古巻視点

第108話  2月14日 バレンタイン当日


 2月14日この日は男子にとって、色んな意味で特別な日だと思う。

 その日はどう足掻いても、喜ぶ側かそうではない側かで別れるだろう。


 だが、今日は日曜日!その心配はない、もし凪と美月に貰えなかったとしても1人ベッドで泣くだけだから……。


 昼に最近はよく利用する学校近くのファミレスに呼ばれている。

 呼ばれた相手は凪と美月。これは期待して大丈夫そうだ。


 少し早いが今から向かおうと思う。


 ―――――――――――――――


 みなさん!おはようございます!

 今日お送り致しますのは、バレンタインに好きな女子から呼び出され、ウキウキしているお兄ちゃんの尾行……ゴホンッ、内緒の密着取材です。



 さて、お兄ちゃんは今、家を出ました。

 相当楽しみなのか、すぐ後を追う美香のことすら気付かないご様子。



 もしかしたら美香、記者とかアナウンサーとか向いてるかもしれない……。


(お天気キャスターの美香ちゃーん)

 ※注意!美香の妄想開始です。


(はーい!お天気キャスターの美香でーす!!今日もこんな可愛いお天気キャスターが皆様に朝のお天気をお伝えしますよー)

 ※注意!美香の妄想中です。


(わぁーー!!わぁーーー!!)

 ※注意!美香の妄想の中で盛り上がる視聴者です。


(ふふ!私って人気!)

 ※注意!頭の中の妄想する美香が、更に頭の中で妄想をしています。



「あれ!お兄ちゃんは?!?!」


 気付かないうちにお兄ちゃんを見失っていました。

 とりあえず方向的に駅に向かっていたので、走って追いつこうと思います。



 やっぱり駅にいました。もしかしたら学校の方に行くのかもしれませんね。

 気付かれないよう、隣の車両から乗り中央の窓から監視します。


 ちなみに今日の美香の服装は帽子を被り、大きめのシャツ、ジーンズとスニーカです。

 結構楽なのに可愛いんですよね!


 本当に楽しみの様で、音楽聴きながら口パクで歌っています。

 あれはご機嫌の時、よくやるやつです!




 お兄ちゃんが降りたのは、学校の最寄り。

 私も出願などで行っているので覚えていました。


 駅を降り、お兄ちゃんはファミレスの方に向かっています。


 ……ファミレスで渡されるのか。なんかシュール。もっと雰囲気あるところで渡せばいいのに。公園とか?いや、小学生かよ!!



 ファミレスに着くと、2人の女子が入口で話していました。話していた??言い合ってる?よくわかりません。


 よく見ると、凪さんと美月さんの様です。

 遅れての登場、何という王様感。これは逮捕になるかもしれませんね!……と思っていたら、ペコペコ頭を下げています。新人が遅れちゃったみたいな――釈放!


 今日の美香!絶好調な気がします!

 言葉が次から次へと出てくるのです!




 どうにか、3人が見える席に座れました。

 店員さんに、席の誘導させるの大変だったんですよ!


 早速、渡し始めました。


 んーどれどれ、中身は……。




 ―――――――――――――――


 ファミレスについて、早速渡すものがあると2人から言われた。


 この日に渡すものなんて決まっている!手作りのお菓子!楽しみだ!


「「はい!バレンタインです」」


 息ぴったりに言いながら渡してくる2人。

 包まれている物まで可愛かった。


「ありがとう!!今開けていい?」


「「うん!開けてみて!」」


 ここでも2人は息ぴったりだった。




 凪の方は、色的には黒、白と分かれていた。

 黒色の方が生チョコのトリュフ。白い方はよくコンビニや無印とかで売ってる、アーモンドボールだと思った。

 とても美味しそうだ。これを手作りとか凄すぎないか……。

 今度僕も作ってみようと思う!


 チラッと横をみると、手紙が添えてあった。

 凪の方を見ると、読んでみて読んでみてと目で訴えてくる……これは美月のを開けてからにしよう。




 美月の方は、とてもカラフルだった。

 これはマカロン!?形が綺麗すぎて、買ってきたのではないかと思うぐらい綺麗だった。

 この間、全然料理できないとか言ってたのに、出来るじゃないか……僕も負けてられないな。


 全部で5個あるのだが、なぜか一番端っこの1つだけ異様な存在感を放っていた。


 ……なんでこれを真ん中にしなかったんだろう。


 凪のお菓子の入れ物がスライド式だとすると美月の入れ物はパカッと開ける感じになっている。

 その入れ物の蓋の裏に手紙が貼ってあった。

 美月も書いてくれたみたいだ。




 2人とも僕に手紙を書いてくれたみたいで、食べる前に読むことにした。

 ……2人とも早く読めと圧を送ってくるから。



 まずは凪から。


『翔斗くんへ!私の初めてをもらってください……。何がとは言いません。全てを堪能してくださいね♡

 これからもよろしくお願いします!大好きだよ翔斗くん!!』


(………………………………なんだこれは。色々情報がありすぎてヤバかった。凪ってこんなんだっけ?頭が混乱してきた。とりあえず何事もなかったかの様にやり過ごそう)


