古巻視点

第85話  1月24日 僕はとても心配だ

美月とお泊まりした日から1週間が過ぎ、今日は凪が僕の家でお泊まりをする日となっていた。 


「じゃーお兄ちゃん、美香もう行ってくるから」


まだ朝の8時なのだが美香はリュックを背負い、リビングでテレビを見ていた僕に声をかけて来た。


「あれ?もう出るの?早いんだな……気を付けて行くんだよ」


「そんな心配しなくても……お友達の家に行くだけなんだからさ」


「まぁ〜そうか。楽しんできな」


「はーい!じゃー行ってきます」


そう言って美香は出かけて行った。







美月が出かけて1時間ほど経ってから、凪が遊びに来た。


「お邪魔します」


「いっらしゃい!凪」



リビングに僕が案内すると、


「あれ、美香ちゃんもう居ないんですね」


「うん、美香は8時ごろに出かけて行ったよ」


「そうなんですか……とりあえず何しますか?」


今、凪から聞かれて気付いたが家の中で2人で居ても、特にすることないのだ。

理由としては、僕と凪が一緒にすることと言ったらラノベ・漫画を読むくらいだから。

そして凪は僕が持っている本をほとんどと言う全部読んでしまっているから。


「そうだね……一応確認しておくけど、凪って僕が持ってる本は全部読んだよね?」


「そうですね。全部読みました!」


「そっか……」


これ完全に詰みではないだろうか……どうしよう、そう思っていると。


「とりあえずお腹空きませんか?」


凪からそう言われた。

僕はまだ朝ごはんを食べていないが、凪の方はとっくに済ませているとばかり思っていた。


「あれ?まだ食べてないの?」


「当たり前です!今日は全て翔斗くんと一緒にやりたいので……」


「そ、そうだね……」


思わず言葉が詰まってしまったが、今の凪は可愛かった。


だって……とても上目遣いで目をキランキランさせていたから。



「じゃー早速作りますか!」


そう言ってキッチンに向かって行く凪。




突然だが、最近と言うか何ヶ月か前から凪がとんでもないことを言ったりする。

とんでもないことと言うのは簡単に言うと僕がドキッとしてしまうことだ。


そのとんでもない事にも2つほどパターンが存在している。

1つ、凪が意識的にやっている時。

2つ、凪が無意識的にやっている時。


正直、意図的にやってくる時はもちろんドキッとするが、僕に対して凪が何かを伝えたい時にする事が多いので色々な意味で頭を使う事が多い。

だからこそ、まだ心臓にはそこまでダメージがない。


意図的なことで一番印象に残っている事だと、凪の家で食器を洗っている時の事だと思う。


凪から直接言われたわけではない。

でも、凪だからこそ僕には伝わってきた事だった。


凪も僕と同じ気持ちを抱いていてくれている、と。


このように、意図的な時は色んな意味で僕に変化を起こす事が多い。

ちゃんと向き合ってくれていると感じるので嫌だとは思わない。


では、無意識的にやってくる時はどうだろうか……

正直に言わせてもらう。

無意識的は本当に最悪だ。

もちろん嫌と言う意味ではない。


僕の心臓にくる影響が最悪、最も悪、と言う事だ。


これは、もうドキドキしかしないのだ。

そして、ドキドキさせてる本人は気付かないのだ。


「翔斗くん?どうしました?」


ほらね……凪は全く気が付いていない。

自分が原因でここまで、僕の中で話し合いが開かれていることを。


これだけは、心臓に悪いのでやめてほしいと思っている。


「なんでもない。朝は食パンにしようか」


そう言って僕もキッチンに向かった。



ちなみに、美月の場合は全てにおいてタチが悪い。

美月はとても素直に気持ちを伝えてくるのだ、それも大胆に豪快に。


この間の泊まった時のことだってそうだ。

顔の頬に手を当てられて、間近であんな事言われたらドキドキなんてしないはずがないし、男としての部分なんか荒れに荒れ狂っていた。

本当にあの時はよく抑えたと思うよ……僕。

いやもうやめよう。

思い出すと色んなところに反応が出てしまう。

そして凪に怒られてしまう。




そう言って僕はパンに乗せるスクランブルエッグに全ての神経を注ぎ込む事にした。

箸でほぐしながら混ぜるだけなのに……




こんなんで、凪と1日過ごせるのだろうか……

僕はとても心配だ。


___________________________________________

85話読んで頂きありがとうございます!


昨日更新できなくて申し訳ありません。


ついに、総合PVが20万突破しました!

本当にいつも読んで頂きありがとうございます!

とても嬉しく思います。

これからもよろしくお願いいたします。


コメント、応援もいつもありがとうございます!


レビュー、小説のフォロー、して頂けたら嬉しいです。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る