婚約破棄された伯爵令嬢は、シスコン兄と門番に溺愛される〜借金のかたに側妻なんて嫌!〜

Nekoyama

第1話_婚約破棄と残酷な真実

「今日、この時をもって、お前との婚約は破棄する!」


伯爵令嬢 シルフィネリア・アギレラは、学園のカフェテリアで婚約破棄の宣言を受けていた。


「どうしてか、お伺いしてもよろしいでしょうか? ジョナス様。」


意味が分からないですわ。私が何をしたというのかしら。


「理由は明らか。お前が、私の財産を目当てに婚約者になったからだ!私はそのような卑しいものと婚姻はせぬ。」


ん?ジョナス様のお家は確かに公爵家ですが、ここ数年は領地の経営が傾いていて、お金などないはず。そうお父様はおっしゃていたわ。お金が無いからわたくしと婚約したのではなかったかしら。

でもそのようなお話、ご本人の前ではできませんわね。


「一体、そのような誤った情報をどなたからお聞きになったのですか?」


「親友のステファン・レイザーフッド公爵令息だ。彼はお前の悪事を丁寧に説明してくれたわ」


え、あの癖の強い油ぎったお顔のステファン様?わたくし、生理的に受け付けないからお側に近寄ったこともないのですけど。。


「わたくし、レイザーフッド様とはお話もしたことがありませんの。それにどうしてレイザーフッド様だけのお話を信じられますの?」


「ええい、うるさーい!!彼が私の親友だからだ!それに証拠も示しておったわ。」


ジョナス様、短期すぎるわね。面倒だわ、もう家に帰ってお父様にお伝えしましょう。


「よく分かりませんが、ジョナス様のおっしゃったこと、全て当家に持ち帰りますわ。ではごきげんよう。」




家に帰ったシルフィはジョナスの言葉を1字1句漏らさずに、両親に伝えた。が、両親は顔面蒼白だった。


どうやらジョナスの言っていたことは正しく、シルフィは両親に嘘の婚約の理由を伝えられていたらしい。


わたくしだけ何も知らなかったのね。恥ずかしくて明日から学校に行けないわ。

とりあえず身の振り方を考えるためにも、、1週間くらい家に篭りましょう。


1週間、調べてみて分かったことは


・我が伯爵家の財政は破綻寸前だということ。

・原因は両親が領地経営を執事長に丸投げしていて、執事長がお金を横領して逃げたこと。

・横領されてもまともに経営すれば、1年くらいで立て直せたのだが、両親が領地経営の手腕がなく、詐欺師に漬け込まれて、借金ダルマになっていたこと。

・ジョナス様の父親カザエール公爵が、シルフィの容姿をとても気に入っていて、息子に嫁がせることでアギレラ家に無利子で融資をしてくれる約束を、お父様としていたこと。ただし、条件は正妻にはならないこと。第2夫人どころか、第7夫人などでも文句は言えない契約だった。

・ジョナス様がシルフィを気に入らなかった時は、カザエール公爵の専属お世話係となること。



吐き気がする。

貴族の結婚はお家のためにと子供の頃から言い聞かされてきたけど、あまりにも酷い。


昨年留学に行ったセシリオお兄様はこのこと知っているのかしら?

私が小さい頃から、可愛がってくださったお兄様、むしろベタベタに溺愛してくださったお兄様なら、このことに何も言わないはずがないわ。

きっと知らされていないんだろう。


留学先は、馬車で3日行った先にあるセーポルタね。

いきなり会いに行ったら怒られるかしら?

緊急事態だし、お許しいただけるかしら。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る