「どうでしか?私からのラブレターー」


「うぅっ……やめてくれ。そうやって言うの。とても気持ちが伝わってきたよ、ありがとう!」


「はい!もちろんです!」


 嬉しいそうなのでいいことにしよう。

 次は、美月。



『愛する翔くんへ♡結婚してください……


 パタン……


「ちょっと、翔くん??早くない?読み終わるの早くない?」


「どうせ、変なこと書いたんでしょ」


「何を……へ、変なことなんて書いてないもん!ほら読んで、読んで!」


 まさかこんなに早くからぶっ込んで来るとは思わなかった。

 この2人って仲悪そうに見えて実は仲が良い……さらには2人とも中身は危ない可能性がある。気をつけないと。


 僕はやばい2人を好きになってしまったかもしれない。


「ごめんごめん。続き読むね」


『愛する翔くんへ♡結婚してください。って言うのは冗談です。冗談ではないけど……。

 マカロンを作ったよ!ここまでしっかり使ったのは初めてだけど、美味しいと言って欲しくて頑張った。

 愛情もたっぷり入ってるから!若干違う愛情も混ざってるけど……まぁそれは気にしないで食べてください!大好きです!』



(途中途中で変なこと書いてあったけどとても気持ちが伝わる文章だった)


「ありがとう、美月!」


「えへへ!読んでくれてありがとう!」


 その後は2人のお菓子を食べた。

 どちらもプロが作ったと言ってもいいほど美味しいものだった。


 美月の一番派手なマカロンは美月のお母さんが作った物だったららしい。




 2人からどっちらが美味しかったと聞かれた。

 正直甘いものを食べ過ぎて、気持ち悪くなっていたが、どれが一番だと言われたら答えは出ていた。

 だが、言いたくはなかった。だって……一番派手なやつが一番美味しかったんだもん。


 2人のお菓子も美味しかったから、どっちも美味しくて順位なんて着けられませんと頭だけ下げておいた。



 ―――――――――――――――


 2人からもらったお菓子は、マカロンとトリュフだと思います。どちらも甘いお菓子ですね!


 お兄ちゃんはとても嬉しそうです!

 2人のお菓子は本当に美味しかったのだと思います。



 お兄ちゃんが受け取ったお菓子の確認が取れました!これで私の目標は達成です!


 速やかに帰宅しようと思います。




 以上!美香からでした!!


















 ―――――――――――――――

 ・おまけ



 お菓子を食べた後は、少しだけ会話して帰ることにした。少しと言っても1、2時間ほどは話した。


 2人はまだ話すことがあるそうで残ると言っていた。


 正直家で休みたかった。

 お菓子はすごく美味しかったのだが、美味しすぎて胸焼けしてしまっているから……。





 どうにか帰宅し、手を洗い、ソファーに座る。


 すると机の上にお菓子が置いてあるのに気づいた。

 多分美香が作ってくれたものだろう。


 美香には悪いけど、後で食べようと思った。

 甘いものをいっぱい食べて来ちゃったから……だが、一緒に添えてあるメモをみて今すぐにでも食べたくなった。


 なぜなら……


『今回は紅茶風味のクッキーに苦味のあるチョコレートを挟んでみました。甘くはないけど、妹からの甘〜いバレンタインです!』


 と、書いてあったから。


 すぐにでも食べた。口が欲していることもあり、めちゃめちゃ美味しかった。

 本当に美味しかった!!


 まさしく!今回のバレンタインはダントツで美香が優勝だった。


___________________________________________

108話読んで頂きありがとうございます!


美香はあらかじめ甘いお菓子、苦目のお菓子を用意していました。他にもバリエーションは豊です。

だからこそ、何をもらったのか確認に行ったのですね。

この物語は案外美香の手によって左右されるのかもしれません笑笑


総合PVが27万を超えました!

いつも読んで頂きありがとうございます!これからもよろしくお願いいたします!


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よろしくお願い致します!

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