古巻、朝露、夜光視点
第60話 12月31日 それぞれの視点
・翔斗視点
僕が凪と美月のことを好きだと認めてから6日が経った。
ちなみに夜ちゃんのことを美月と呼んでいるのは、
夜ちゃん自身にそう読んでほしいと言われたからだ。
理由は「戦争です!」らしい……秘密ですみたいな言い方で言われてしまった。
そんなことより、今僕は迷っていた。
美香に2人のことを好きになってしまったと言うべきか迷っていた。
美香のことだから、多分最低とか言われるんだろうな、と思っている。
だから言いたくはないのだ……
だけど、言わないと気が済まないのだ。
やっぱり言おう。
「なー美香」
「ん?どうしたの?お兄ちゃん?」
「大事なお知らせがあるんだよ」
「ん?」
緊張する。
妹に向かって2人のことが好きになってしまったなんて言うお兄ちゃんがどこにいるんだろうか。
そんなのラノベでも見たこと……いやあるような気がするな。ならいけるか。
「お兄ちゃんな2人好きな人ができたんだよ」
「え?うん。だからどうしたの?」
え?なんか思ってた反応と違うんだけど、
「え?怒らないのか??失望しないのか?」
「ん?なんで?」
「え?普通に2人のことを好きになってしまっているから?」
「何言ってるの?お兄ちゃん」
え?美香こそ何を言っているんだ??
「え?」
「え?じゃないよ。別にいいじゃん2人のことが好きになったって。2人と付き合っている訳じゃないんだし」
「あ、確かに。そっか」
なんだ言われてみればそうだな。
「うん。それだけなの?」
「うん、それだけ……だ」
「そう、凪さんが来るんでしょ?準備しなきゃ!」
そう言ってキッチンに走って向かってしまった。
なんか拍子抜けだったな。
そう思っていると。
「あ、お兄ちゃん。その2人のことを悲しませたら私怒るからね」
そう言われて僕は固まってしまった。
だってさっき言ったたじゃないか、2人のことが好きなだけならいいんじゃないって。
今美香が言った2人のことを悲しませるなって無理があるよな……
美香のせいで余計に考えることが増えてしまった。
いや、美香のせいではないのか。
もともとは僕のせいなのだ。
今日で一年が終わる。
10月以降色々ありすぎて、9月より前のことをあまり覚えていない。覚えてはいるが……
来年は平和でありますように。
そうは言いたいけど、僕自身2人のことを好きになってしまっている時点で、そんな願い事が叶うなんて皆無に等しいと思う。
後悔をしない、一年にしよう。
僕はそう決めたのだった。
―――――――――――――――――――――
・凪視点
私はとても悔しいです。なぜかって、美月ちゃんに、じゃんけんで負けて元旦取られたから。
ちなみに美月ちゃんと呼ぶようになったのは、同じ人を好きになってしまった記念です。
本当は私も、美月ちゃんも、同性の友達とラノベの話がしたかっただけだと思いますが。
認めるわけがありません。
今日は翔斗くんの家で過ごせる日です。
ふふ、そこはアドバンテージですね。
「お邪魔します」
リビングに入ると何故か、美香ちゃんしかいませんでした。
「あれ?翔斗くんは?」
私が聞くと、
「あ〜多分自分の部屋で本読んでますよ」
私が来るって知ってるくせに〜
私はすぐに翔斗くんの部屋に向かいます。
コンコンコンコン、2回、小刻みにノックを入れます。
「何〜美香〜」
呑気にそんなことを言われました。
それも美香……って。
私が来ることを忘れてラノベを読んでいる翔斗くんには仕返しをしなくては、
「入るね〜」
「え?なんで?」
そう言って驚く翔斗くんはベットの上で寝っ転がりながらラノベを読んでいました。
すぐに起き上がる翔斗くんを私は気にすることなくベットまで行き隣に座ります。
そして、
「私のことを忘れているなら忘れないようにしなくてはいけませんね??」
そう言って私は翔斗くんに顔を近づけました。
世間一般的にはキスをする形みたいになっています。
わざとです。
キス……してみたいですが、今は違います今はただ、顔を見てほしくて。
ただ、翔斗くんにもっと顔を見てほしくて。
そう思ったんです。
「え?いや、な、凪どうした?」
そう言って顔を真っ赤にしながら聞いてきました。
「私が来るって分かっていながら部屋でラノベを読んでいるからわざわざ来てあげたんじゃないですか」
私がそう言うと、
「え?昨日9時に来るって言ってたよね?」
「はい!言いましたよ?」
「言いましたよ?じゃなくて、まだ8時だよ?」
「え??」
すぐに自分のスマホを見ると、まだ8時でした。
その瞬間、私の顔がとても熱くなるのを感じました。
「あ、あの私、美香ちゃんのところに行ってきますね」
そう言ってすぐに翔斗くんの部屋から逃げました。
私の馬鹿、なんで時間ぐらい確認しないかな……
まぁ……でも、結果的にはよかったのかな??
