古巻視点

第15話  10月8日 朝露さんは学年ではなく学校で一番の美少女でした。

ただいま1時間目の真っ只中。

僕は今日の朝のことを思い出していた。


……朝露さんと話すのはすごく楽しかった。

「連れ○の」の内容も、もちろん面白かった。

だが、それよりも2人で話したことが楽しかった。僕は「連れ○の」についてここまで誰かと深く話したことはなかった。僕自身がラノベを好きなのはクラスのみんなには伝えているし、正樹とかは時々読んだりもする。(面白いとは言われたことないが……)

時々クラスの男子ともラノベを話しはするが、

「連れ○の」については朝露さんが初めてだった。だからかすごく嬉しかった。「次は古巻」

僕がこのシーン良かったと伝えたら、私もと共感してくれる。「おーい古巻」

さらにここのシーンも良かったですと付け加えてくれる。こう言った話ができるのは……


「おい!古巻 お前聞いているのか」


目の前に先生がいた。


「え、あ、はい、どうしました」


僕は先生に当てられたのを無視してずっと思い出に浸っていたみたいです。


「まったく、どうしましたじゃないだろう。

しっかり聞いとけ」


怒られてしまった。チラッと正樹を見たら

下を見てものすごく笑いを堪えているようだった。……後でお仕置きだ。そう思い目線を戻そうとした時正樹の前に座る朝露さんと目があった。すぐに目線を戻されてしまったが……もしかして、幻滅されてしまったかと思ったらポケットに入れているスマホのバイブレーションが鳴った。先生にバレないようこっそり

スマホを確認すると。


――――――――――――――――――――


「朝露」『しっかり授業に集中してくださ

     い!!』


―――――――――――――――――――――

朝露さんからこんな内容のメッセージと共に可愛らしく"プンプン"と怒っているスタンプが送られてきた。


それには思わず


「ブゥフッ……」


と笑ってしまった僕は案の定……


「おい!またお前か!しっかり授業受けろ」


また先生に怒られるのでした。



無事に1時間目が終わり2時間目も終わって昼になりました。


僕が美味しいなと思いながら美香の手作り弁当を食べている時……

朝露さんが席を立ち教室を出て行くところを見て少し気になりました。いや、普通のことですよね。トイレとか色々ありますもんね……ですが、なぜか胸騒ぎがしました。勘ではありますが、少しだけクラスを出て行く朝露さんの気分が落ちているように思ったんです。

ストーカーみたいだと思ったけど……ついていくことにしました。


この学校は5階建てとなっていて、2階がメイン玄関

3階・4階・5階がそれぞれ3年・2年・1年となっています。ちなみに1階は職員室です。

そして校舎とは離れたところに体育棟があり、そこには2階の連絡通路から行くことができます。


朝露さんは5階のトイレをそのまま通り過ぎて階段で下に降りていきます。4階、3階と降りて行き、2階の靴箱に向かうのかと思いきや、体育棟につながる連絡通路の方へ歩いて行きました。


……朝露さんは部活には入ってないと言っていたな。やっぱりおかしいな。


そう思いつつもストーカーの如く物陰に隠れてついていく。


……ちょっと周りから冷たい目で見られてる気がするけど、でも気になるものはしょうがない。


朝露さんはと言うと体育棟に入り人気の少ないところへ入っていく。そこには1人の男子生徒が立っていた。


……うわぁ、告白かよ。

それに、あの生徒は確か2年で1番カッコいいと噂されている東條 結城とうじょう ゆうきではないか。


そう思っていると、2人は話し始めた。


「お待たせしました。それで私に何か御用ですか?」


いつも話す時よりも一段と低く冷たい声だなと

僕は思った、


「いやいや、ごめんね……僕の名前は東條結城だ、よろしく頼む」


東條先輩?でいいのかな?慣れているな。


「ええ、それぐらいは存じております。要件は何かと聞いているのです」


朝露さんもやっぱり慣れているな。まぁ当たり前か。でも、人の告白を盗み聞きとは申し訳ないことをしているな。


そう思いながらも僕は戻るにも戻れず、その場で盗み聞きを続ける。


「じゃーもう単刀直入に言おうか……

朝露さん僕と付き合ってくれないか」


その言葉を聞いた瞬間僕の心臓はトクンッとはねた。

……何を焦っているんだ僕は、

そう思っていると朝露さんが口を開いた。


「ごめんなさい。あなたとは付き合えません」


即答だった。その答えに僕は少しホッとしてしまった。……いや、なんで僕はホッとしているんだ。


「理由を聞いてもいいかな?」


朝露さんに東條先輩は質問した。


「どうしてとは?あなたとは付き合いたくないそれが理由なのですが」


相変わらず冷たい態度を貫く朝露さん。


「いや、まぁ僕は自慢ではないけど2年生の中では1番かっこいいと思っているし、君と釣り合う男なら僕くらいだろうと思ってね」


なんたる自信、いやナルシストにしか見えないけど

と心の中で僕は呟く。


「私からしたら、あなたはただ顔が整っている。それだけなのですが。それに私は恋愛に興味などありませんから。さらに、もし私が誰かとお付き合いさせてもらうとしてもあなたを選ぶことはありませんので、諦めてください」


と、朝露さんは言い張った。

それをみて僕はかっこいいと思ってしまった。

朝露さんの言葉に対して東條先輩はと言うと。


「何を言うかと思えば調子に乗りすぎだろう君は。

まーわかったよ。良い話だと思ったのに残念だよ」


そう言って、振られたくせに上から目線で去って行った。姿が見えなくなった後朝露さんも来たルートを戻るように歩き始めた。

そこで僕は忘れていた。2人の告白を盗み聞きしていることを。


「「あ、、、」」


そう、朝露さんと鉢合わせてしまったのです。


「見ていたのですか古巻くん」


さっきよりも暖かい声で朝露さんが話しかけてきた。


「あ、、ほんとにごめんなさい。クラスを出ていく時に目に入って……朝露さんの姿がいつもよりも落ち込んでいる感じがしたので追いかけてしまいました」


僕は正直に言って頭を深く下げることにした。


「いや、全然気にしてないですよ。別に見られても私にはそこまで被害ないですからね」


笑顔でそう言ってくれた。

だけど、僕だったら告白を見られるのは嫌だと思う。だから……


「それでも人の告白を盗み聞きとか普通は良くないよ。もう一度謝らせて欲しい。ごめんなさい」


僕はもう一度深く謝った。


「はい!なら許しましょう」


そう言って2人でクラスに戻ることになった。

校舎までは一緒に。そしてそこからはバラバラに。




僕は3日目ではあるけど、ラノベを通じてでしか朝露さんと接していなかった。だから忘れていたいたのだ。




朝露さんが学年で一番の美少女だったことを。




いや……

  この学校で一番の美少女だったことを。


___________________________________________

15話読んで頂きありがとうございます。


いやーやっぱり朝露さんはモテるんですよ。

今までオタクっぽいところしか見せてなかったから、読者様は忘れていたかもしれませんが、

朝露さんは美少女ですからね!!


ついに、総合PVが8000を超えました。

私としては多い、多すぎるぐらいです。

ほんとに毎話毎話読んでいただきありがとうございます。レビュー、小説フォロー、応援、などもほんとにたくさんの方からして頂き本当に感謝でいっぱいです。これからも頑張って行きますので、よろしくお願いします。

コメントもとても励みになっています。

ありがとうございます。

また、もっとコメントを送ってもらえたら嬉しいです、、、


誤字脱字、もしありましたら教えて頂けると助かります。

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