んで、顔を上げてほしい、、そうそう良い子達だ。確かに私は長くはない。だけど、皆に残すことならできる。この言葉をぜひ覚えてほしい。『ウヨイ二ョシッイトシタワ』。これは魔よけの呪文だよ。これさえ唱えれば皆が病気になったり、悪いことが起きたりとかは無くなるよ。ただし、私が生きている内にこの言葉を一回でいいから言ってほしい。そして、守ってほしい、、分かったかい?」

はい、と弱弱しい声で言う声が幾度か聞こえた。僕もとりあえず同じように言って返した。

僕はおじいさんが教えてくれた言葉をメモして家に帰った。

早速、家でその言葉をしゃべろうとしたけど、ズボンのポケットに入れていたメモ用紙が無くなっていた。

どこかで落としたんだ__今更探そうとしてもう遅かった。

僕は記憶力もそこまでいい方ではないのですぐにおじいさんの言葉もすぐに僕は忘れてしまっていた。

当然の事だが、おじいさんは入院してしまったので、僕は何の言葉を言ったらいいかを聞けなかった。他の子にも照れ臭くて「教えてほしい」とは言えなかった。

数か月後におじいさんは亡くなった。

そこから、異変が起こった。僕の周りで次々と同級生たちが不慮の事故などで死んでいったのだ。

全員、おじいさんのところに通っていた子達だった。

そんな時に、机の引き出しから行方不明だったメモ用紙が見つかった。僕は違和感を覚えてその紙に書かれた言葉をよく読んでみた。

そして、一つの真実に僕は気が付いた。次々と皆が死んでいくはこの言葉___否、呪文のせいだと。

この文字を逆さにして読むと、次のようになった。

『私と一緒に居よう(ワタシトイッショニイヨウ)』


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