朝露視点
第65話 1月5日 頑張れ、私!頑張れ、凪!
今日から学校がまた始まります。
休み明けの学校は流石の私でも行くのが嫌だな、と思っていました。友達はいませんし、家でラノベを読んで居たいですから。
前までは……
ですが、今回は違います。
だって、
「おはようございます!翔斗くん!」
大好きな翔斗くんが一緒だからです。
「おはよう!凪」
今日も頑張ろう!私はそう思いました。
ですが、
「凪ちゃん!私もいますよ?おはようございます」
チッ、なんでいるんですか。
あ……ダーク凪が顔を出して来ましたね。
戻ってください!
ふぅ、危ないところでした。
「おはようございます。美月ちゃん?学校は反対方向ですが、どんだけ方向音痴ならこんなとこに辿り着くんですか??」
「いやいや、翔くんと凪ちゃんに会いたくてね……来ちゃった♪」
最近、私は腹が立つことが多くなっている気がします。全く、これも全て美月ちゃんのせいです。
「それなら今日は3人で行こう。凪はそれでいいかな」
「まー1人だけ仲間外れは可哀想ですからね」
2人だけだったはずの登校は今日は3人になりました。
美月ちゃんがいるのは、嫌ではないですけど、今年最初の登校ぐらいは翔斗くんと2人がよかったです。
学校に着きました。
私と翔斗くんは図書室に向かいます。
ちなみに、美月ちゃんもついて来ています。
もしかしたら、これが私たちの毎日になるかもしれませんね……図書館で3人で過ごすことが。
朝の登校はわかりませんが……
私としては、邪魔して欲しくはないのですね。
でも、私も美月ちゃんの立場だったら同じことをしていると思います。
だから何も言えません。
だって美月ちゃんの立場だと、今まで通りにしてしまうと、学校でしか話せないから。
逆にライバルとなる人は朝は一緒に登校して、時間まで2人で図書室で過ごす。そして帰りはまた一緒に帰るのです。それに加えて、学校でも話されるとなるとアピールチャンスが明らかに相手より少なくなりますからね。
現に私も今日から翔斗くんと普通に学校でも話すつもりですから。
私は美月ちゃんとは正々堂々翔斗くんを取り合いたいと思っています。
だからこれぐらいは良いのかなって思っています。
このぐらいは、ですけどね。
「今日は何読むんですか?翔斗くん」
これはもう日課になっている、質問です。
一度だけこの質問をしなかったことがあります。
その時、翔斗くんから今日はいつもの質問しないの?と聞かれてしまいました。
その時から私は毎日質問するようにしています。
「今日はこれ!」
「珍しいですね。ラブコメじゃないのは」
「まー今は少しだけファンタジー系の波がきてるからね!家ではちゃんとラブコメ読んでるよ!」
「あの、2人の世界に入らないでもらって良いですか?私もいるんですけど……」
「あ、今日は美月ちゃんもいたんでした。ごめんなさいね。つい、
「むぅーーー凪ちゃんめ……」
いつもならここで言い合いになるのですが、
「それで、美月は何を読むの?」
翔斗くんの質問によって止められました。
「私が読むのは、これです!」
美月ちゃんがそう言って見せて来たのは私がラブコメ以外で唯一気になっていた本でした。
「そ、それは、「あり○れた○業で世界○強」ではないですか」
「え?凪ちゃんこれ知ってるの?」
「はい、話自体は知らないですが、私が好きな本のキャラを書いている人がその本も書いていたので」
「ほうほう、まさか……読みたいの??」
「え?いいんですか??」
「もちろん!ダメだよ♪」
ほんっーーーーーーとにこの人は嫌いです!
なんで私この人と友達なんかになれると思ったのでしょうか……
そう思っていると、
「え?別に美月に借りなくても僕全部持ってるじゃん。貸すよ?」
あ、もう翔斗くんが神様に見えて来ました。
もう翔斗くん、
「好き……、「あ……」」
私は思わず口に出してしまいました。
私の言葉を聞いて声をハモらせたのは翔斗くんではなく美月ちゃん。
翔斗くんは、と言うと
小説を読んでいました。
読みながら私に話しかけていたみたいだ。
……よかった。よかったのか?
