Vライバーフェス編

第109話 呼び出し

「し、失礼します」

サーシャさんの復帰配信の翌日に俺は薫子さんに呼び出され女装でVライバーの施設の薫子さんの部屋を訪れていた

「いらっしゃい、お茶を用意するからそこの席に掛けて待っていて」

薫子さんが出迎えてくれてお茶まで用意してくれる

俺は指示通りに椅子座ると薫子さんがお茶と和菓子を机に置き俺の正面の席に座り話し始める

「わざわざ来てくれてありがとうね

今日はお礼とお願いがあって呼んだの サーシャちゃんの件、本当にありがとう、君が居なかったらサーシャちゃんはVtuberを辞めていたと思うから本当にありがとう」

薫子さんが俺に向けて頭を下げる

「どういたしまして! 全てが元通りで本当に良かったです! それで、お願いとはどう言った要件でしょうか?」

これ以上、薫子さんが頭を下げることのないように俺は感謝の言葉を受け取りお願いについて聞く事にする

すると薫子さんは頭を上げて話し始めた

「3ヶ月後に行われる大型イベントの事は知ってる?」

首を傾げながら聞いてくる薫子さん

「Vライバーフェスですよね?マナさん達から軽く聞きました」

「なら良かったわ、単刀直入に言うわVライバーフェスの目玉企画3Dライブに出て欲しいの」

「3Dライブですか? そ、それってVtuberの3Dモデルが歌って踊るステージにタルルで参加して欲しいって事ですか!? あれって実際に踊ってるんですよね!?」

踊りなんてした事ないよ!?

「そうよ、実際に踊っているわ 君が参加してくれるのなら本番までの間、私達が全力でサポートすると約束するわ、断ってくれても構わない」

全力で断りたい

俺に踊りなんて…

「少し考えさせてください…」

俺はこの場で返答する事は出来なかった

俺の言葉を聞き薫子さんはこう言った

「君がどんな選択をしてもVライバーは君を支えるわ 家でゆっくり考えて

今日の要件は以上です」

「また連絡します」

俺は薫子さんの部屋を出てVライバー施設を出て近くの公園のベンチに座り空を見上げる

「綺麗な青空…」

リスナーさん達はタルルの3Dライブ参加を望んでいるよな…

でも俺は歌えても踊れない

恥を晒すぐらいなら参加しない方が…

公園のベンチで頭を抱える俺に1人の女性が話しかけてきた

「タルル、大丈夫?」

俺は声の聞こえた方向を見る

そこにはボーイッシュな服装に白い帽子を被ったシノさんが立っていた

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