第62話 Vライバー施設で配信準備と弱音

放送開始時間まであと2時間の状況でタルル専用の部屋へナユタさんと入る

「凄い!こんな部屋があったんだね!立ち入り禁止はバレないように?」

「そうですよ 薫子さんが手配してくれて 私は準備するんでナユタさんはそこの椅子に座ってくつろいでいて下さい」

「了解です!」

まさかVライバー施設での初めての配信をナユタさんに直接見られるなんて思いもしなかった

「ここにパソコンがもう1セットあれば一緒に遊べたのにね〜」

回転式の椅子に座りぐるぐる回りながらナユタさんが言う

当初は正体を隠し通す為に同じ部屋での配信なんて考えもしなかった

現在では4人の人にバレているわけでその人たちとなら同じ部屋で配信しても問題ないのではないのだろうか

「ナユタさんもVライバーからパソコンを支給されてますよね?」

「上の階にあるよ 放送道具も一式」

「それをこの部屋まで持って来ません? 突発コラボとか面白いと思うんですよ やるゲームも決めてないんで2人で協力プレイもアリかなって」

「それができたらとっても嬉しいけど重いの多いよ?大丈夫?」

「そこは数でなんとかしますよ」

俺はナユタさんを連れて薫子さんの元へやってきた

「薫子さん、タルル専用部屋にもう1台パソコンが欲しくて上の階のナユタさんのパソコンを移動させたいんで許可をください!お願いします」

俺はそう言って頭を下げて頼み込む

「薫子さん、お願いします!」

続いてナユタさんも頭を下げる

「そろそろそう言ってくると思ってたわ 専用パソコンだと他の人とやる時はその都度移動させるの面倒でしょ?共用のパソコンを置いたらどう?正体をバラしてしまったし謝罪の意味で用意しておいたのよ 放送に必要なソフトは既に入ってるからYouTubeに放送アカウントでログインするだけでいけるはずよ」

薫子さんが笑顔で言う

「薫子さん…いいんですか?」

「ええ、これからもっとVライバーを盛り上げてちょうだい パソコンはスタッフに運んでもらうから部屋で待っていて」

「「ありがとうございます!」」

ナユタさんと声を合わせてお礼を言う

こんなにも良くしてもらっているんだ俺は自分の出来る全てを行いVライバーをもっと盛り上げてみせる

そう心に誓った

薫子さんに挨拶をしてタルル専用部屋に戻ってきた

「薫子さんは流石だね、タルルちゃんの事を理解して先に動いているなんて尊敬しちゃうよ」

またもナユタさんは椅子で回っている

「こんなによくしてもらって、私にその恩を返せるか不安ですよ…」

少し弱音をこぼすとナユタさんが椅子を止めて立ち上がってこちらに近づいてきて俺の両手を握りしめながら言う

「大丈夫、タルルちゃんはもっと自分に自信を持っていいんだよ タルルちゃんが入ってからVライバーは変わったんだ」

「そうなんですか?」

ナユタさんは優しい笑みを浮かべながら続けて言う

「今のVライバーはグループチャットでよく雑談とかしてるよね?タルルちゃんが入る前は必要最低限のお知らせとかしかしてなかったんだよ タルルちゃんが入ってからみんな明るくなった もちろん私もね」

「ナユタさん…」

「だから自信を持っていいんだよ また弱音を吐きたくなったら私に言ってね これでも私の方が先輩だからね」

「ありがとうございます…」

コンコンと扉を叩く音が聞こえる

スタッフの人がパソコンを持って来てくれたのだろう

「ナユタさん、ありがとうございました これからもよろしくです」

「うん!」

扉を開ける前にナユタさんにお礼を言っておく

扉を開けると数人のスタッフさんが立っていて部屋へ入ってもらうと数分で取り付けと動作確認をしてからスタッフさん達が部屋を出て行くので2人でお礼を言う

「「皆さんありがとうございました!」」

「いえいえ、スタッフ一同2人の放送楽しみにしてますね 失礼します」

丁寧なお辞儀をして退出するスタッフさん達を見送ってから準備を始める

今回の放送はタルルの枠のみで行い急遽なのでナユタさんの3Dモデルは断念して立ち絵にした

マイクのテストをしてから放送を開始した

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る