第139話

パンドラの箱が開らかれてから数日後のことだった。

ベッドに放り投げていたスマホからバイブ音が聞こえた。

どうせ公式のLINEからだろうと思って、何気にスマホのロック画面を外して通知画面を見るとLINEに「生きてる?」が届いた通知だった。

予想外の言葉と相手からのLINEで俺はスグにLINEのトーク画面を開く気にならなかった。

ベッドに横になってスマホを天井の方に持ちあがげて、放置しようか開いて返信しようか悩んでいた。

ロックがかかって真っ黒の画面になる度に、顔認証で通知画面を開いてを繰り返しながら「なんでこの言葉やねん。他に言い方あるやろ」「急になんやねん」ってLINEが来たことよりも送られてきた言葉にイライラした。

そう送ってきた相手は、連絡を取るのを止めた奏だった。

最後に通話したときに「もし俺と別れて寂しくなったら奏から連絡してきて」と言ってから俺から連絡することは無かった。

だから、LINEの言葉で俺の期待した内容でないことはスグに解った。

俺は、奏を失った孤独感と配信中の言動にむなしさと苛立ちで複雑な感情だったし、今、奏に返信したら、また余計なことを言って奏を傷つけてしまいそうだし迷惑をかけると思った。

だから、俺はトーク画面を開くことなくスライドして削除した。

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