第11話  10月7日 ラノベは素晴らしい

「ごめんなさい……泣いてしまって。

もう大丈夫です。朝露さんにそう言ってもらえて嬉しかったです」


僕はそれからすぐに泣き止むことができた。

それでも朝露さんの前で泣いてしまうとは、

とても恥ずかしい。


「いえいえ、伝わってくれたのならよかったです」


そう言って朝露さんは微笑んだ。

僕は朝露さんと言う友達を大事にしようと改めて心に誓うのだった。


僕の家から学校までは日曜日に行った方向とは逆方向に5駅進んだ場所にある。

そして駅からは徒歩1分で学校には着くのだ。

ものすごく楽です。


「荷物とかも図書室持っていきますよね?」


僕は学校についてから靴を履き替えている時、朝露さんに質問した。


「そうですね。私はいつもそうしています」


と言うことで、荷物ごと図書室に持って行くことにした。



僕は図書室を使うのは初めてだった。入ってみての感想としては、本を読むのにこれほど適している場所は他にないのではないかと思うほどよかった。


理由としては、まず部屋の中は適度に薄暗く、外からの光はしっかり入ってくるように設計されていること。さらには人の動きが気にならないよう机の向きや配置が考えられていること。朝露さんが選ぶだけあるなと思える部屋だった。


「すごくいいところですね、ここ。なんかこの半年勿体無い気持ちになります」


「ふふ そこまで絶賛していただけるとはとても嬉しいです」


そう言っていつも朝露さんが座ってラノベを読んでいると言っていた場所に案内してもらった。

そこは図書室の1番端っこで、ちょうど2人席となっていた。


でも、これだと朝露さんとものすごく近くに座ることになる……俺集中して読めるかな、


と思っていたが、案外読める。いやめちゃめちゃ読めるよ。さすがはラノベだな。


今は2人で別々の本を読み始めてからちょうど15分程度

そして2人で一緒にいられるのも残り15分となっていた。


そんなことを思っていると、


「今日は何を読まれているのですか?」


そうだった、確か最初の15分を読むことにして、

残りの15分は色々語り合うことになっていた。


「今日は最近テレビアニメでもやったサラリーマンが女子高生を○う奴」


「あーそれなんか名前だけ聞いたことあります。でも逆に名前がそれだから、私中々読めないんですよね」


いや……わかるぞその気持ち、ラノベは複雑というか恥ずかしい名前も多い。


「たしかにそうだよね。でもこの本名前があれなだけで、内容すごくいいよ。面白いところもあるけど、感動するし考えさせられるし。それに安定の負けヒロインも可愛いし」


「そうなんですか……なら私も読んでみようかな、」


「なら、貸してあげよっか?これもう3周目だから」


「3周目ですか、よく読めますね」


「んーそうかな?面白いやつ何回も読んじゃうんだよね?朝露さんは一回だけなの?」


「私は、悲しいところとか読みたくなくて、読もうと思ってもつい手が止まっちゃうんですよね……」


「あーなんとなくわかるけど僕はそれすら楽しめるからね……あはは」


「それならお言葉に甘えてお借りしてもいいですか??」


「あ、うん!全然いいよ。感想教えてね!

朝露さんは何読んでる……」


朝露さんは何読んでるのと言おうとした時、

学校のチャイムが鳴った。


「あ、もう30分か……じゃーバラバラに行こうか」


「そうですね。私からいきます。

あ、ちなみに私が読んでいたのは、諦めきれない○嫁さんのお話です!」


そう言って可愛らしい笑顔を見せてから教室に向かうため朝露さんは図書室を出て行った。


「やっぱり可愛いな……それよりも僕の質問わかってたんだ、諦めきれない○嫁かぁ〜僕は元カノさんが好きだな……そんなことより僕も行かなきゃ」


そうして僕も急いで図書室を後にするのであった。





「おう!おはよう正樹」


「おう!翔斗おはよ…………う??」


僕に挨拶してきたのは僕の2人いる幼馴染の1人で小中高と同じ学校の市川 正樹いちかわ まさき。身長は175以上はあり、顔も整っていると思う。そして正樹には中学1年生から付き合っている彼女がいる。それが……


「翔斗おっはよ…………う??」


そう今、僕に話しかけてきた、新庄 舞しんじょう まいだ。もう1人の幼馴染。顔はかわいい系の中ではこの学園の上位に入ると言っても過言ではないだろう。正樹と付き合ってなかったら多分告白も相当されているはずだ。


「てか、なんで2人ともそんなおかしな顔しているわけ?」


2人とも挨拶の時からずっと首を傾げている。


「「いや、落ち込んでないから」」


「いや、そこでハモらなくていいから」


この2人はバカップルである。その中にいつも僕はいさせられる……ほんとに嫌になるよ。


「いやだって、ついこの間の金曜日までお前死んだ魚見たいな顔していたからな??」


「そうだよ、だから私たちが励ましてあげてたんじゃない」


「「ほんとに何があったの??」」


はぁ〜毎回これである。別れた次の日なんてほんとに死んでやろうかとも思った。


「何もないから……もう忘れることにしたってだけだよ。だからもうあっちに行った。シッシ」


「はいはい、あ、そうだ今日の放課後遊ぶ?」


「あ、いいね。なんか普通に戻ったみたいだし

今日放課後3人で遊ぼうよ」


なんか遊びに誘われてしまった。ありがたいけど、今日は朝露さんと本を買いに行く約束をしてしまってる。……なんて断ればいいんだろう。まーいいや、


「いや、今日はパスで、」


とりあえず断ることにした。


「あ?なんでだよ、つれねーなー」


「そうだーそうだー」


あーいつもこうだまったく。いやではないけれども。


「また行こう。てか、どうせ一緒に遊びに言っても2人のイチャイチャを見せられるだけだから嫌だよ」


そう言ったと同時にチャイムがなり、先生が入ってきたため、2人は席に戻って行った。


ちらっと朝露さんを見た時、

ちょうど朝露さんもこちらを見ていたようで目が合う。そして朝露さんは口パクで


「ありがとうございます」


と言ってきた。

僕は心に決めました。朝露さんとのためなら正樹とも友達をやめます!!っと……いや、それは嘘です。





――――――――――――――――


無事午後の授業も終わり、僕は家の最寄りの駅で朝露さんを待っていた。


「すいません。お待たせしました」


僕がついてから1、2本遅い電車に乗って朝露さんが到着した。


「いや、大丈夫だよ僕もさっき着いたばかりだから」


定番のセリフを言ってから予約していた本屋に2人で向かった。






「よかったね!朝露さん新巻買えて!」


「はい!古巻くんありがとうございました」


お互い「連れ○の」の新刊を買うことができた。


「じゃー帰りますか」


「はい!帰ります」


新刊が買えて幸せそうにしている朝露さんを見て僕もまた幸せな気分になる。



他人から見たら2人が今幸せだと感じていることを

ラノベ如きでとか思う人もいるとは思う。


だけど僕と朝露さんは好きなラノベの新刊を買えただけで幸せになれるのだ。そして幸せだと思う気持ちと朝のようにラノベの良いところをお互い共有することができる。





改めて僕はそんな

     ラノベは素晴らしい。

            そう思います。

___________________________________________

11話読んだいただきありがとうございます。


ラノベって素晴らしいほんとにそう思います。

私も小説を書いている合間にラノベを読んだりしていますが、やっぱり面白いし色々考えさせられます。

いつかは、私もこのような話を書けるようになりたいと思います!!


誤字脱字、感想、ご指摘など、コメントお待ちしております。


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