第2話


 7月5日、月曜日。(2回目)


 塞ぎ込んでいても時間は刻々と過ぎていく。

 しかたなく俺は、心にモヤモヤを抱えながら日常を送ることにした。


 そして、高崎さんとの勉強会。


「この教室は吹部がパート練習するときしか使ってないの。だから誰にも見られずに集中できるベストプレイスなのです♪」


 案内された場所は、やはりあの空き教室。

 

「そこまで緊張することないわよ。私と話すときのように、自然に話せばそれでいいの」


 緊張して何も喋れないと心配した前橋さんが、あのときと同じようなアドバイスをしてくれる。


「しかも今回は期末試験だから、主要科目以外にも保健体育とか情報とか音楽とかもあるでしょ。一週間しか勉強期間がないんだし、もう絶望的だよ~」


 高崎さんの嘆き。これも一緒だ。


 俺は、自分に言い聞かせることにした。



 ————あの出来事は、俺に失敗させないために誰かが与えてくれた練習だったんだ、と。



 それからの俺は前のときのように、おどおどしないように心掛け、高崎さんがもっと良い点数を取れるように奮闘することに決めた。



 心に言い聞かせた……

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