翔斗くんの顔あんな間近で見れたし……
翔斗くんとは10月からの付き合いではありますが、もう私の中では家族よりも大切です。
美月ちゃんと言うライバルはいますが、私は私のできることをして、翔斗くんにアピールしていけたらと思っています。
そして来年は、翔斗くんに気持ちを打ち明けます!絶対に!
そんなことより、翔斗くんカッコよかったなー
翔斗くん!大好きです!
―――――――――――――――――――――
・美月視点
今日は凪ちゃんに譲りました。元旦は私が会えるから。本当はどちらも会いたかったんですけどね……
まぁいいでしょう。
ちなみに凪ちゃんと呼ぶようになったのは、同じ人を好きになってしまった記念です。
本当は私も、凪ちゃんも、同性の友達とラノベの話がしたかっただけだと思いますが。
認めるわけがありません。
今、私はラノベを読もうとしていました。
ですがお父さん、お母さんに呼ばれたため、リビングに行きます。
「どうしたの?お父さん、お母さん」
「美月、最近好きな人でもできたか?」
お父さんからそんなことを言われました。
「いや……できて……ないけど」
少し言葉がつまってしまいました。
「やっぱり好きな男でもできたのか??どんなやつだそれは。どこの馬の骨なんだ?」
あ、これはめんどくさい時のお父さんです。
私はすぐにお母さんと目配せをします。
意味はお母さんにだったら話すから、お父さん黙らせて……です!
すぐに頷いたお母さんを見て、逆に気付きました。
あ、これ全部お母さんの作戦だと…
まぁ、いいです。お母さんになら言いましょう。
その後お母さんによって自分の部屋へと追いやられたお父さん。
それを確認してから私はお母さんに話し始めます。
「それでね、お母さん」
「うん!どうなの?美月?」
「私、好きな人ができたよ」
「あら、それはいいことね!どんな人なの?」
「とても良い人」
「それだけ??」
「うん!まだそれだけしか言わない。あ!あとはその人のこと私、大好きなの。だからとても頑張るつもり」
「まさか……ライバルがいるのね」
さすが鋭いなお母さん……
「うん、まぁ〜」
「そう、私は美月を応援するけど。絶対に卑怯な手を使うとかはやめてね。あなたは可愛いし良い武器を持っているんだから正々堂々と正面からやり合って来なさい!」
さすが私のお母さん!よく分かってる!
「分かってる!正々堂々やり合うつもりだよ!」
「それならいいわ!じゃーお父さん解放するわね」
「うん!」
部屋に戻ってきた私は思いました。
何年も何年も苦しみ続けてきた……と。
それは今年に入っても同じで、11月まではとても苦しかったと思います。
ですが翔くんと友達になったあの11月、文化祭で私が今まで感じてきた苦しみはなくなりました。
その後、たったの1ヶ月で幸せがいっぱいになったんです。
来年も絶対に引きません。
翔くんといるためなら覚悟はできています。
来年もよろしくね!
翔くん!大好き!
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60話読んで頂きありがとうございます!
本当は2年生になる時に二章にしたかったのですが、ここまで一章とします。
この一章は、翔斗、凪、美月、一応花がそれぞれ自分自身を変える章だと思っております。
うまく伝えられているのか心配ですが、、、
二章は自分自身が変わったことによって見えてくることに対して書くのではないかと思っております。大体ですが笑
章の紹介はここまでにして、
私が物語で特に意識していることがあります。
それは高校生ならではの思考というところです。
大人になったからこそわかることはたくさんあると思うんです。
ここはこうするでしょ、常識的にはこうだよね、と思うことも、私自身高校生の時に気付けたかと言われるとそんなことはないと思います。
まだまだ未熟な私なので伝えきれないことはあると思いますが、頑張って伝えられるようにしているつもりです。つもりなんですよね。言い切れるようになりたい。
今回それが一番よく分かったのは、花なのではないかなと思います。浮気ということについての考えの甘さ。翔斗と友達に戻りたいと思う甘さ。決意の甘さ。少しの甘さを出すことがやっぱり高校生なのではないのかなって思っているんです。少しなのかは人それぞれですが!
これを読んで嫌な思いになった高校生様がいましたら、本当に申し訳ありません!!!許してください。
と、言うことで、これからも高校生としての思考を頑張って思い出しながら書くつもりなので、応援してもらえたら嬉しいです!
がんばります!
あ、章が変わるからって少し休むとかはしません。普通にいつも通り投稿していきますので、読んで頂けると嬉しいです!
コメント、小説のフォロー、応援、レビュー、
いつも本当にありがとうございます!
またして頂ければ嬉しいなと思います。
よろしくお願いします!
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