アイドル先輩の勘違い!? 俺の下駄箱に毎日『プレゼント』を入れてくる ~無視し続けていたら『先輩』が郵送されてきて付き合う事になった話~

桜井正宗

アイドル先輩から一週間プレゼントが送られてきた件

 バレンタインデーならまだしも、何もない六月の平日。祝日でもイベント事でもない、そんなある日――下駄箱にプレゼントがあった。


「……差出人不明のプレゼント、か」


 ラッピングされた小箱。

 何か入っているらしい。

 でも、俺『藤宮ふじみや けい』は何かを贈って貰う相手なんていないわけでして……天涯孤独のフラグが立っているスーパーぼっち男だ。ありえない。


 あまりに奇妙だったし、けれど不法投棄も自然に申し訳がない。――ので、自宅に保管した。




【二日目】


 次の日の放課後も下駄箱へ向かうと『プレゼント』があった。中身は見てない。さすがにちょっと怖い。誰かの悪戯ならいいんだが。



【三日目】


 またまたプレゼントが置かれていた。封は開けていないが匂いがキツかった。今度は『香水』のようだな。俺をホストか何かと勘違いしているんだろうか。



【四日目】


 やっぱりプレゼントがあった。薄っぺらだったので中身を開封。デズニーのペアチケット? そんなモン一生使わねえよ。でも一応保管しておいた。



【五日目】


 また『小箱』があった。

 カチカチと音がしているし、時計っぽいような。開けずに保管。



【六日目】


 相手も面倒になりつつあるのか、今日は『三万円』が入っていた。現金かよ! もうヤケクソってか。それとも買収? 怖いな。



【七日目】


 これは……だめだろう。

 童貞の俺でも分かるアイテム。

 0.01ミリが包もなく置かれていた。

 おいおい、勘弁してくれ。




 ――さて、この奇妙な一週間を過ごした俺だが、さすがに我慢の限界がきていた。というか、あまりに不気味すぎて戦慄さえしていた。なにこのB級ホラー。


 そろそろ相手を特定する必要がある。俺は八日目の今日、放課後は先回りした。相手を突き止める為に。



「下駄箱に来たぞ……」



 陰に隠れ、俺は動向を見守る。

 きっと誰か俺の下駄箱にプレゼントを入れているんだ。男か女か……教師のドッキリか。それとも用務員さんか? さあ、出て来いよ犯人。



 じっと見つめていると気配を感じた。……来やがった。



 ――って。



 嘘だろ……?



 あの人が、俺の下駄箱に……?




「…………おいおい」




 ウチの高見原高校の制服だ。

 しかも女子。しかも先輩。有名な人だ。俺でさえその人は知っていた。アイドルで三年の先輩『和泉いずみ はな』だ。


 あの輝くほど黒髪。

 宝石のように輝く瞳。

 抜群のスタイル。

 大きく誇示する美乳。

 左目の下にある薄い泣きボクロ。


 いつもタイツを穿いているから、それがチャームポイントでもあった。



 あんな美人の激カワアイドル先輩が――俺の下駄箱にプレゼントを……マジかよッ!!


 衝撃的な事実が判明して、俺はビックリした。なんで、どうして……? ありえなさすぎだろ。確実に接点なんてあるわけねぇ。でも、これがどうしようもなく現実リアルだった。

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