第4話_カザエール公爵のおぞましい思惑

Side カザエール公爵


儂の目論見通り、我が息子ジョナスはシルフィネリア嬢との婚約を破棄しおったわ。レイザーフッド公爵家のステファンは、良い働きをしたのう。後で褒美を取らせよう。


明日はついにシルフィネリア嬢が我が専属使用人となる日。他の専属使用人共と違って、あの透き通った綺麗な容姿。薄いピンクの髪にブラウンの愛らしい眼。線の細い体つき。色香の漂うボディライン。早く舐め回してむしゃぶりつきたいものよのう!


今回は、すぐに壊してしまわぬようにせぬとな。


「セバス、出てこい。」


「はい、ご主人様。」


「そこのゴミを地下に捨てておけ。」


そこには痣だらけで元の容姿など全くわからなくなった女性が、焦点の合わない目をして、涎を垂らしながらブツブツと何かを呟き続けていた。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


翌朝、カザエール公爵は上機嫌でアギレラ家を訪れていた。

醜悪な笑みを浮かべながら。


今日からシルフィネリア嬢は我がもの。

早く連れて帰って楽もうではないか。


「アギレラ伯爵、シルフィネリア嬢を我が家の専属使用人として迎えに来てやったぞ。早く連れてこい」


「ようこそカザエール公爵様。よくいらっしゃいました。すぐにシルフィを連れてきますので、お待ちください。


そこのメイド、シルフィを連れてこい。すぐにだ!」


しばらくするとメイドが慌てた様子で戻ってきた。


「旦那様、お嬢様がどこにもいません!」


「どういうことだ!!屋敷中探せ!!!」


使用人総出でお嬢様を探したが、どこにも見つからなかった。

怒り狂ったカザエール公爵は、融資を継続するための条件を追加してきた。


「シルフィネリア嬢が見つかるまで、そこの役立たずのメイドを専属使用人としてやる!」


指名された見習いメイドのダリアは、青い顔でアギレラ伯爵を見つめるが、

お金に執着する伯爵はあっさり許可してしまった。


ダリアは困惑しながらもすぐに気持ちを立て直し、使用人として仕える家が変わるだけだと割り切って、カザエール公爵家について行くことにした。


カザエール公爵・専属使用人のおぞましい末路を知らぬまま。


(続く)

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