すると、小さい声で美月ちゃんが
「凪ちゃん流石に今のはびっくりしたよ」
小声で言ってきました。
「そうですね……つい心の声が出てしまいました」
「き、気をつけようね……」
そのあと私たちは時間になるまでソワソワしながら過ごしました。
「よし、そろそろ行こうか」
翔斗くんの声によりもう8時になることをわかりました。
ここまでは美月ちゃんがいましたが、いつも通りです。
ここからは、いつも通りではありません。
「じゃー今日は僕が最初、」
私は翔斗くんの言葉を遮り言います。
「いえ、今日からは教室までも一緒に行きましょう」
「え?でも、」
ふふ、驚いてますね。
そう言う顔も好きですよ!
「いいんですよ。ほら行きますよ!」
「う、うん!行こうか」
今日からはこれも私のいつも通りにします。
これが私の第一歩です。
「また、2人の世界に……私もいますからね」
「あら、美月ちゃんいたんですか。って言うのは冗談で早く行きますよ」
私たちは3人で教室向かうことになりました。
今私たちは学校内を翔斗くんを挟む形で歩いています。
やっぱり目立ちますね……、と言いますか翔斗くんが一番見られている気がします。
これは少し可哀想ですね。
数名の男子なんか、
「おい、あれ見ろ、」「あ?おい……なんだよあれ」
「誰だあの男、羨ましいぞ、」「少しイケメンなのがムカつく……」
翔斗くんに聞こえるような声で話していますね。
全く……これだから男子は。
私と美月ちゃんは見られること自体は慣れていますからね、こうなるとは想像つきませんでした。
「美月ちゃん、これちょっと翔斗くん可愛そうだったね」
翔斗くんの背中越しで私は翔斗くんに聞こえないように話しかけました。
「私もそれ思ってた。翔くん大丈夫かな。聞いてみるよ」
「はい」
こう言う時の美月ちゃんの行動力、発言力は見習わないといけませんね……私は少し劣っている気がします。
「翔くん?大丈夫?」
美月ちゃんの質問に対して翔斗くんは、
「ん?なにが?」
ん?
「いや、周りからの目線とか……」
「ん?……え?めっちゃ見られてるね」
あれ?
「え?今更?」
「ずっと、さっき読んでた本のこと考えてて周り見てなかった。あはは」
あまり気にしていないみたいですね。
よかったです。
「凪ちゃん全く気にしてなかったみたいだよ……」
「そう見たいですね……私たちの考え過ぎでしたか」
それからは私たちも気にせずラノベの話をしながら、
教室に向かいました。
教室が近づいてきました。
私は思わず足を止まってしまいました。
さっきまでは大丈夫だったのに……
やっぱりまだ私は怖がっているみたいです。
少しだけ、ほんの少しだけ、まだ周りに見せるのは嫌みたいです。
嫌ですが、嫌がっているせいで美月ちゃんに先を越されてしまうのはもっと嫌です。
「大丈夫?凪」
翔斗くんからそんな声がかけられます。
「はい……少し心の準備ができてなかっただけです」
「そっか、じゃー」
そう言って翔斗くんは歩いていた廊下の端に寄りました。
なんだろうと思っていると。
「一緒に行くって言ってたじゃん、待ってるよ」
そう言ってくれました。
そして美月ちゃんも一緒に。
「しょうがないから私も待ってあげますよ」
「別に美月ちゃんに待ってほしいなんか思っていませんけど。ふふ、でもありがとうございます。もう準備はできましたからいいですよ。早く行きましょう」
ここまでされて心の準備ができないわけないじゃないですか。
もう周りの目なんて気にする必要なんてないんです。
だって私には好きな人と一応ですが美月ちゃんもついてますから。
私は3人で一緒に教室に入りました。
こんなんで臆している私はまだまだだと思います。
ですが、この一歩が私にとっては、とっても大きな一歩だと思っています。
このままの勢いで次は教室で話したいと思います!
私ならできる!翔斗くんとのためならできる!
頑張れ、私!頑張れ、凪!
___________________________________________
65話読んで頂きありがとうございます!
昨日の質問で、3000文字程度と言う意見も頂いたので3000文字にしてみましたが思いのほか更新するまで時間がかかってしまいました。申し訳ありません。
凪ちゃんが気持ちを言葉に出しちゃうの可愛いですね。
総合PVが13万いきました!
本当にありがとうございます!
コメント、レビュー、小説のフォロー、応援、
いつもして頂きありがとうございます!
またして頂けたら嬉しいです!
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