古巻視点

第138話  6月19日 体育祭前の休日


 体育祭が1週間後と迫った土曜日。

 僕達4人は公園に設置されているテニスコートへと足を運んでいた。


 理由としては、凪と美月が体育祭の出場する種目としてテニスの女子ダブルスを選んでいた為である。


 元々、二人ともテニスは経験していたことがあるらしく、最初はシングルでお互い敵同士で戦うと言う話が出ていたらしいのだが、対戦できるかわからないと言うことで協力という話で落ち着いたらしい。


 ちなみに、美香はめんどくさいと言うことで100m走を選んだと言っていた。


 めんどくさいと言っておきながら100mを選ぶのだなと思っていたら、100m走なら僕が出る予定の柔道の試合を見ることができると言う理由で選んでいたことがわかった。


 妹ながらそう言うところは抜かりがないなと思う。

 その相手が僕と言うのが嬉しいのか少し心配なのかはとりあえず置いておく。


 美香の話を聞いて、凪と美月が早急に試合の時間を確認すると、運良く、柔道の試合がギリギリ見れるとのことだった。


 見ても面白いものではないと思うし、そこまでならなくてもとは思うものの、3人が見に来てくれると言うのであれば、もう少し気合を入れなくてはいけないと思うのであった。



 ―――――――――


「じゃーちょっと力関係ありすぎるかもしれないけど、よろしくお願いします」


 美月の発言により準備体操を終わらせ、それぞれ各コートに分かれる。


 借りている時間にも限りがあるので、凪&美月チーム対僕&美香チームで試合をすることになった。


 僕も美香も、テニスは中学でやった体育の授業でのみ。


 …………相手になるのだろうか。


 そんなことを思いながら僕は試合を開始するのであった。



 ―――――――――


「ねーお兄ちゃん―――」

「美香、それ以上は言っちゃダメだ」

「う、うん……」


 凪達とは反対のコートにて美香との距離を近づけ、二人には聞こえないように話す僕たち。

 なぜ、このような会話をしているのかと言うと、


「美月ちゃん……はぁはぁ……経験者って言ってたよね……」


「凪ちゃんも……そう言ってたと……思うけど」


 そう、この二人、とても下手くそであったのだ。


 僕と美香は普通に打ち返しているだけなのに、勝手に点が入っていく。


 最初は久しぶりだからかなと思ってはいたものの、いつまで経っても僕たちの点は止まらず。


 最終的に二人がギブアップして試合は一旦終わりを迎えた。


 今にも、つかみ合いを始めてしまいそうな雰囲気な二人に僕は近寄り声をかける。


「えっと……二人とも経験者って言って……」



「だって経験したことあるもん!」

「私だって経験したことあるもん!」


「「体育で!!」」



「やっぱりそうだった!!」


 案の定二人とも、僕たちと同じ体育でしか経験はなかったみたいだ。



 そもそもの話をさせてほしい。


 凪と美月は運動神経が決して悪いわけではない。

 むしろ、学年の女子の中では飛び抜けて良い。


 だからこそ二人は二大看板と言われているのだ。


「なんで2人とも陸上系にしなかったの?」


 僕が質問すると―――


「いや〜……ね!」


「うん〜……ね!」


 なぜかこう言う時だけ意見が合う2人にはぐらかされた。


「まぁ、言いたくないならいいよ。とりあえず僕と美香はコンビニで何か買ってくるから、練習でもしておきなね」


 そう言って、僕たちはテニスコートから出るのであった。



 ―――――――――


「はぁ〜疲れました」


「私も疲れた。翔くん、美香ちゃん今日は付き合ってくれてありがとね」


「ありがとうございます」




「どういたしまして。最初はどうなるかと思ったけど、試合できるくらいまでにはなったからホッとしてるよ」


「本当だよね。美香も最初どうなるかと思った」



 あの後、数時間は凪と美月だけで練習して、帰る前にもう一度だけダブルスにて試合を行った。


 結果的にはまたもや僕&美香チームが勝ってしまったものの、後少しのところで凪&美月チームの勝利だった為、テニスの実力は最初と比べてかなり上がったものと思えた。





 その後は、4人でファミレスに行き夜ご飯を食べた。


 最近は体育祭の準備で平日ゆっくりできていなかったので、気分転換には丁度良い1日であった。


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138話読んで頂きありがとうございます!


最近、花関連の話ばかりだったので久しぶりに4人だけの話にしました。


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