3−4 雑貨屋さん
午後4時―
今日の授業が全て終わった。アニータと共に帰りの支度をしながら私は言った。
「アニータ、私この後ちょっと買い物に行ってくるわ」
「あら、そうなの?何を買いに行くの?」
「ちょっとアロマグッズを見に行きたいの」
「まぁ、そうなの?素敵じゃない。私も本当は行きたいけど…ちょっと今日の授業の復習をしたいから寮に帰るわ。成績が落ちると両親から怒られるのよ。私の家は勉強に厳しくて」
アニータがため息をつきながら言う。
「私も帰ったら勉強するつもりよ。それじゃ、ごめんね。急いでいるから先に行くわね」
「ええ。夕食までには帰って来るのよ」
「勿論よ」
そして私はスクールカバンを背負うと、急ぎ足で教室を後にした―。
****
正門を抜けると、急ぎ足でメインストリートを目指した。歩きながらレナート様の声が頭の中に蘇る。
『学園からはそれほど遠くないし、メインの大通りを歩いていけば辿り着く店なんだけどね』
「ここがきっと大通りよね…」
呟きながら歩いていると、ガラスのショーウィンドウ越しにカラフルな模様のペン立てや置き時計、ポーチ等が並べられている店を発見した。
「もしかして、ここがレナート様の話していた雑貨屋さんかしら…」
窓越しに店の中を覗いてみると、数人の女性客が買い物をしている姿が目に入った。
「きっとこの店で合っているはずだわ」
私は扉を開けて店の中へ入った。
カランカラン
ドアベルを鳴らしながら店の中へ入った私は目を見開いた。その店は様々な種類の品物が並んでいる。文房具だったり、美しい柄のハンカチ…バッグにヘアアクセサリー等々…見ているだけで飽きなかった。
「なんて素敵なお店なのかしら…」
先程ショーウィンドウに並べられていたペン立てが気になっていた私は早速その消費を探してみた。
「あったわ…」
店の窓からよく見えるように並べられていたペン立てを手に取り、値札を確認してみた。
「…」
駄目だった。とても私が気軽に買えるような品物では無かった。いや、それ以前にこの店の商品はどれを取ってみても全て私が買えるような代物では無かったのだ。
「やっぱり…私では何一つ買えないわね…」
本当は私もフランシスカ様の為に何かプレゼントを用意してあげることが出来れば…そう思っていたのに、どれもが全て高くて私にはハンカチ1枚買うことが出来なかったのだ。
「はぁ…」
ため息をついところで、目的のアロマグッズが売られていないか探すことにした。
可愛らしい雑貨に目を奪われながらアロマグッズを探して5分程経過した頃…。
「あ…もしかしたらこれかもしれないわ」
ハーブコーナーの棚を発見した。棚にはハーブティーやポプリの入った匂い袋…そしてラベンダーの香りのお香が売っていた。品物には『安らぎの香りで安眠効果あり』と書かれている。
「きっとこれなら…」
その時…。
「あら?この店に平民の学生が来ているなんて珍しいわね」
「え?」
振り向くと、そこには下級貴族の制服を着た数名の女子学生たちが立っていた。
その誰もが意地悪そうな笑みを口元に浮かべていた―。
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