第5話

「いったい、いつまでついてくるつもりなんだ」


 朝の準備を終えた俺は、何も変わり映えのしない通学路を歩いていた。

 ある一点を除いては。


「だってしょうがないじゃない。あなたから離れられないんだから」


 ここでいう「あなたから離れられないんだから」は決して胸をときめくような状況などではない。

 そりゃあ、前橋さんほどの美少女から「あなたから離れられない」と言われたのであれば、言葉のみを考えれば、美少女ゲーム内で確実にルートに入っている証拠である。

 しかし、今この場においては、そんなことは一切ないと断言できる。

 だとしたら、なぜなのか?

 話は10分前に遡る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る