第39話 まさかのリアルのナユタさん登場

雫姉に女装のまま外に出された俺は注目を集めていた

「雫姉、周りの人がこっち見てるんだけど 女装ばれてない?」

「違うよ、周りの人の声聞いてみて」

雫姉が俺の耳元で呟くとそれを見た周囲がざわついた

「あの2人って女の子同士なのにすごく絵になってる」

「1人は女の子らしい服でもう1人は

身長高くてボーイッシュな服装だからカップルに見えるね あんなに顔を近づけて、見てるこっちがドキドキしちゃう」

近くの女子2人の会話が聞こえてくる

ちなみに雫姉がピンクのフリフリした服装で俺は全身黒色のコーディネートをしている

「バレてなくてよかったね! ささ、VライバーへGO!」

「はあ…」

数分歩くとVライバーのビルに到着した

「さあタルル専用部屋まで案内するからついて来て」

雫姉に付いて歩いていると正面から黒い帽子を被った茶髪の女の子が歩いて来る

「あ!雫さん、お疲れ様です!」

その少女は雫姉を見ると走って近づいてきた、身長が低い少女だが走るたびに胸が弾んでいる

これがロリ巨乳というやつか、てかこの声…

俺は咄嗟に雫姉の後ろに隠れる

「ナユタちゃん!お疲れ様 今日は動画の収録?」

リアルのナユタさん!?

「はい!無事に終了しました!」

「それは良かったわ!」

「雫さん、もしかして後ろの人って」

答えが想像ついているのか目を輝かせて近づいてくるナユタさん

これはヤバイ

「ナユタちゃん!それ以上近づかないで!確かにこの子はタルルちゃんだけど今日は駄目なの!」

雫姉がナユタさんの前に立ち塞がる

なにバラしてくれてんの!?

誤魔化せばいいなんとかなったかもしれないのに!?

「はぁはぁ、リアルのタルルちゃんがすぐそこに…」

「こうなったら… タルルちゃん!

ナユタちゃんは私が引き受けた!

さあ行って!」

雫姉がナユタさんに抱きついて動けないようにしている

よし、逃げよう

「雫さん離して!!タルルちゃんが行っちゃう!」

俺はタルル専用の部屋まで走った

「ふぅ…危なかった」

立ち入り禁止の看板を越えて部屋にたどり着いた

「ここが俺に与えられた配信部屋か」

最新のパソコンと放送器具が並べられている

「これを使えばいい放送できるだろうなー」

これらを使うためには女装が必須

今日みたいなのが毎回起こりそうな気がする

あれこれ考えているとピコンとスマホが鳴る

「メッセージ誰からだろう」

雫姉からだ

「ナユタちゃんを帰らせることに成功しました! 私は薫子さんに急な仕事を頼まれちゃったから瑠夏は自由に帰ってね 今日の夕飯はカレーがいいな」

おい、1人で帰れとかふざけるな!

「待ってるよ!」

「だめ、カレーの準備よろしく!」

「ふざけるな!」

そのメッセージに既読はついたが反応は無い

今回の目的のタルル専用部屋は確認できたしさっさと女装をやめたい

帰るか…

女装男の自宅への帰宅の旅が始まる

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