夜光視点

第143話  6月8日 サブスク1弾


 サブスクが始動してから1週間が経った。


 サブスクとはSBSK――翔斗バースデイ作戦会議の略で、私と凪ちゃんのその場のノリで始まった会議。


 要は、女子特有のとりあえず題名つければ形になるっしょと言うことである。



 サブスクが始動してからこれが1回目。

 この1週間で翔くんをどのようにお祝いするかをそれぞれ考えた。


 凪ちゃんに1週間と言われた時はそんなに時間を取る必要あるのだろうかと思っていたが、今となってはしっかり1週間という時間をとってよかったと思った。


「2人しかいないけど順に発表しようか」


 凪ちゃんがそう言いながらメモ帳らしきものをカバンから出した。


 先日の翔くんの誕生日を確認するときも思ったが、今時の高校生でスマホではなくメモ帳を使う人がいるのだな。


 スマホの方が楽なのに――そう思いながらも口には出しない。

 少しだけできる女OLみたいに凪ちゃんが見えてかっこいいと思ってしまったから……。


「私の考えたお祝いの仕方なんだけど、やっぱり軽井沢旅行の時みたいに3人それぞれ1人ずつが翔斗くんをお祝いする形がいいと思うんだ」


 それは私も望むところである。


「うんうん、私も凪ちゃんと同じ考え。でも、それだとどの日に誰が翔くんをお祝いするのかを決めなくちゃいけないよね」


「そうなんだよね……私はそれで1週間も使っちゃった」


 そう。この1週間どのように翔くんを祝うのかを悩んでいたのではなく、別々にお祝いをする前提に誰がどの日に翔くんをお祝いするのかを悩んでいた。


 そして、凪ちゃんもそれで悩んでいるということはもちろん――――


「やっぱりお祝いできるなら、当日がいいよね」


「そうだね……」


 ――――こういうことである。


 体育祭がある25日は金曜日。

 その後三連休に入るから26.27.28と休みになっている。


 要はこの三連休にて1人ずつ翔くんとデートをしようとすると、26日の翔くんの誕生日をタイムリーにお祝いできる人が1人であとの2人は誕生日のその後にお祝いしなくてはいけなくなるのだ。


「ま、こうなるかと思ってしっかり案を考えてきました!」


「そうなの?」


「もちろん!!」


 1週間もあったんだからね!


「まず結論から言うと、翔くんの誕生日である26日はちゃんと3人でお祝いするべきだと思う」


「あれ、でもそれだと誰かができないんじゃ……」


「私も最初はそう思ってたんだけど、そうではなかったのです……」


「と、言うと?」


「実はね、この学校とても優秀で、三連休の3日目を体育祭の振替に充てるんじゃなくて、次の日の一日をしっかり振替休日として作ってくれていたんだよ」


「え、でもそんなこと先生は一度も……」


「そうなの!私も1週間の半分は三連休で終わりだと思ってたんだけどさ、やっぱり気になったから先生に聞いてみたら、この結果というわけですよ」


「なるほど……だから美月ちゃんは翔斗くんの誕生日当日はみんなでお祝いしようと言ったんだね!」


「そう言うことです!!」


 という事で、翔くんの祝い方は26日をみんなで――後の3日を1人ずつで――と言う形に決まった。


 個人の日に何をするのか、どんな誕プレを渡すのかは、もちろん凪ちゃんと話すことではないので会いてる時間にでもしっかり考えようと思う。


「じゃーこれから私たちが考えなきゃいけないのは……」


「26日の翔くんの祝い方かな?」


「そうだね!みんなでお祝いするからって手を抜くなんてしたくないもんね!」


「もちろんだね!!凪ちゃんみたいに翔くんのことも泣かしちゃおう!!」


「ちょっと〜そのことはもう言わないでって言ったじゃん。美月ちゃんのケチ」


「はっはっはーごめんごめん。今回も1週間ぐらい考える時間を取る?」


「そうだね。2人で案を考えてこようか」


「了解です!」


 ちょうど、翔くんと美香ちゃんが戻ってくる時間なので今回のサブスクはこれでお開きとなった。



 ――――――



 今回のサブスクで個人でお祝いできる日は作れた。


 凪ちゃんはどんなお祝いにするんだろ……。


 どんなお祝いにするかはまだ決まっていない。でも今回のお祝いで出来れば翔くんとキス……してみたい。


 別に凪ちゃんとどちらが先にするとか決めているわけではないし、しちゃいけないとも約束しているわけでもない。


 だからいいかな……いいよね。

 できるタイミングがあれば、一歩だけ、そう言わず数歩、彼女として翔くんとの関係を進めてみたい。


 みんなでお祝いする26日も楽しみではあるが、私の気持ちは少しだけ個人でお祝いする日に向いてしまっていたのであった。


___________________________________________

143話読んで頂きありがとうございます!


他の作品を読んで頂いてる読者の方、近況ノートを読んでくれた方には2回目となりますが、改めまして、明けましておめでとうございます!!

更新が遅くなり申し訳ありません。


そういえば、去年の12月で小説を書き始めてから一年が経ちました。もちろんですが今は2年目です!

2年目も面白いと思ってもらえるようなお話を皆様に届けられるよう頑張りますので今年もよろしくお願い致します!


という事で、サブスク1弾でございますが、私の中では割とネーミングセンス良さげなのではないかと思っています。


いや、ないわと思う方はコメント欄に他案をよろしくお願いします(圧)


長くなってしまいましたが、よかったらコメント、応援よろしくお願いします。

コメントは時間にばらつきはありますが必ず返信をさせてもらっていますので是非していってください!



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