朝露視点
第57話 12月24日 翔斗くん!覚悟していてください!
今日は久しぶりに翔斗くんと出かけられる日です。
最近の私は少しおかしい気がします。
夜光さんが翔斗くんといるだけでものすごく不安になります。
翔斗くんのことを一番大事なはずなのに、もしかしたら夜光さんの方がなんて思ってしまっているんです。
私は花さんの時に決めたはずなのに。
いや、花さんの時以前から決めていたはずです。
どんなことがあっても私は翔斗くんと一緒に居られればいいと……
実際翔斗くんは夜光さんと仲良くなってからだって、
朝は一緒に行ってくれていますし、8時まで図書室で一緒に過ごしてくれています。放課後だって毎日一緒に帰ってくれていたではないですか。
なのに私は翔斗くんから離れていっている。
夜光さんを見ていると翔斗くんのことに対して私はなにも努力していないように思えてしまうから。
「おーーい。聞いてる?凪?」
「え?あ?はい、なんでしたっけ?」
「いや、次でもう着くよ」
「あ、もうですか」
私はずっと考え込んでいたみたいです。
今日、私と翔斗くんは、たまにはラノベ以外で遊んでみようということでお寺巡りに来ていました。
電車から降り、私が改札の方に向かおうとすると、
「凪、」
翔斗くんから呼ばれました。
「はい」
私が答えると、
「楽しくないの?」
「え?」
翔斗くんから言われた言葉に私が振り向いた時、思わず声をだしてしまいました。
だって、翔斗くんはとても悲しそうな顔をしていたから。
「最近ずっとそうだよ。僕と居てもちっとも楽しそうじゃない。前みたいに笑ってくれない。なんで??」
そんな……そんなつもりないのに。
違うよ、そう言いたいのに翔斗くんから初めて向けられる態度に私はなにも言えなくなってしまいました。
「何かあるなら言ってほしい。前は言ってくれたじゃん。僕のことで嫌なことがあるなら直すから」
私はなにが嫌なのか、それだけはわかりました。
ずっと言うのを我慢してきたから。
今までなら言ってきたのに一回だけ我慢したせいで、言えなくなっていたことを。
「あるよ」
「なに?教えてよ」
「私以外を見ていることが嫌だ……」
「え?」
今度は翔斗くんが驚いたような顔をします。
わかるわけありませんよね。翔斗くんは優しいもん。
「翔斗くんが夜光さんと、いや、他の人と話してるところをみると私はとても嫌な気持ちになります。とても、とても、とーーっても嫌な気持ちになります。今までは私に向いていた翔斗くんが他の人に向いている気がするから。だから嫌です。ですが翔斗くんは私だけのものではありません。だからこれは私の独り言だと思ってください。忘れてく、」
忘れてください。そう言おうとした時でした。
「わかった。凪がそう言うなら夜ちゃんとは一旦距離を置くよ」
「え?いや、」
翔斗くんがそう言うとは思っておらず、また驚いてしまいました。
「僕にとって凪は大事な人なんだ。この気持ちが好きなのかと言われるとわからないよ。多分異性としての好きで言うともしかしたら夜ちゃんになるのかもしれない。だとしても、夜ちゃんといや正樹や舞であっても、凪が嫌だと言ったら僕は凪を選ぶ」
「なんで……そこまで……してくれるんですか」
私は翔斗くんに大事と言われただけでもう泣きそうでした。
ですが、わかりませんでした。
なぜそこまでしてくれるのか。
私にはわかりませんでした。
「なんでって決まっているだろう。僕が辛い時に、僕が間違った道を選ぼうとしている時に、ずっと一緒に居てくれたのは、支えてくれたのは凪だからだよ。
きっかけは美香かもしれないけど。僕は凪と出会ってよかったと思っているよ。凪がどう思ってるかは知らないけど、僕は凪が本当に大切なんだよ」
私は本当に嬉しかった。とても嬉しかった。
だって、翔斗くんにとって、私の存在は夜光さんより、幼馴染よりも大切だと言ってくれたから。
私はやっとわかりました。
