第136話

奏の配信を聞いてから俺は何が真実で何が嘘かわからなくなって、ため息をつく回数が増えた。

配信後に奏がツイートした内容は完全に特定の相手に対する匂わせツイートと言われるものだった。

「久々の配信だったけど、あなたのおかげで配信楽しかったよ」

俺が彼氏だったときは匂わせツイートでさえ、たったの一度もしなかったのにだ。

もう俺が信じていた奏も大好きだった奏も出会ってから別れるまで一緒に過ごした大切な時間も全て幻だったかのように一気に消えさっていた。

この日から俺は大事にしてきたものが失われてしまった喪失感に襲われ、悲嘆にくれる日々が始まった。

新たに作った唯一のSNSのツイートは、悲痛な叫びと今の心境で見るに耐えない内容が並び続け、冷静になっては消し、また呟くを繰り返していた。

体調にも変化が出始め、食べては嘔吐するようになった。

嘔吐する恐怖から食事をするのも怖くなり体重は短期間で5kgも落ちていた。

それでも何か胃に入れないと思い、3パック入ったヨーグルトの1個を頑張って食べるのだが半分も食べれず結局胃液が上がってきて嘔吐する状態だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る