11-7 退学と婚約の理由
「レナートは病室で自分からフランシスカに婚約解消を言い渡したんだ」
「え…?」
その内容に私は驚いた。ルペルト様も私と同様、驚いたのだろう。目を見開いて話を聞いている。
「元々、こんな目に自分が遭ったのは嫌がるフランシスカにつきまとって怖がらせた結果で自業自得だと話していたよ」
「そんな…自業自得なんて…レナート様を刺したのは学園の3年生なのですよね?」
あまりにも納得がいかない話だ。
「うん、そして…レナートを刺した人物は…僕のクラスメイトだったみたいなんだ。最も会ったことはないけどね」
「そうだったのですか?」
驚いてルペルト様を見た。
「レナートが婚約解消にあげた理由はそれだけではない。もう片目も見えなくなって、今までと同じ生活は送れなくたった。フランシスカに迷惑は掛けられないから、婚約は解消して…別の相手と幸せになってもらいたいとレナートは願ったんだよ」
「…」
あんなにフランシスカ様に執着していたのに…婚約解消をレナート様自身が言い渡すなんて…。
「それで、学園も辞めて療養する話になったらフランシスカが…だったら自分も学園を辞めてレナートの側で手助けしたいと言い出したんだよ」
「そう…だったのですか…」
「ここだけの話…。フランシスカの両親は、折角レナートが婚約解消を言い出したのだから、さっさと解消スべきだと説得したのだが…フランシスカは頑として首を縦に振らなかった。そこで結局フランシスカとレナートは婚約関係を続け…2人が18歳になったら結婚することに決めたらしい。…最もこの学園を辞めればフランシスカはずっとレナートの側にいるそうだから、もう結婚したも同然の関係になるんじゃないか?」
淡々と語るレナート王子。
王子は…なんとも思わないのだろうか?仮にもフランシスカ様とはかなり親しい仲だったはずなのに…。
「でも…フランシスカ様はそれでいいのでしょうか…?」
思わずポツリと言葉が漏れてしまった。
「ロザリー…」
ルペルト様が私をじっと見ている。
「別にいいんじゃないか?レナートは自分から婚約解消を言い出したわけだし、それなのにフランシスカは応じなかったのだから」
言い終えると、イアソン王子はコーヒーを口にした。
「…すっかり生ぬるくなったな…。全く…入学式の時に、これから卒業までの3年間、1人も欠ける事無く全員揃って無事に卒業しようって宣言したのに…こんなに早く2人が退学することになるなんて…」
イアソン王子は少し、寂しげに笑った―。
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