私はやっと気付きました。
自分の気持ちに。
私が抱いていた翔斗くんに対する気持ちは全て友達に対してのものではなかったのだと。
翔斗くんにとって特別でありたい。
翔斗くんには私だけを見ていてほしい。
今まで翔斗くんに対して思っていたこと全て、今の私ならわかります。
はっきりと言えます。
心の中ではありますけど……
私は、いや、朝露凪は
翔斗くんのことが好きです。
その瞬間、今まで抱えていたモヤモヤは全て消えてなくなりました。
私は私の気持ちに気付けたことが嬉しくて、翔斗くんに気持ちを伝えようと思いました。
ですがやめました。
この気持ちを伝える人は翔斗くんじゃないと思ったからです。
「翔斗くんやっぱり夜光さんとは距離置かないでほしいです」
私はさっきとは真逆のことを伝えました。
「え?でも、さっき……」
「さっきはごめんなさい!でも大丈夫!私は気付いたの!」
「ん?なにに?」
「それは内緒!!」
「まーいいやそれなら夜ちゃんとは距離は置かないよ。もしまだあるならなんでも聞くよ?」
そう言ってくれたので私は遠慮なく言うことにしました。
私が今、本当にしたいことを。
久しぶりにわがまま凪です。
「分かりました。なら翔斗くん今日はもう帰りたいです。私用事ができました」
「え?まーいいけど。じゃー僕はせっかく来たから美香にお土産買って帰るよ。またね!」
「はい!夜は絶対電話しますね!」
私はそう言って、翔斗くんとはわかれ、ある人の元へ向かいました。
「どうしたんですか?こんなところに急に呼んで。今日は翔くんとお出かけでしたよね?」
知ってましたか。
「申し訳ありません。ですがどうしてもお伝えしたいことがありまして。翔斗くんには用事ができたと伝えてここに来ました」
私は夜光さんに会いに来ていました。場所は学校の最寄りの駅にあるファミレスです。
「それで、どうしたんでしか?」
夜光さんからすぐに話を切り出されました。
なので私もすぐに伝えます。
「私、翔斗くんのことが好きです」
「は、はい」
「夜光さんはどう思っていますか?」
「私も翔くんのこと好きです」
「やっぱりそうですよね。聞けてよかったです」
「え?それだけなんですか?」
「え?はい。あ、あえて言うなら、夜光さん。私が簡単に翔斗くんを渡すとは思わないでください。私の方が好きを自覚したのは遅いかも知れませんが、そんなことは全く関係はありません。覚悟していてください。翔斗くんは私が、朝露凪がもらいます」
言ってやりました。
すると夜光さんはとても良い笑顔で私に言ってきました。
「今更ですか?朝露さんは今までの分があるから余裕かと思っていると思いますが、私も翔くんを譲る気はありませんから。後これだけは言っておきます。私は翔くんのことが大好きです。本当に心から大好きです!翔くんにとって、朝露さんがどう言う存在なのか分かりません。それでも私は頑張りますから!朝露さんこそ覚悟していてください!」
そう言って私たちはお互いに気持ちをぶつけ合いました。
そして、私は思いました。
夜光さんとは、翔斗くんのことさえなければ
友達になれる気がします、と。
夜光さんとは解散し、私は1人つぶやきました。
「朝露凪はここからです!
翔斗くん!覚悟していてください!」
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57話読んで頂きありがとうございます!
お願いがあります!誤字脱字があっても、先に感想ほしいです!そのあと、、誤字脱字報告で、、
嘘です!
やっと来ましたね!
凪ちゃん派の方々お待たせいたしました!
ここからですよ!
コメント、小説のフォロー、レビュー、応援、
いつもありがとうございます!!
とても励みになっております!
また、よろしくお願い致します。
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