配信アプリで出会った2人がネット恋愛からリアルに発展

たいらまこと

第1話

「よっぴー‼︎一名様いらっしゃい」

これが僕が彼女の声を初めて聞いた瞬間だった。


彼女は誰でもスマホで簡単に生配信が出来るライブ配信アプリ「ツイルーム」の配信者だったのだ。

もちろん自分も配信者として配信をしていたので、リスナーとして誰かの配信を見るって事はあまり無いのだが、なぜかこの日は、リスナーとして聞きたい気分だった。


「ツイルーム」は、配信者は動画と声のどちらかで生配信しリスナーはコメントを打って読んでもらうかコラボに上がって通話の様に直接話をして楽しむアプリで幅広い層に人気がある。

配信者は投げ銭システムがあって有料アイテムをもらうと収入になるメリットがあり、ツイルームを仕事にしてる配信者も少なくなく、配信業と呼ばれている。


見た目も声もそれぞれ自分の好みがあるので、見た瞬間、聞いた瞬間何か違うと思うとコメントせずに落ちるのだが、スマホのイヤフォンから聞こえてきた彼女独特の挨拶と声は、迷わずコメントしたくなった。

この時は、当然恋愛感情なんて全くなく、彼女の声とコメントを返す頭の回転の速さに、リスナーとして楽しんでいた。


彼女はエミコって名前で配信していた。

俺は他のリスナーが呼んでないエミーって呼ぶ事で自分の存在をアピールしていた。

沢山いるリスナーの中から印象を残すことで配信者に認知されやすいため、リスナーは名前だったり、アイコンの画像だったり、コメントだったり投げ銭だったりとあらゆる手段でアピールする。

認知されると今日も来てくれてありがとう、いつもありがとうなど特別な言葉が聞けるからだ。


エミーからマコトさんよっぴーって言われ何十回たった時だったか忘れたが、配信中に投げ銭が送られ、○○さんありがとう!チュッって言った時に、配信者が有料アイテムももらった時のサービストークってわかっているのだが、なぜかイラってしてしまった。

この感情が何なのか、この時はそこまで気にしてなかたっし、配信者とリスナーの関係を越えるなんて思いもしなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る