第75話 タルル主催お菓子作り教室開始前 ②

玄関のチャイムが鳴り雫姉が再び玄関に向かってくれた

次に来たのは誰だろと思いつつ作業を進める

「2人目のお客さんだよー」

「タルルちゃん、おじゃまします!あ!やっぱりナユたん先来てた!」

マナさんが部屋に入るなりナユタさんを見て言う

「マナ!お先に来てたよ!」

「何回も電話しても出ないから心配したのよ」

マナさんが少し怒っているみたいだ

「そうなの!? スマホどこだっけ」

ナユタさんが自らのポケットに手を入れて確認をしている

「無い… 家に忘れた…」

ナユタさんが顔を青くしながら言う

「そんなことだと思ったよ、お菓子作り教室が楽しみすぎて忘れたんだね」

マナさんがナユタさんを呆れ顔で見ている

「違うよ!お菓子作り教室が楽しみすぎたんじゃなくてタルルちゃんの家に入れるのが楽しみすぎたの!」

ナユタさんが反論する

「ナユタさん、そこはどっちでもいいと思います!」

すかさず俺はナユタさんにツッコミを入れる

「タルルちゃんは私をフォローしてよー」

ナユタさんが俺の右腕にしがみついて今にも泣きそうな顔で俺に助けを求めてきた

そんなナユタさんの頭を左手で撫でる

すると悲しい表情から笑顔に変わる

「はいはい、マナさんそのぐらいで許してあげてくれませんか?ナユタさんも反省してますので」

俺はマナさんにナユタさんを許してあげて欲しいと頼んだ

「もう、頭撫でられて嬉しそうに…

いいなあ、私も撫でられてくれたら許してあげるかも」

マナさんが俺の方に頭を傾けてきた

俺はナユタさんを撫でるのをやめて

マナさんの頭を撫でる

「よしよし」

「あぁ、撫で方が絶妙で良いわ」

「むー、私ももっと撫でて欲しい!」

俺がマナさんを撫でてるのを見たナユタさんが頬を膨らませる

「いや、これはナユタさんの為に…」

「ナユたんは反省してないみたいだねこれはもっと撫でてもらわないとね」

マナさんが舌を少し出してナユタさんを煽る

マナさんもこんな表情するんだな、今までは大人の女性としか思ってなかったけどよく考えれば歳も近そうだし年相応な表情なんだろう

「マナ!うさぎ屋のマドレーヌで許してくれないかな?」

物で許しを得る作戦のナユタさん

「なるほど、ナユたんはうさぎ屋で買ってきたのね いいわ許してあげる

タルルちゃんもういいわ、撫でてくれて嬉しかったまたお願いするわ」

許可が降りたので撫でてるのをやめる

「私からのお土産はこれよ」

マナさんが手に持っていたビニール袋の中から箱を取り出して蓋を開ける

「白いイチゴ!」

いち早くナユタさんが声を出した

白い実に、タネのつぶつぶの部分がうさぎの目のように思えるのイチゴだ

「そうよ、加賀県の雪うさぎよ! 私のお気に入りだからみんなに食べて欲しくて」

「雪うさぎ… 白いイチゴ初めて見ました!凄く美味しそう…」

「近場だと他の人と被りそうだったからとっておきを持って来たの!どうぞ、受け取って」

マナさんが俺にイチゴの入った箱を渡してくる

「ありがとうございます!嬉しいです後でみんなで食べましょう! あとは

シノさんが来るのを待つだけですね」

マナさんからイチゴを受け取り冷蔵庫に入れる

「シノちゃんまだかなー」

「そろそろじゃない?」

そんな話をしていると3度目の玄関のチャイムが鳴った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る